ハロウィンの写真撮影のさなか、

「ごめん、その日ニューヨークのイベントに出るから生中継つなげない?」

 そう言ってきたのは赤橋あやめである。

 今年から拠点をアメリカに移し、本場のジャズを身につけながらパーカッションの有望株として活動をしている。

 特にあやめは変拍子のパーカッションのパフォーマンスに定評があり、

「変拍子のイリス」

 と、みな穂がつけた愛称で呼ばれるようになった。

 このときは日本人の歌手がニューヨーク公演をするので呼ばれており、

「マヤ先輩もいるんだよね…」

 驚くべきことに、海老原マヤも同じイベントで撮影会にモデルとして参加する。

「今回はミクさんで出ます」

 Skypeで明るく話すマヤは変わっていなかった。