とりあえず推移を見極めるまでは活動は自粛、という結論で、

「それまでは自宅で自主トレってことにしよ」

 このときばかり、感情的になりづらいみな穂が部長で良かったことはなかったようである。

 しかしすでに、校門前には記者やカメラマンがいて、関係がないはずの一般生徒に、マイクを向ける騒ぎも起きている。

 部室からの帰り、みな穂は職員室に寄った。

 清正が一人で資料を開いていた。

「…先生」

「瀬良のやつ、えらいことなったな」

 清正も今回のスキャンダルに打つ手を模索しているようである。

「あいつの話をするってのは、休部以来やな」

「でもさすがに、不倫はどうしようもないのかなって」

「ワイもかばうつもりはあれへん」

 清正には明確な方針があるらしかった。

「この際やから、記者会見したほうがえぇかなと」

 言ってもいないことを言ったように流布されるのは道理に合わん、と言ってから、

「長谷川さん、まだおる?」

「さっき部室にいました」

 LINEを飛ばしてみると、まだ帰ってはいないらしい。

「よっしゃ、動くかぁ」

 清正は首を鳴らしながら席を立った。