よく晴れた日曜日。秋晴れの空に映える真っ白なウエディングドレスを着て、結婚式場の大階段を新郎に手を引かれ下りてくる花嫁――はもちろん、私ではなく学生時代の友達・千鶴だ。

 私はこっち、フラワーシャワーを新郎新婦に投げつけているその他大勢のほう。
 瞳をうるませながら、「千鶴、きれいだね」なんて隣にいる女友達と目配せし合っている脇役。

 今さっき、式場備え付けの教会で誓いの儀式をすませたばかりの友人の顔は幸せそうだ。デコルテのあいた、プリンセスラインの華やかなドレスも花嫁の笑顔の前ではかすむ。

 フラワーシャワーが終わったあと、階段下の広場でブーケトスを行うらしいので、参列者はぞろぞろと大階段を下りていく。ヒールが細いパーティー用パンプスを履いてきたけれど、エスコートしてくれる新郎がいないから気をつけて下りるしかない。ここで転んで階段を転げ落ちようものなら、友達の結婚式を台無しにしてしまう。

 しかし、友達の結婚式には何度か出席しているが、毎回感動して泣いてしまうのはなぜだろうか。教会の誓いのシーンで一回、プロフィールDVDで一回、花嫁の手紙で一回。いつものパターンだとすると、今日もあと二回泣かされることになる。学生時代から知っていて、恋愛がうまくいっていないときもうまくいっているときも愚痴やのろけを聞かされてきた仲間なので、『あの子もついに幸せをつかんだのね』という親心もあるのかしらと思う。