そんなことを話していると、学校に着いていた。
緑色のネットにクラスの名前と出席番号が書かれた紙が、貼り出されているということが、一年の修了式の時に先生に言われていたのを思い出して、見てみると書いてあった。 僕は、加奈と一緒に一組から順に見ていった。一組を見て、なかった。 次に、二組を見て、探して見た。すると、「あ、あった」と加奈は、嬉しそうに言った。「同じクラスだよ、春樹、やったー」僕は、加奈の前でクールでカッコいい部分を見せれば、惚れるだろうな、と思い、目を少し上にあげて、カッコをつけた感じに鼻で笑った。 加奈の表情は、どんなだろうと思い見てみると、引いたような目をしていた。そして僕にこう言ってきた。「なに、その俺は、最初からわかってましたよ的な感じの態度」
予想していた表情をしていなくて、焦った僕は、「え?、あ、いや」という風にきょどってしまった。
改めて、性格を考え直してみると、怖い一面もあるのだと、僕は、知った。きょどっていると、加奈が「冗談だよ」と笑顔で言ってきた。それを知った僕は、「なんだ、冗談だったのかよ、びっくりした、本当のように言うから、冗談じゃないのかなと思うじゃん」と言った。「逆に何で冗談じゃないって思うの?、なんか春樹って個性的だよね。」と加奈は、からかう感じでそう言った。「くっ、いちいち頭にくる事を言ってくるな。」と僕は、思い、口にして、言い返すことができなかった。口では、男は、絶対に勝てない、口で勝つのは、女の方だ。男は、口が弱いってことは、もっと語彙力をつけて、口を強くする必要があるのではないのかと、思った。そもそも、語彙力なんて、どこで学べばいいかなんて分からない。じゃあなんで、女は、口が強いかというと、右脳と左脳が関係しているのだろう。 パッと、物事を言う時、口がすぐ出るってことは、左脳が発達しているのだろう。そして手がすぐ出る人は、右脳が発達しているのだろう。そして、手を出せば、DV(ドメスティックバイオレンス)と見なされて、暴力を振られた側の人が訴えたら、捕まってしまう。だから、喧嘩をして、どんなにムカつく事を言われてしまっても、手は出してはダメだと心の中でボソボソと思った。
彼女を作れば、大抵の男の人は、中学生になってから、急に彼女が欲しい、欲しいと言い、何故そんなに彼女が欲しいのかと聞いてみると、何も、答えなかった。思春期の男子が考えることだ。きっといやらしいことなのだろう。でも、僕は、もちろんそんないやらしい事を考えて今の彼女と付き合ってはいない、普通に可愛くて、優しい人だから、付き合いたいと思っただけだ。たとえ人から、本当は、「いやらしい事をしたいだけだろ」と言われても、そんな誘導には、引っかからないぞ、と強く思っている。
教室に入ってみると、僕の席が、一番左端の窓側の後ろから二番目の席だ。そして、その横に加奈の席だった。席が隣っていうことは、カップルにとって嬉しいことだ。加奈も嬉しいはずだと思って、表情を見てみると、目を細めて嫌そうな顔をしていた。加奈は、本当は僕と付き合うことが嫌なんじゃないのかなと思った。でも、嫌なら向こうから、別れようと言ってくるはずだ。一度聞いてみようと、僕は、思った。「なぁ、なんでそんな嫌そうな顔してんの?、なにか嫌なことでもあった?」と僕は、言った。すると加奈は、「べ、べつに嫌じゃないけど、少し字が見えづらいと思って。」と言った。「なんだ、そうだったんだ、」と僕は、少し安心した。「先生に言ってこようか?」と僕は、言った。「いい」と気を使うような感じで言ってきた。本当は、言って欲しいのに、正直に言わない、いや、言えないのか。いや、待て字が見えづらいと言うところで自分の気持ちに嘘をついていたら、僕のせいで加奈は、悲しんでしまう。でも、考え過ぎか、いや、考え過ぎじゃない場合もある。分からない、分からなくなってきた。