私達はおじいちゃんの話を聞いて大きなため息を漏らす。
 色々と凄すぎる!

 「すげー話だな」
 「僕達の想像を超えてるよ」
 「わたくしとルナはもしかしたら魔法使いなれなかったかも知れなかったのですか?」
 「そうだな」

 少しすまなそうにおじいちゃんは頷いた。

 「おじいちゃん、地球でどうやって暮らしていたの?」
 「そう来るか。別に魔力がなくなっても私は魔法が使えなくなるだけで、弱ったり死んだりはしない。私はパミエル殿がいるからな。魔力は何とかなっていた。まあ、向こうの世界から精霊の玉も持って来ているしな」

 私が魔力がなくても大丈夫なのかと思いおじいちゃんに聞くと、笑いながらそう答えた。言われてみればそうかも。それより、新しい単語が出て来た。

 「精霊の玉?」

 カナ君が代わりに聞いてくれた。

 「精霊魂が精霊にならずに、もっとギュッと魔力の塊になったものだ。それには、我々も触れられるので回収して使っている」
 「触れられるって、精霊魂には触れられないの?」
 「魔力そのものは触れられないというか空気と一緒だな。精霊魂になって初めて目に見えるようになる。だが見える様になっただけで触れる事は出来ない。そして初めて精霊の玉になって触れらるようになるのだ。精霊の本は、精霊の玉で作製されている」
 「そう言えば、なんで普通の人間には見えないんだ? マリアが精霊の本が見えなかったんだけど……」

 精霊の本っていう単語を聞いて思い出したらしく、カナ君が質問をする。私達も頷く。とっても知りたい。

 「これは憶測だが、魔法を使わなかくなった地球の人間は、退化したのではないかと思われる。つまり魔力に対応していない体になった。精霊の本はいわば、魔力の塊だからな」
 「でもわたくしは、異星人の魔法使いも見えませんでしたわ」
 「その事か。私の世界の人間は体に常時魔力を身に纏っている。それで見えなくなっているのだと思う。詳しくは私も説明すれと言われても出来ないがそういう事だろう」
 「おじいちゃんは身に纏ってないの?」

 ハル君は、ごもっともな質問をする。身に纏ってないから普通の人にも見えているって事だよね? まあ地球で生活するにあたって身に纏う必要はないけど……。

 「私はその事に気が付いた時から隠れる時以外は身に纏わず、足の裏に魔力を留めている」
 「え? じゃ、お父さんも?」

 その質問には首を横に振った。

 「誠は魔法使いだが身に纏い方を知らない。教えようと思ったのだが、そういう事を嫌がってな。まあ、この世界で育てたから魔法使いというのが気に入らなかったらしい」

 確かに。自分は魔法使いだって言えば、変な目で見られる。それに魔法使いじゃなくても暮らしていける。……だから、ハル君達はそうならないようにした訳か。こんなに立派な? 魔法使いになったわけね。

 「あらでも、儀式をしてくださいましたわよ」
 「あれか? あれは条件さえ整えば発動するものだ。つまり行う本人達が魔力を使って行使するものではない。まあマジックアイテムの一つだな」
 「まあ!」
 「マジックアイテム!」
 「ああいうのもあるのかよ!」

 マジックアイテムに三人は、すぐさま反応する。
 私はそれよりも違う事が気になる。

 「あの、魔法って魔力を身に纏わないと使えないんですか?」
 「いや使える。だが大量に必要な時には身に纏っていないと足りなくなる。そうだな。いっぺんに水を使いたいと思った時に、蛇口からだと限られるだろう。でも先に溜めておけばそこから使う事が出来る」

 そういうもんなんだ。つまり周りの魔力を使うのに一回に使える量が決まっているって事かな? でも、地球では身に纏ってないと使えないか……。

 「ねえ、おじいちゃん。お父さんって空飛べるよね。なんで?」

 飛べるんだ! すご~い!! 今更だけど本当に魔法使いだったんだ!

 「それか? 飛ぶ事だけは教えたからな。基本中の基本だからな。魔力の使い方をコントロール出来るようになれば、お前達だって使える様になる」
 「本当ですの?」
 「飛びたい!」
 「俺もやってみたい!!」
 「あ、私も……」

 三人に紛れて私もそっと声を上げた。

 「そう言うと思ってここを用意した。地球では魔力がないから飛ぶ事さえ困難だからな」

 なるほど。そういう事か。アメリアさん達が歩いていたのって、魔力温存の為だったんだ。魔力が全然ないんだからそうするしかないよね。

 「やったー!」
 「さすが、おじい様。わかってらっしゃるわ」
 「早速やろうぜ!」

 三人は大喜び。勿論私も楽しみ。だって、こんな風景のところで空を飛べるなんて! 本の中とは思えないよ!