「だめだよ。辛いのは分かるけど、ちゃんと空ちゃんは空ちゃんのままでいないと。いつもの空ちゃんがいないと、みんな空ちゃんのことが心配しちゃうだろ?」

私は小さく頷くと、誠也さんは私を見て笑ってくれた。
同時に私の手を離すと、私の頭を撫でてくれる誠也さん。

そして続けてダメな私に説教をしてくれる。

「だから、これからもすっと笑っていようよ。辛いことに押し潰されていたら、お父さんもお母さんも武瑠くんもみんな怒っているよ。『空ちゃんなら出来るのに、なんでやらないんだ?』って。それに空ちゃんが笑えば、みんなも笑顔になるしね」

美柳空に笑ってほしい。

誠也さんがそう私に伝えていると、私は痛いほど理解した。
私が笑えば、みんな笑顔になると言うことはよく分かった。

だけど・・・・。

「でも私、うまく笑えなくて・・・・。誠也さんに頼りたいのに、頼れないから私、どうしたらいいか分からなくて」

それが今の私の心の声。
言葉通り笑いたくても笑えない私がいる。

私の心の支えである誠也さんが最悪の状態だったから、どうしたらいいか分からなかったし。

大好きなお父さんはもうこの世にいないし。

・・・・・・。

でもやっぱり誠也さんは誠也さん。

私が大好きな笑顔で誠也さんは励ましてくれる。
「だったら、自分が信じている人に涙を見せたらいいじゃんか。相変わらず変な子だな。空ちゃん、泣いてばっかの泣き虫なんだし」

さりげなく誠也さんからいつもの攻撃を受けている気がするが、今はそこは無視。

「信じている人ですか?」

誠也さんは一度頷くと答えてくれる。

「そのために真奈美や海ちゃんに孝太くんと言った存在が側いるんじゃないの?ホントに、君は何もかも自分で問題を抱え過ぎだ。自分では何一つまだ解決できないくせにさ」

誠也さんはまた私の頭を撫でると続ける。

「それに誰かを頼らないと、本当にひとりぼっちになっちゃうよ。空ちゃんはそれでもいいの?」

ひとりぼっち。

その言葉を聞いて、私は引き込もっていたこの二週間の出来事を思い出した。
お父さんが亡くなってから、ずっと前を向くことが出来ず、一人で泣き続けたこの二週間。

もう戻りたくない二週間・・・・・。

・・・・・。

だったら、自分の意思をちゃんと伝えないと。

伝えたいこと、ちゃんと伝えないと。