思い切って、聞いてみたらいいのに、ついつい、脳で躊躇(ちゅうちょ)が、発生してしまう。なんでこんなにも躊躇が発生するんだ、とまた僕は、躊躇している。「僕は、あぁどうしたらいいんだ」と、頭を抱え込んでいたら加奈が、「どうしたの?」と声をかけてきた。僕は、こう言った。「君のことを思って、先生に言いに行った方がいいのか、でも、もしそれが、嘘だったらと思いもあって、ずっと、迷っていた。」と言った。すると、加奈は、「深く考え過ぎだよ、ハハッ、そこまで考える人、私初めて見た。」と笑いながら言った。「そうだよな」と僕は、納得したような感じで言った。これから、あまり深く考え過ぎないでおこうと思った。そう思ったけど、いずれまた考えてしまいそうだ。強くそう思ってもそう言うのは中々変えたくても変えれない。何日、何年掛かるかなんてことも分からない。だから実際のところ変えようと心がけをしているだけだ。心がけなら意味がないと思う。本当に底から思わないと、でも、仕方がないことだ。周りが変えたいと思っても、自分自身が、変わりたいと思わない限り、変わらないし、変えたいと思っているものが十年位経ってから、変えたいと思っても、もう遅いと思う。なぜならもう、癖ついてしまっているはずだから。その癖を直すにはとても無理がある。例えば、座った時に足を組む癖が十年位続いていて、ある時に直したいと思っても、直らないって言うのが例だ。だから、早い段階で人から、そこを直した方がいいよと言われていると、言われた人も、直しやすい。
一限目の授業を受けていて、加奈が、黒板に書かれた字が見えなくて、目を細めたりしていて、ノートを取ることができないんじゃないかと思った。 僕は、黙ってノートを差し出して見せてあげた。差し出そうとした時、どのくらい書けてないんだろうと思った僕は、加奈のノートを少し見てみた。 すると、黒板に今書かれているところまでずいぶんと綺麗な字で書けていた。それを見た僕は、「字が見えないフリをして、騙したのか」と強く言った。すると、加奈が、「そっちが勝手に騙されたんでしょ、それにフリじゃない、蛍光灯の光が目に当たって眩しかっただけ。」と言ってきた。僕は、口にはしなかったが、「紛らわしいことするんじゃねえよ」と心の中で笑いながらツッコンで思った。 口にしなかったのは、口にすれば、また言い返されて口論には、勝てないと思っているからだ。と僕は、思った。「それに春樹のその字汚くて読めないから、渡されても困るんだよね。」と加奈は、強く、怒鳴る感じで言ってきた。言われた僕は、「やはりこいつには酷い毒舌な部分があるな」と思った。それが、加奈の裏の顔なのか、裏の顔だとしても少し出かけている感じだと思った。って僕も、口が悪いな、自分の彼女に対して、「こいつ」とか言って、人のこと言えないな。このように、人は、人のことを言えない部分をどうしても言ってしまう。「自分は人のこと言えないじゃん、」というようなことを言ってしまう。それは、何故だか分からない、きっと、人間そんな風に作られているのだろう。その答えは、僕には分からないというよりも、人に分かることなのか。答えを出した人は、いるのか。一向に気になる。いつも、気になって、調べたりは、しない。何故調べないかというと、ただただ、めんどくさいからだ。 だから、いつも、気になって終わる。答えを知るまで探し出す人は、すごい忍耐強いと思う。 たとえ探すまでの間の時間が長かったとしても、答えが出るまで踏ん張る。 僕の判断もそうなる時が来るのかなと、ふっと考えてしまう。 でも、答えが出るまで踏ん張る人がいるのだったら実際にあって、話をしてみたい。その人は、きっと、僕と違う考え方をしているからだ。自分と異なった考え方をしている人を見たり、話を聞いたりしてみると、凄くいろんなことが学べるからだ。
