ラジオから流れるしっとりとした音楽に耳を傾けながら、カーテンと窓を開ける。
今夜はよく晴れているので、この部屋の窓からでも北極星が見えるだろう。北向きの部屋で良かったと思うことは二つ。ひとつは北極星が見えること、もうひとつは日が当たらないから、部屋の中のものが日焼けせずに済むこと。寒いけれど、この部屋を与えてもらえるだけで私には十分すぎるほどの待遇だと思っている。
思った通り、綺麗な北極星が見えた。丘の上に建つ市営住宅の四階は、星座観察にもってこいの環境だ。
明日の理科のテストは、私の得意分野が出る予定だから大丈夫。それでも朝起きたらもう一度確認するつもりで、机の上にある教科書をそのままにして布団に潜り込んだ。
テストが終わった後、六時間目の授業は体育だった。いや、体育のはずだった。
他の学年と体育館使用枠がカブったとかで、急遽保健体育に変更されたらしい。何も聞いていなかった私は、教科書を持たずに授業を受けることになってしまった。
音読を当てられ、変更を知らず忘れたと答えた私は教科係の女子から睨みつけられた。