「沙雪と会った日から、私は少しずつ自己主張をしていったの。そうしていると不思議なことに義父は私にそれ程厳しい態度をとらなくなった。だから外で遊ぶようになったの。蓮を諦める為にもいろんな人と出会ってみたいという気持ちも有った」
「……そう」
雪香は不思議だと言ったけれど、私には義父の行動が理解出来た。
雪香は暴力も含まれていた厳しい躾を受け、幼い頃から義父を恐れていたんだろう。
でも、義父の躾は行き過ぎていながらも筋は通っていたと、蓮が言っていた。
義父は雪香を、ただ虐めていた訳じゃ無い。
急に厳しさが無くなったと言うのは、雪香が大人になったと認めたからじゃないのだろうか。
「いろんな人と遊ぶのは楽しかった、今迄知らない世界だったし……沢山の人と出会った。自由になれた気がしたの」
雪香の気持ちもなんとなく分かる気がした。
でも雪香は間違ってる。
自由になるには、その分自分で責任も取らなくてはならないのに。
「私の名前を使っていなかったら、納得出来る行動だったかもね」
雪香はきまずそうに目を伏せた。
「自分の好きにするって決めたのに、その行動を義父に……それから蓮にも知られたくなかった。失望されたくなかった。それで初め咄嗟に出した沙雪の名前をずっと使ってしまっていた」
「雪香の中で良くないと思ってる行動は私のせいにしたかったんだ……」
酷く勝手な話だけれど、それが雪香の本音で嘘はないのだろう。
「ごめんなさい……それでそんな時に徹と出会ったの。徹は私に好意を持って熱心に連絡して来てくれた。私は初めは軽い気持ちで徹にも沙雪の名前を名乗ったの」
「ミドリのお兄さん?」
確認すると、雪香は静かに頷いた。
「私は段々後悔し始めた。ただ楽しければ、寂しさを紛らわせればいいと思ってた徹との付き合いが、私の中で大きなものに変わっていったから。嘘を言ったのを後悔し始めた」
「その頃から彼が好きだったの? 蓮よりも?」
「蓮より好きと言える程の気持ちは無かったけど、徹も必要だったから悩んでた……そんな時ミドリが私を訪ねて来たの」
「ミドリに、彼との付き合いを止めるように言われたんでしょ?」
以前、ミドリから聞いた話を思い出しながら言うと雪香は頷いた。
「私、すごく動揺した。それまで徹が既婚者だって知らなかったから」
なんとなくその時の様子が想像出来た。
「……そう」
雪香は不思議だと言ったけれど、私には義父の行動が理解出来た。
雪香は暴力も含まれていた厳しい躾を受け、幼い頃から義父を恐れていたんだろう。
でも、義父の躾は行き過ぎていながらも筋は通っていたと、蓮が言っていた。
義父は雪香を、ただ虐めていた訳じゃ無い。
急に厳しさが無くなったと言うのは、雪香が大人になったと認めたからじゃないのだろうか。
「いろんな人と遊ぶのは楽しかった、今迄知らない世界だったし……沢山の人と出会った。自由になれた気がしたの」
雪香の気持ちもなんとなく分かる気がした。
でも雪香は間違ってる。
自由になるには、その分自分で責任も取らなくてはならないのに。
「私の名前を使っていなかったら、納得出来る行動だったかもね」
雪香はきまずそうに目を伏せた。
「自分の好きにするって決めたのに、その行動を義父に……それから蓮にも知られたくなかった。失望されたくなかった。それで初め咄嗟に出した沙雪の名前をずっと使ってしまっていた」
「雪香の中で良くないと思ってる行動は私のせいにしたかったんだ……」
酷く勝手な話だけれど、それが雪香の本音で嘘はないのだろう。
「ごめんなさい……それでそんな時に徹と出会ったの。徹は私に好意を持って熱心に連絡して来てくれた。私は初めは軽い気持ちで徹にも沙雪の名前を名乗ったの」
「ミドリのお兄さん?」
確認すると、雪香は静かに頷いた。
「私は段々後悔し始めた。ただ楽しければ、寂しさを紛らわせればいいと思ってた徹との付き合いが、私の中で大きなものに変わっていったから。嘘を言ったのを後悔し始めた」
「その頃から彼が好きだったの? 蓮よりも?」
「蓮より好きと言える程の気持ちは無かったけど、徹も必要だったから悩んでた……そんな時ミドリが私を訪ねて来たの」
「ミドリに、彼との付き合いを止めるように言われたんでしょ?」
以前、ミドリから聞いた話を思い出しながら言うと雪香は頷いた。
「私、すごく動揺した。それまで徹が既婚者だって知らなかったから」
なんとなくその時の様子が想像出来た。