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・【ある日のこと】
・
そんなこんなで、毎日校庭にあるスベリヒユを採取しては、二限目と三限目の長めの休み時間にノエルちゃんへ料理を作っていた時だった。
今日、学校にやって来たノエルちゃんはあからさまに調子が悪そうで、席に着くとすぐに胃のあたりをさすっては、うんうんと唸っていた。
その時、僕と紗英は朝の下処理を早めに終えて、もう教室に戻ってきていたので、僕は僕の席に、紗英はその隣の席に座って、何気ない会話をしていた。
でもその、やけにデカくて妙に赤いバッタの話は止めて、ノエルちゃんの話を始めた。
「何か最近、ノエル、ずっと胃のあたりさすっていない? 特に今日、酷そうだし……」
心配そうにそう言った紗英。
確かに僕も1週間前からその傾向を感じていた。
でもお腹はすいているし、食べたいと言っていたので、いつも通りスベリヒユ料理を振る舞っていたのだけども。
どうすればいいんだろうと考えていると、紗英が立ち上がり、
「誠一! 直接聞きに行くよ!」
と言ったので、僕も立ち上がり、ノエルちゃんの席へ行った。
ノエルちゃんは明らかに具合が悪そうにしていたので、僕は困りながら
「ちょっと、ノエルちゃん大丈夫? 具合が悪いなら今日は休んだほうがいいよっ」
と言うと、ノエルちゃんは僕を見るなり、少しモジモジしながら、
「アタシのこと見てたんだ、もぅ……」
と微笑みながら、そう言ったので、
「いやたいした返答になっていないよ、ほら、保健室に連れていこうか?」
と返した。
ノエルちゃんは初めてスベリヒユ料理を振る舞った日の放課後以降、どうも僕に対してだけモジモジして喋るようになってしまった。
紗英の『自分のことを俺ということ』や『それぞれ個性がある』などのことはおろか、僕にも全然慣れてくれない。
「なぁ、ノエル、俺が肩を貸してやってもいいぞ」
と紗英がノエルちゃんに手を差し伸べると、それは振り払って
「それなら誠一がいい……でも、別に、大丈夫……アタシ、寝るから……」
と言って、それ以降は、机にうつ伏せになって、そのまま僕たちのことを無視してしまった。
「本人がそういう気ならしょうがないな」
と言って紗英はさっきいた席に戻り、僕も席に戻った。
でもノエルちゃんのことが心配で心配でしょうがなかった。
その後、ノエルちゃんにスベリヒユ料理を振る舞って、給食も食べていたから、まだ大丈夫だとは思うんだけども、何だかなぁ。
だからせめて何か手伝えないかと思って、放課後、スベリヒユ採取を止めて”オオバキボウシ”を採取することにした。
・【ある日のこと】
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そんなこんなで、毎日校庭にあるスベリヒユを採取しては、二限目と三限目の長めの休み時間にノエルちゃんへ料理を作っていた時だった。
今日、学校にやって来たノエルちゃんはあからさまに調子が悪そうで、席に着くとすぐに胃のあたりをさすっては、うんうんと唸っていた。
その時、僕と紗英は朝の下処理を早めに終えて、もう教室に戻ってきていたので、僕は僕の席に、紗英はその隣の席に座って、何気ない会話をしていた。
でもその、やけにデカくて妙に赤いバッタの話は止めて、ノエルちゃんの話を始めた。
「何か最近、ノエル、ずっと胃のあたりさすっていない? 特に今日、酷そうだし……」
心配そうにそう言った紗英。
確かに僕も1週間前からその傾向を感じていた。
でもお腹はすいているし、食べたいと言っていたので、いつも通りスベリヒユ料理を振る舞っていたのだけども。
どうすればいいんだろうと考えていると、紗英が立ち上がり、
「誠一! 直接聞きに行くよ!」
と言ったので、僕も立ち上がり、ノエルちゃんの席へ行った。
ノエルちゃんは明らかに具合が悪そうにしていたので、僕は困りながら
「ちょっと、ノエルちゃん大丈夫? 具合が悪いなら今日は休んだほうがいいよっ」
と言うと、ノエルちゃんは僕を見るなり、少しモジモジしながら、
「アタシのこと見てたんだ、もぅ……」
と微笑みながら、そう言ったので、
「いやたいした返答になっていないよ、ほら、保健室に連れていこうか?」
と返した。
ノエルちゃんは初めてスベリヒユ料理を振る舞った日の放課後以降、どうも僕に対してだけモジモジして喋るようになってしまった。
紗英の『自分のことを俺ということ』や『それぞれ個性がある』などのことはおろか、僕にも全然慣れてくれない。
「なぁ、ノエル、俺が肩を貸してやってもいいぞ」
と紗英がノエルちゃんに手を差し伸べると、それは振り払って
「それなら誠一がいい……でも、別に、大丈夫……アタシ、寝るから……」
と言って、それ以降は、机にうつ伏せになって、そのまま僕たちのことを無視してしまった。
「本人がそういう気ならしょうがないな」
と言って紗英はさっきいた席に戻り、僕も席に戻った。
でもノエルちゃんのことが心配で心配でしょうがなかった。
その後、ノエルちゃんにスベリヒユ料理を振る舞って、給食も食べていたから、まだ大丈夫だとは思うんだけども、何だかなぁ。
だからせめて何か手伝えないかと思って、放課後、スベリヒユ採取を止めて”オオバキボウシ”を採取することにした。