僕は、加奈が「自分ができないことを人に言う奴」ってどう思うのか。 どんな考え方をしているのかと思い僕は、聞いてみた。加奈は、「自分ができないことを人に言う人ってどう思う?」と僕は、聞いた。加奈は、こう答えた。「そんな人、実際にいたら最低だよね」それを聞いた僕は、珍しく意見が一致したと思った。いつもなら酷い毒舌なことを言うのかなと思ったけど、この質問に対しては、酷い毒舌なことを言わなかった。根は、優しいのか。本当の性格が分からない、どんな子なのか。僕が一年間見てきた性格が、本当の性格だったのか。疑ってしまう。こんな、すぐに疑って人は、僕のことを人間不審だと思うのだろうか。加奈は、悪気があってしたのか、ただのからかいなのか。前に、深く考え過ぎないでおこうと決めたのに、もう深く考え過ぎてしまっている。だめだ、僕はバカだ。
「キーンコーン、カーンコーン」とチャイムが鳴った。一限目の休み時間が終わり、二限目が始まった。
二限目は、数学だ。加奈は、数学が得意だったから、いつも、数学が分からない僕に、向こうから勝手に教えてきてくれる。プライド高い僕は、教えては欲しくない。結局、そんなことも言えなくて、教えてもらう。 気持ちだけは、嬉しかった。プライド高い僕は、「もうできるからいいよ」と適当に言ってことをすぐ済ませようとするが、加奈は、「まだ分かってないでしょ」と言って長引かせてくる。僕からすると、少し、いやかなり厄介だ。 向こうも向こうで厄介な奴だと思っていそうだな。 それでも、数学の分からないとこを最後まできちんと教えてくれる。彼女ができてからの不満かもしれないな。
加奈は、数学だけは、他の科目よりずば抜けてできて、計算が早く、図形もできていた。数学ができれば、科学とかも得意かなと思ったが、得意じゃなかった。 それを知った僕は、不思議だと思った。 普通だったら科学ができて、数学ができないという感じのパターンの人が多いはず。なのに加奈は、逆だ。他の科目は、全然、できない。だから僕は、他の科目の時間に仕返しをしてやろうと企んだ。次の時間は、なんだろうと思って黒板に書かれた時間割を見てみると三限は、美術だ。美術は、僕は、他の科目よりも得意な方だった。あと五分で終わる。あと時計の針が五周すれば、美術だ、ああ待ちどうしいな。時計の針を少しでも早く動かしたいと思って念力を信じてやってみた。 時計の針に目を向けて目力を強くしてまばたきをせずにやっている。 すると、だんだん目が乾燥して、涙が出てきた。すると、加奈が横から「さっきから何しているの?」と言ってきた。そんなことを答えるより僕は、時計の針を動かすことに、無我夢中だったので、無視をして必死で動かしていた。 心の底では酷いことをしてしまったという罪悪感のようなのが出てきていたけど、時計の針を動かすことに集中した。 後一周だ、頑張れ僕。 自分で自分を応援した。よし、回った。あれ?鳴らないチャイムが鳴らない、どういうことだ、時間が早いのか。でも、鳴らないってことは、そうだろう。ってか、なんで皆気付かないんだよ。おかしいだろ、気付よ。くそっ、時計の針が後もう五周するまで、目力を強くしてまばたきせず念力をしなければならないのか。でももういいや、めんどくさくなったし、罪悪感も出ていたし、辞めよう。そう思った。自然に何もせず待っていると、チャイムが鳴った。「加奈、怒っているだろうな。」と僕は、加奈のいない場所で、独り言のようにつぶやいた。何故なら、加奈に聞こえていると、いちいち怒ってくるからだ。
三限目がそろそろ始まるな。
僕は、いつも休み時間をほぼ一人で席に座ったまま過ごしている。何故一人でいるかというと、一人が好きだからだ。 友達は、いないし、いらないと思っている。 休み時間になると、他の人達が結構距離をあけて、時々、僕の方に、視線を集めて何かを言っているような感じがする。何を言われているんだろうと思い、同じクラスのある男の子に聞いてみた。 すると彼は、「お前、独りでいるのが嫌じゃないの」と言った。 だから僕は、「嫌じゃないよ」と言った。なんで独りでいることが嫌なんだろう。と思った。
