約束の日曜日となった。

 昨晩は早めに寝ようと思い、十一時頃に床に就いたのだが、すっかり興奮してしまい、結局、明け方近くまで寝付けなかった。
 お陰で今は、少々寝不足気味だった。

(大丈夫かな……)

 身支度を整え、リビングでトーストとホットミルクという軽い朝食を摂っていたが、時おりウトウトしてしまう。

「紫織、食べながら寝ない!」

 母親に一喝されて慌てて目を覚ますも、それでも、数分と経たないうちに夢の世界へと落ちそうになる。

 そんな紫織に、母親は深い溜め息を吐きながら言った。

「ねえ、今日は無理にでも出かけなきゃいけないわけ? 断れないの?」

「うーん……、それは無理……」

 寝惚けながらも、紫織はきっぱりと否定した。

 母親は怪訝そうにしながら、「どうして?」と重ねて訊ねてきた。

「あんた最近、なんか様子が変よねえ? いつもならば、用事よりも家でダラダラすることを最優先するのに……」

 母親にまじまじと見つめられた紫織は、少しずつ頭が冴えてくるを感じた。
 同時に、全身から冷や汗がじんわりと湧き出る。

「なっ、何でもないよ」

 紫織は急いでトーストを口に押し込むと、それをミルクで流し込み、母親の視線から逃げるようにリビングを飛び出した。