【 第五章 】

「おい……」
「ん? なに?」
「この農夫もオマエ達が戦っているっていう悪いヤツラなのか?」
「ん……」
 っと、敵のレベルメーターをチェックするレミ。
「一応……、この反応を見ると、カラーがレッドなので悪い夢属性であるコトは間違いないみたい」
 と、手元のハンディ・スキャナーをいじっているレミ。

「コレが悪いヤツなのか……? どう見てもただの人の良さそうな農夫にしか見えないんだが……」
 と、いぶかしみながら、そのカラーレッドと成っている男をしげしげと見ているオレ。

「おぃ、ソコの若ぇのっ!」
「あ、はい……」
「このオレを見ると! 甘く成るぜっ!? あっ、いや、このオレを甘く見ていると、甘く成るぜ!? あっ、いや、このオレを痛い目に合うと、甘く成るぜ!? あっ、いや」
 と、一応スゴもうとしているらしい農夫。

「オレを甘く見ていると痛い目に合うぜ?って、言いたいんじゃないのか?」
「おぅ、そうだよ、おぅおぅ若ぇの人のセリフを取ってくれちゃうとは度胸がイイじゃネェか?」
「いゃ、イイ度胸してるじゃネェか、じゃないのかな……」
「おぅおぅ、今回しか出番が無いかもしれないってぇのに? オレのセリフを2回も取るんじゃネェよ、この若ぇの!」
「あ、ちゃんと言えた」と、レミ
「おぅ、ちゃんと言えたぜ」
 ちゃんとセリフが言えたコトに少し嬉しそうな様子の農夫。

「おぃ……」
「なに?」
「何度も聞くようだけど、このオッサンも、オマエの言うその悪い夢の世界の連中なのか……?」
「うん、スキャンしたら、そう出てる…、一応やっつける対象ではあるみたい……」
「そっか、じゃ、やっちゃってイイんだな? このオッサン」
「うん」
「おぅおぅ、ナカナカいい威勢の……、いい威勢じゃネェか」
「イイ加減、ちゃんとセリフを言え――っ!」
 ブワキィーーー、ナオトのアッパーカットが農夫のオッサンに見事にヒットする。

「ノオオオオオオオオオオオオオオオオオオオフッ!!」
 吹っ飛んで行って空の彼方へと消え去る農夫のオッサン。

「おぃ、ココは片付いたぞ?」
「そぅ……、みたいだね……♪ ナオトくん、そんな力一杯やっちゃったら……」
「なんだよ」
「チョット可哀想、あのオジさん……」
「なんだよ、オマエが敵だって言うからだろ? 何度も聞くがあんなのもオマエらの戦っている連中の一味なのか?」
「うん……、人によってレベルは様々だけど……、悪い因子を埋め込まれていた人には変わりなかったみたい……」
「そっか、チョット気の毒だな、根はイイヤツだったのかもしれないな? あのオッサン……」
「うん……、でも一応本人に問題があるのは確か……」
「そうなのか……」
「仕方ないよ、コレばっかりは……ワイリー・フラウの人達に汚染されていたのは間違い無いから……、じゃ、次行こっか?」
「おう」

 と、そんな感じで、レミに率いられ、夜な夜な「ワイリー・フラウ」に汚染された人達をやっつける、と、いうクエストじみたコトをし始めるコトに成ったオレ……、一体いつがゴールなんだろうか……、ゲームじゃないからどっかの時点でクリアとか、そういうのは無いのかもしれないが……、出会った頃のノンビリとお喋りに花を咲かす……、そんな夢もまた観てみたいな?とか、チョット思わなくもないオレの夜だった……。