彼らの頭の中では、きっと独りでいる人達の価値がないと思っているのだろう。 独りでいたら恥ずかしいと思うのだろう。
でもそれは、毎日毎日、集団行動をしている人達が多いから、そう偏見的に捉えてしまうのだ、集団行動と単独行動をしている人の割合では、圧倒的に集団行動をしている人達の方が多い。単独行動をしている人達はごく稀で、すごく珍しいもんだ。 顔をあげているのが、辛いという人は、寝たふりやノートを開いて勉強しているフリをして、何でもいいから用事をしているように見せようとしている。 寝たふりは、とてもきついと僕は、思う。うつ伏せの状態を十分間もするのだから。 用もないのに席から立ち上がって、教室を出て、廊下を徘徊したりもしている人もいる。 単独行動をしている人達のことを最近の言葉で言うと、「ぼっち」っていう人が多いんじゃないかと僕は、思い、「ぼっち」が悪いっていう風潮は、無くすべきだと思った。そんな考えを僕は、壊したい、人が集団行動をしようが、単独行動(ぼっち)をしようが、味わうメリット、デメリットは、同じだから、単独行動(ぼっち)だけが悪いという判断は出来ないはずだ。 ぼっちになるには、何か意味があると僕は、思う。 そして、その経験が何かの役に立つかもしれない。過去に経験をしていたら、未来に同じような子がいて、悩んでいたら、言葉をかけることだって、できて希望を与えれるからだ。経験をしていない人は、そんな子に言葉をかけることができるのだろうか。できないと言いきれる。何故なら、自分は、経験をしていないからだ。こういう気持ちは、経験した人にしか分からない。
色んなことを頭の中で考えて授業を受けていたら、いつの間にか三限が終わって、休み時間になっていた。授業の内容を聞かなくて、一時間無駄なことを考えてしまったな。ああ、バカだ。僕は、なんてことをしてしまったんだろう。過去を悔やんでも仕方がない。そう思った僕は、過去を悔やむことを辞め次の時間からは、ちゃんとしようと僕は、思った。
次の授業の準備をしようと思って、黒板に書かれた時間割を確認しようとするも四限目だけ書かれていなかったんで自分が持っている時間割表を確認しようと思い机の中から取り出そうとした。 すると「あれ?、あれ?、ないぞ時間割表が無い」と心の中で言う僕、そして焦る。確か、朝来た時に机の中に入れたはず、奥に手を伸ばしたりして、探した。リュックサックの中も探した。でも見つからない、だから僕は、加奈が、僕の時間割表を持っているかなと思い、聞いてみた。なぜ真っ先に加奈に聞いたかというと、一年生の頃これと全く同じようなことが起きて、加奈が僕の時間割表を盗んでいたからだ。何のために盗んだかは、分からないが、何よりも前兆があるから、加奈をまず疑った。「加奈、僕の時間割表を知らないか?」と少し怒り気味のように聞いてみた。すると加奈は、「ち、違う。違うよ私じゃない」と答えた。 今の反応を見て僕は、加奈が犯人だと思った。なぜなら分かる通り、めちゃめちゃ動揺していたからだ。 だから僕は、問い詰めた。「時間割表を盗んだのは、君だな」と強く言った。加奈は、「本当に知らない」と答えた。 だから、僕は、加奈に対し、「しらばっくれるな、さっきの数秒前の反応どう見てもおかしいだろ、知らないというのだったら机の中身を出してもらおう。そしてリュックサックの中身も見せてもらおう。」と僕は、怒らながら言った。そんな中、加奈は平常心で「なんか警察の取り調べみたいだね」とツッコンできた。それを言われた僕は、怒りの感情を出している中、少し笑いそうになった。「ここで笑ったら台無しだ、」と思い笑いを一生懸命堪えた。加奈は、リュックサックの中身から物をちゃんと一つずつ机の上に出して、証明してきた。 そして机の中身も同じように。 加奈からしたら、絶対に厄介な奴だと思っているな。 そんなことも分かっていながら言う僕は、どうかと思う。中身を見せてもらった結果、僕の時間割表が無かった。「ほら、無かったでしょ、大丈夫?」と加奈が言った。
