灯りが点り始めた頃、空から真白な粒が舞い降りてきた。
音も立てずに地上へと落ち、辺りをゆっくりと銀色に埋め尽くしてゆく。
紫織はそれを、自室の窓から眺めていた。
美しく、懐かしささえ感じさせる雪。
見つめるほどに、遠く過ぎ去った日のことを想い出す。
あの時に交わした約束。
彼にとってはほんの些細なものでも、紫織にとっては今でも大きな意味をなしていた。
◆◇◆◇
翌朝、紫織は頬にひんやりとした空気を感じて目を覚ました。
首をもたげながら、ベッドの上の目覚まし時計を見上げる。
時計の針は七時ちょうど。
学校へ行く日であればすでに起きている時間だが、今日は日曜日である。
(もうちょっと寝よ)
紫織は布団を頭から被り、目を閉じる。
数分ほど、夢と現の境界線をさ迷うが、しだいに頭が冴えてくる。
結局、紫織はのろのろと身体を起こした。
凍ってしまいそうなほどの冷気が全身に纏わり付き、無意識に自身を抱き締める。
室内だというのに、吐き出される息も白く染まっていた。
「下の方があったかいかも……」
紫織は机の椅子にかけてあるカーディガンに手を伸ばし、パジャマの上から羽織ると、「寒い寒い……」をしつこく繰り返しながら部屋を出た。
音も立てずに地上へと落ち、辺りをゆっくりと銀色に埋め尽くしてゆく。
紫織はそれを、自室の窓から眺めていた。
美しく、懐かしささえ感じさせる雪。
見つめるほどに、遠く過ぎ去った日のことを想い出す。
あの時に交わした約束。
彼にとってはほんの些細なものでも、紫織にとっては今でも大きな意味をなしていた。
◆◇◆◇
翌朝、紫織は頬にひんやりとした空気を感じて目を覚ました。
首をもたげながら、ベッドの上の目覚まし時計を見上げる。
時計の針は七時ちょうど。
学校へ行く日であればすでに起きている時間だが、今日は日曜日である。
(もうちょっと寝よ)
紫織は布団を頭から被り、目を閉じる。
数分ほど、夢と現の境界線をさ迷うが、しだいに頭が冴えてくる。
結局、紫織はのろのろと身体を起こした。
凍ってしまいそうなほどの冷気が全身に纏わり付き、無意識に自身を抱き締める。
室内だというのに、吐き出される息も白く染まっていた。
「下の方があったかいかも……」
紫織は机の椅子にかけてあるカーディガンに手を伸ばし、パジャマの上から羽織ると、「寒い寒い……」をしつこく繰り返しながら部屋を出た。