フォーメーションは、人数が九人になったことで却って組みやすくなったようで、
「センターに萌々香を持ってくることにした」
振り付け担当の美波は、二曲目の新曲のところで賭けというか博打に近いことを試し始めていた。
本来、普段なら安定的なナンバーを入れる。
今回は国立なので、多少は変わったことをしなくてはならないというプレッシャーと、美波は挌闘していたらしかった。
「厳しいかもしれないけど、今から萌々香には場数を当たってもらって、スターメンバーにするしかない」
リードボーカルも萌々香、るなの他に菜穂子を加えた。
「まさかのど自慢のファイナリストだったとはね」
菜穂子の実家が音楽教室なのは聞いていたが、歌わせてみると声に伸びがある。
「小学校の頃、おばあちゃんから少しだけ民謡を習っていた」
との由で、今どきの小動物系の可愛らしい顔立ちとは裏腹に、ちょっとボイストレーニングをさせてみたところ、すぐかなり変わったので、
「リードボーカルを三人にしたら、誰か一人倒れても大丈夫でしょ」
るなが言うと説得力があった。