僕は、凄く恥ずかしくなっていた。 何故なら、さっきまで自信満々に言っていて、予想がはずれてしまったからだ。 僕は、凄く顔が赤くなっているだろう。 今自分で、自分の顔を見ることを、できないから分からないが、予想はできる。 加奈は、顔が赤くなって、予想を外している僕の方を見てずっと笑っていた。
自分の黒歴史が一つできてしまったと思った。顔には、出さなかったが心の中で、悔しいと思い、最後に加奈が言った「大丈夫?」が凄く胸に痛い針が刺さったような感じがし、敗北感を味わった。 敗北感を味わうってことは、犯人を探して問い詰めることがいつの間にか自分の中では、戦いに変わっていていた、ということなのか。と疑問に思った。 変にどうでもいいことを疑問に思うことが多いな。
変なことを考えた時に疑問に思うっていうのは、割と普通なことなのかな、と思い、そう思っているのは、自分だけなのかなと思ったので、加奈に聞いてみた。加奈の方を見て話そうとすると、加奈はまだ笑っていた。それを見た僕は、加奈に対してこう言った。「よっぽど面白かったの?」と少し驚きがあるように聞いた。すると加奈は、「うん」と答えた。悔しいと思っていたが、そんなに面白いって思うんだったら自分だけ笑わないのは、「なんか違うな」と思い僕も笑って、二人で笑い合った。
そして、時間割表のことは、もう諦め、加奈が時間割表を持っていると言ったから、「帰ったらケータイで写真を撮って僕に送ってくれないか?」と僕は普通に平常心で聞いた。加奈は、「いいよ」と答えてくれた。やっぱり加奈は、最終的には、優しさを出してくれるから、有難い人だ、感謝を忘れてはいけない人だな。
次の日、昨夜、加奈はちゃんと僕が頼んでおいた写真を撮って送ってきてくれた。 何故だか、四枚も写真を撮って送ってきてくれた。
「同じ写真四枚かな?」と思った僕は、 一枚目は、ピントが合っていない、ぶれぶれの写真で字すらも読めなかった。 次に二枚目は、一年生の時の時間割表と間違えて撮って送ってきた。 三枚目は、三枚目はちゃんとした時間割表を送ってくれるだろうと僕は、思っていた。
でも全然訳のわからない黒人の写真を送ってきて、「面白くない?」と加奈が言ってきた。 僕は、それを見てみて、笑ってしまった。でも、「面白くない、時間割表を早く送ってきて。」と言った。 すると、加奈は、「正直に言いなよ、面白いって」と言って誘導尋問している文章を送ってきた。 僕は、その文章を見て「こいつ、僕を誘導してきて、悪いやつだな。」と思った。だから、僕も誘導仕返した。「本当は、面白くないのじゃないかな、正直に言いなよ」と、文字を打ってる最中、加奈が騙してきた方法と同じ方法で言ったからバレるだろうなと思いながら打って送った。すると加奈は、「私と同じ方法で騙そうと思っても無駄だよ。残念でしたー」と返信してきた。返信してきた文章を読んでみると僕は、だんだんムカついてきて「ちっ」と舌打ちをし、「まぁ、バレる覚悟で送ったから別にいいか、でもこの文章ムカつくな、」特に最後の「残念でしたー」が凄く腹立つ。 からかっているようにしか見えない、言い返そうと思ったけど、言い返す言葉が思いつかなかったので、何も言い返せなかった。
