ランチが終わった後も、妙にテンションの高い美奈子に付き合わされて、ベビー用品のお店を何か所か見て回った。
子どものいる友達も多いという美奈子は妊婦用品やベビー用品にも詳しくて、私にも色々と教えてくれた。
新しく引っ越したアパートは、家賃が格安である代わりにエレベーターがない。
幾つもの買い物袋を手に、階段を三階まで登る。
荷物を運ぶだけでこんなに息が上がっちゃって、子どもが生まれてからはどうしよう。
まあ、なるようになるか。今からうだうだ悩んでても仕方がない。
「はあー、疲れた」
ソファに座り、まだ全く目立たないお腹を撫でる。
この中に、あの小さくてよく泣いて、頼りなくて可愛らしいものが入っているなんて、未だに信じられない。
産婦人科の待合室で見かけた赤ちゃん達はみな、本当に可愛かった。
もうすぐ会えるね。
幸せな気持ちでお腹をさする。
お腹の赤ちゃんと一緒にゆっくりくつろいでいると、玄関のチャイムが鳴った。
もう夕方で、外は暗くなり始めている。こんな時間に訪ねてくるなんて、一体誰だろう。怪訝に思いながら、ドアスコープを覗き込んだ。
「どうして……?」
ドア一枚を隔てた向こう側に、不機嫌な顔で立つ上村がいた。
もう一度、苛ついた顔でチャイムを押す。
――ここまでこられたら、もう逃げられないか。
観念した私は、おそるおそるドアを開けた。
「先輩! 一体何やってんですか!!」
ドアを開けた途端、上村が激しい剣幕で怒鳴り込んできた。驚いてバランスを崩した私は、そのまま玄関の三和土に尻もちをついてしまった。
「いったあ~、そんな大声出して。びっくりするじゃない!」
「ちょっ! 先輩大丈夫? 子どもは……」
「は?」
「は、じゃないですよ。お腹大丈夫なんですか?」
「大丈夫だよ、咄嗟に庇ったし。そんなことより、どうして上村がここを知ってるの?」
引越し先のことは、美奈子にしか言っていない。上村は一体どうやってここに辿りついたんだろう? それに上村はさっき「お腹は大丈夫か」って私に聞いた……?
「ちょ、ちょっと待ってよ。子どもって、どうして上村がそのこと知ってるの?」
私が訊くと、上村はまた不機嫌そうに眉をしかめた。
「そのことで、話があって来たんだけど」
そう言うと、上村は私の返事も待たず、さっさと部屋に上がりこんだ。
子どものいる友達も多いという美奈子は妊婦用品やベビー用品にも詳しくて、私にも色々と教えてくれた。
新しく引っ越したアパートは、家賃が格安である代わりにエレベーターがない。
幾つもの買い物袋を手に、階段を三階まで登る。
荷物を運ぶだけでこんなに息が上がっちゃって、子どもが生まれてからはどうしよう。
まあ、なるようになるか。今からうだうだ悩んでても仕方がない。
「はあー、疲れた」
ソファに座り、まだ全く目立たないお腹を撫でる。
この中に、あの小さくてよく泣いて、頼りなくて可愛らしいものが入っているなんて、未だに信じられない。
産婦人科の待合室で見かけた赤ちゃん達はみな、本当に可愛かった。
もうすぐ会えるね。
幸せな気持ちでお腹をさする。
お腹の赤ちゃんと一緒にゆっくりくつろいでいると、玄関のチャイムが鳴った。
もう夕方で、外は暗くなり始めている。こんな時間に訪ねてくるなんて、一体誰だろう。怪訝に思いながら、ドアスコープを覗き込んだ。
「どうして……?」
ドア一枚を隔てた向こう側に、不機嫌な顔で立つ上村がいた。
もう一度、苛ついた顔でチャイムを押す。
――ここまでこられたら、もう逃げられないか。
観念した私は、おそるおそるドアを開けた。
「先輩! 一体何やってんですか!!」
ドアを開けた途端、上村が激しい剣幕で怒鳴り込んできた。驚いてバランスを崩した私は、そのまま玄関の三和土に尻もちをついてしまった。
「いったあ~、そんな大声出して。びっくりするじゃない!」
「ちょっ! 先輩大丈夫? 子どもは……」
「は?」
「は、じゃないですよ。お腹大丈夫なんですか?」
「大丈夫だよ、咄嗟に庇ったし。そんなことより、どうして上村がここを知ってるの?」
引越し先のことは、美奈子にしか言っていない。上村は一体どうやってここに辿りついたんだろう? それに上村はさっき「お腹は大丈夫か」って私に聞いた……?
「ちょ、ちょっと待ってよ。子どもって、どうして上村がそのこと知ってるの?」
私が訊くと、上村はまた不機嫌そうに眉をしかめた。
「そのことで、話があって来たんだけど」
そう言うと、上村は私の返事も待たず、さっさと部屋に上がりこんだ。