早いもので時間は午後の三時を回っていた。
みんな熱中しているから、時間が経っていることに気付いていないだろう。

誰も顔を上げようとはせずに、ずっと図鑑や卒業アルバムを睨み付けるように見ている。

時より疲れたような仕草を見せるけど、私達は調査を続けた。

小さな小学校の図書室なのに、この学校は本には力を入れているみたいで本の種類はとても多い。
動物や花の図鑑も様々な種類の本が揃っているみたいだ。

それと卒業アルバムは十五年分あるらしく、その一つ一つを私と小緑の二人で調べていた。
最初は色々と気付いた小緑だったけど、今は苦戦しているみたい。
写真を見る度に頭を抱えるような仕草を見せているし。

そんな中、今日は日曜日で学校は休みのはずなのに何故だか幼い少女達の声が聞こえてきた。
同時にみんなの集中力途切れる。

「そっちに花菜がいったよ!」

「絶対に捕まえよ!」

その女の子の声は、図書室の入口から聞こえてきた。
『女の子がいるのかな?』と思いながら視線を移すと、そこにいたのは可愛らしい本物の花が付いたカチューシャの女の子が図書室を見渡していた。

とても小さくて、小学生低学年に見える女の子。
私達の存在にはまだ気がついていないみたい。
彼女が何をしているのか、今はわからない。
私達に触れずに周囲を振り返ると、少女は大きなテーブルの下に隠れた。

私達はその少女の様子を見ていたら、また小さな少女が二人も入ってきた。
さっきの少女と同じ背丈の生意気な小学生。

さっきの声は、この二人の声なんだろう。

というか、なんでこんな日に学校に居るんだろう。
赤崎祭はどうした。赤崎祭は。

図書室に入ってきた二人組の少女は、すぐに私達の存在に気が付く。
ここにいる面子の容姿が問題なのか、少女達は少し脅えた表情に変わった。

「ねえ、怖そうな人がいるよ」

「そうだね・・・・。でも、今は花菜(カナ)を見つけないと」

テーブルの下には、最初に一人で入って来た花菜と呼ばれる女の子がじっと二人の様子を伺っている。
この様子じゃ、きっと『鬼ごっこ』とか『かくれんぼ』をして遊んでいるのだろう。

二人の少女が鬼。
テーブルの下の花菜が逃げると言った役割だろうか。

テーブルの下の花菜は二人に気付かれないように、まるで忍者のように素早くテーブルの下を駆け回る。
次第に私と小緑が居る大きなテーブルの下に潜り込んできた。

・・・・・。

かくれんぼか。
そういえば、かくれんぼが葵と愛藍と出会ったキッカケだったっけ。

正直言って、今となったはもう殆ど覚えていないけど。