ムカついて部屋にあったサッカーボールのクッションを蹴飛ばした。蹴飛ばしたサッカーボールのクッションは、たまたま壁へ当たり天上から吊るしていたペンダントに当たってペンダントが落下してきて僕のおでこを直撃した。「結構強めで蹴って済ませようとしようとしたところ壁に当たってペンダントに当たってペンダントが落下してくるなんて運がないな僕は。ムカついてしたことが自分の嫌がらせで返ってくるだなんて。」
もういい自分の言いたい文だけ打って送って終わろうと思い、「早く時間割表を送ってきてくれよ。」と文字を打とうとしていている最中に、加奈が、「時間割表を全然送らなくてごめんね、手が滑って色んな写真を送っちゃって、」という返信をしてきた。 「ちっ、なんでこんな時に限ってタイミングが一致するんだ、それに手が滑っててなんだ、分かりやすい言い訳するんじゃないよ」とちょっとオネェみたいな感じのが混ざって心の中でツッコミながら思った。そもそも、「手が滑るって何だ?」そんな簡単に滑る訳がないのにどんだけ分かりやすい言い訳してるんだよ、絶対からかっている。そんな風にしか見えない。と心の中で思っているのはもう嫌だから、口に出して大声で言ってしまった。言ってしまった後、
親に「あんた夜中に、何言ってるのうるさいわよ」と強く怒鳴られた。「もうこれ以上は、こっちからは、連絡はしない方がいいし、向こうも向こうで謝ってきたし、うるさくしてしまったし、もう寝よう、明日学校で会ったら今日されたこと全部仕返そうかな」と僕は、思った。
次の日、僕は、いつも家を出る時間帯の一時間前に起きて学校に行く支度をする。今日もいつものように一時間前に起きて学校に行く支度をして、家を出る時間帯がやって来た。だから僕は、いつもように家を出て、学校に向かう。学校に着いて、教室に入ろうとした。
ドアを横にスライドさせて開けようとした瞬間、誰かが居る気配がした、だから窓の外から覗いてみた。でも誰も居なかった、気のせいかと思った、そう思ったが警戒をしながらも教室に入った。あたりを見渡してみる、けど誰も居ない。警戒しながら自分の席へと向かった。向かおうとしている時に、横から「バッ」と人が出てきて、「驚いた?」と聞いてきた。僕は、びっくりして目を瞑ってしまったため分からなかったから目を瞑りながら「え?誰?」と聞いてみた、すると「私だよ、」と言ってきた。目をゆっくり開いてみた。すると加奈だった。
加奈は笑顔で優しそうにこっちを見てきた。加奈は、絶対僕が怒っていることを分かっていながら笑顔で優しそうに話してきた、僕は、そうとしか考えられない。そう考えた僕は、「そんな簡単に罠に引っかからないぞ。」と思い、まだ怒りは冷めていないからな。そんなことをされても、僕は、怒りを忘れる訳ないからな。昨日のことでまだ怒っているからな。だから僕は、怒っている雰囲気を出し、声のトーンを怒っている時のトーンに変えてこう怒って言った。
「僕は、昨日君にされたことをまだ怒っているからな」と僕は、怒りながら言った。加奈は、「え?何のこと、全然分かんないだけど」としらばっくれてきた。「とぼけても無駄だ、昨日、からかうような文章送ってきやがって」と僕は、怒りながら言った。
「あー、そのこと、もーいいじゃん過去を悔やんでも仕方ないよ」と加奈が言ってきた。「言われてみれば確かにそうだ」と僕は、納得したような感じで言った。さっきまで僕にあった怒りの感情がだんだん静まって消えていった。
「それよりさ、今日で付き合ってから一年三カ月、だいぶ経ったよね、そうだ一年三カ月記念にどっか行かない?」と加奈は言った。「ああ」と僕は、心の中でこう思いながら言った。「だいたいなんで女っていつもそうやって付き合ってからの日数を計算して記念日とか言うんだろう、普通は、彼氏側も計算するのかな。」
