『一ノ瀬さんなら変われるよ』
仲が良いわけでもない。長い時間一緒にいたわけでもない。
だけど八神くんのその言葉を信じてみたいと思った。
球技大会から数日が経って、高校二年最初のテスト期間が近付く。
部活がない休みの日、私は香耶の家に勉強会をしに来ていた。
「由奈ちゃんって運動部だけど頭いいよね。私いつも教えてもらう側だし」
「と言ってもテスト期間に詰め込んでるだけだよ。授業付いていくの大変だし」
香耶の部屋の小さなローテーブルで向かい合いながら問題集を解いていく。分からないところや難しいところは互いに聞き合って解いていく。
途中、休憩と言って香耶のお母さんが運んできてくれたケーキをいただくことになった。
香耶が重い口を開けたのはその時だった。
「あ、あのね、藤堂くんのことなんだけど」
「え?」
「私、結局何もできてないなって思って」
クラスが進級してから意中の人である藤堂くんに対してアプローチを掛けたいと言っていた彼女。
確かに一年の時よりも積極的に話しかけているように見えるがあまり結果には出ていないかもしれない。
それどころか藤堂くんは……
「だからね、テストが終わったらその……デートに誘ってみようかなって」
「で、」
デート!?、と顔を赤らめている彼女を釣られるように私も頬を染めた。
仲が良いわけでもない。長い時間一緒にいたわけでもない。
だけど八神くんのその言葉を信じてみたいと思った。
球技大会から数日が経って、高校二年最初のテスト期間が近付く。
部活がない休みの日、私は香耶の家に勉強会をしに来ていた。
「由奈ちゃんって運動部だけど頭いいよね。私いつも教えてもらう側だし」
「と言ってもテスト期間に詰め込んでるだけだよ。授業付いていくの大変だし」
香耶の部屋の小さなローテーブルで向かい合いながら問題集を解いていく。分からないところや難しいところは互いに聞き合って解いていく。
途中、休憩と言って香耶のお母さんが運んできてくれたケーキをいただくことになった。
香耶が重い口を開けたのはその時だった。
「あ、あのね、藤堂くんのことなんだけど」
「え?」
「私、結局何もできてないなって思って」
クラスが進級してから意中の人である藤堂くんに対してアプローチを掛けたいと言っていた彼女。
確かに一年の時よりも積極的に話しかけているように見えるがあまり結果には出ていないかもしれない。
それどころか藤堂くんは……
「だからね、テストが終わったらその……デートに誘ってみようかなって」
「で、」
デート!?、と顔を赤らめている彼女を釣られるように私も頬を染めた。