思わず目玉が乾きそうになるくらいに目を見開くも、神主さんの表情は変わらない。


「少なくとも、この神社に昔からある言い伝えなんかじゃないよ。うちにはそんな文献ないしね。いつの間にか、そんな噂が勝手に流れていたんだよ」


ほん、とに?

じゃあ、この神社で律と一緒にお参りをしてからテレパシー能力が使えるようになったのは……偶然?

テレパシー能力に、この神社は関係なかったのか?


「さあ。そんな根も葉もない噂話はやめて、まずはこの神社の歴史を……」


その後、神主さんは長時間に渡り、嬉々としてこの神社について語っていた。
目的を失った俺達は戸惑うも「もう帰ります」とも言えない雰囲気で、時折頷きながらただ黙って神主さんの話を聞いていた。

結局、約三時間、空の色が赤く変わるまで、たっぷりとこの神社の歴史や成り立ち等、正直全く興味がない話を延々と聞き続けてしまったのだった。