「春樹は、どこに行きたい?」と加奈が聞いてきた。僕は、「海かな」と言った。「じゃあ、そうしよか、いつにする?」と加奈は聞いてきた。それを聞いた僕は、あっさりと僕の意見が通って驚いた。いつもの加奈ならここで僕の意見に反対をするのに。 「じゃあ、今週の土曜日、朝の十時に学校の近くにある噴水広場で、多分加奈なら分かると思う。」と僕は、答えた。「いいよ、じゃあ今週の土曜日の朝十時、噴水広場で、海に行って何する?」と加奈が聞いてきた。「海をずっと眺めたり、そこで美味しい物を食べたりしようよ」と僕は、答えた。「いいね」と加奈は、言ってくれた。そう言った後、少し暗い顔をしていた。「どうしたの?」と聞いてみようか、どうしようか迷った結果、聞いてみることに、「どうしたの?暗い顔して」と僕は、聞いた。すると加奈は、「なんでもないよ、全然平気」と暗く大丈夫じゃなさそうな返事をしていた。凄く気になったまま
土曜日を迎えた。
土曜日、待ち合わせ時間より僕は、二十分早く待ち合わせ場所に着いてしまった。待ち合わせ場所に加奈はまだいなかった。いないと分かった僕は、ホッとした。 何故なら、加奈を待たせてはいけないからだ。待ち合わせ時間まで何をしようと思って、無意識にケータイに電源を入れたり、 消したりして時間を潰していた。
そうしていたら「おーい」と右側から声が聞こえたので「なんだろう」と思い振り返ったら笑顔で手を振って走ってくる加奈の姿が見えた。「待った?」と加奈は聞いてきた。だから僕は、「全然待ってないよ」と答えた。 「ごめんね、待たせて」と加奈は言った。 「いやだから、全然待ってないよ」と僕は、言った。言ってから僕は、自分の言葉がちゃんと加奈の耳に届いているのかと疑問に思った。待ってないと答えたはずなのにもう一度聞いてくるなんて。
「じゃあ、駅に向かって行こうか」と加奈は言ってきた。「そうだね」と僕は、答えた。 「加奈は、電車の時間、間に合う?」と聞いてきた。それを僕に聞いてきた加奈に対してこう返した。「いや、電車の時間に間に合うように待ち合わせしているからこの時間に待ち合わせしたんだよ。」と僕は、言った。 「あーそうだった。ごめんね」と加奈は言った。 僕は、「別に謝らなくてもいいのに、なんで謝るの?なんも悪くないよ」と言った。 「ごめん、ごめん」と加奈はもう一度謝った。 もう一回「謝らなくてもいいよ」と言おうとしたが辞めた。言ったら結局また謝るだけだからだ。 「それより今日の加奈、大丈夫かな?」と思って駅に向かっていた。すると加奈が急に倒れた。「加奈、加奈、大丈夫か?、しっかりしろ」と僕は、焦りながら言った。でも返事をしてくれない、だから僕は、急いで電話して救急車を呼んだ。 近くにある電柱に書かれていた街区表示板を見て居場所を言った。「救急隊員はその場所に行くまで結構時間がかかる」と言っていたので、加奈をおんぶして日陰の方まで連れて行った。しばらくして、救急車が来て、担架を使って加奈を救急車の中へ運び僕も、その救急車の中へと入って病院に行き、病院に着いてから、加奈は、心臓蘇生を行なった。僕は、心臓蘇生する部屋には入ることができなかったので、外にある待ち合い席のソファーに腰を下ろして待っていた。ちょっとしてから加奈の母が来た。そして事情は全部説明した。
待つこと三十分、心臓蘇生する部屋の扉が開いて、僕は、病院の先生に「加奈は、無事なのですか」と聞いた。すると、病院の先生は、下に俯いて、暗い顔をしながら、首をゆっくりと振った。その表情を見て、助からなかったというのが一気に体全身に伝わってきた。頭が真っ白になり、ショックで何も言葉が出てこない。それは、まるで時が止まったみたいな感じだ。隣で加奈の母は、涙を流すばかりだ。と言っている僕も、気がついたら目の涙袋の部分に涙が溜まっていってその溜まった涙をゆっくりとまぶたを閉じて流し出した。 僕は、真っ白になった頭の中から少しずつ真っ白じゃなくなっていて、心の中で「昨日の僕だったら、こんなこと想像できただろうか。数時間前まで、元気だったはずの女の子が急に倒れて死ぬだなんて。」と思った。