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鏡華は憂鬱な足取りでレッスン室に向かった。
気分はのらない。最悪に近い。
本来ならコンクールの前日、鏡華はいつも朝使用しているレッスン室に行かなかった。
この学校では、申請すれば自主レッスン室を借りられる。
わざわざ申請して許可がおりるまでの過程が面倒なので普段は使わないのだが、コンクール前日は集中したかったし、ひかりの演技を目の当たりにしたくなかったので、ほとんど一日個室にこもり、一人きりで練習していたのだ。
とはいえ、いつまでも逃げてばかりはいられない。
鏡華は過去をやり直すことになってから、初めて最初の時とは違う行動を取った。
自分が惨敗するのを知っている今、緊張するからひかりの姿を見ないなどと言ってもしょうがない。
レッスン室では、今日もひかりが踊っていた。
鬱々とした気分で、廊下からレッスン室の中をガラス越しに見つめる。
ひかりは鏡華が来たことに気付いていない。
明日がコンクール本番だから、ひかりの練習にも熱が入っている。
ひかりが踊るのは、くるみ割り人形の金平糖の精だ。
回転やジャンプ、バランスなど様々な要素の入った難しいバリエーションだけれど、ひかりの姿はまるで本物の妖精のようだった。さすが『純白の妖精』だ。こういう役がよく似合う。
女性らしい優雅な身のこなしや、身体のすみずみまで生命が宿った流れるような動きは、夢のように美しかった。
鏡華も同じ役を踊ったことがあるけれど、とてもここまで本物の妖精のように、しなやかで可憐な動きは出来なかった。
鏡華は元々妖精やお姫様より、ダイナミックな演技の女王や魔女の方が合うと言われているせいもあるだろうけれど。
鏡華は憂鬱な足取りでレッスン室に向かった。
気分はのらない。最悪に近い。
本来ならコンクールの前日、鏡華はいつも朝使用しているレッスン室に行かなかった。
この学校では、申請すれば自主レッスン室を借りられる。
わざわざ申請して許可がおりるまでの過程が面倒なので普段は使わないのだが、コンクール前日は集中したかったし、ひかりの演技を目の当たりにしたくなかったので、ほとんど一日個室にこもり、一人きりで練習していたのだ。
とはいえ、いつまでも逃げてばかりはいられない。
鏡華は過去をやり直すことになってから、初めて最初の時とは違う行動を取った。
自分が惨敗するのを知っている今、緊張するからひかりの姿を見ないなどと言ってもしょうがない。
レッスン室では、今日もひかりが踊っていた。
鬱々とした気分で、廊下からレッスン室の中をガラス越しに見つめる。
ひかりは鏡華が来たことに気付いていない。
明日がコンクール本番だから、ひかりの練習にも熱が入っている。
ひかりが踊るのは、くるみ割り人形の金平糖の精だ。
回転やジャンプ、バランスなど様々な要素の入った難しいバリエーションだけれど、ひかりの姿はまるで本物の妖精のようだった。さすが『純白の妖精』だ。こういう役がよく似合う。
女性らしい優雅な身のこなしや、身体のすみずみまで生命が宿った流れるような動きは、夢のように美しかった。
鏡華も同じ役を踊ったことがあるけれど、とてもここまで本物の妖精のように、しなやかで可憐な動きは出来なかった。
鏡華は元々妖精やお姫様より、ダイナミックな演技の女王や魔女の方が合うと言われているせいもあるだろうけれど。