「はーい、じゃあちょっと係決めるから、班長来てー」


しばらくすると、教卓に座っていた雅子先生が各班の班長を呼んだ。

ピンクの画用紙に、さっき切った赤いハートを貼り付けている手を止めて、たっくんは立ち上がる。


「たっくん、頑張ってー」

「生活班がいいけど、昼食班以外ならどれでもいいから」


あたしと由香が口々に言うと、たっくんは苦笑しながら頷く。


「……係って何があんの?」


教卓の前に行くたっくんの背中を見届けていると、柊が首を傾げた。


「えっとー……」

「一週間の目標を決める生活班、昼食の準備をする昼食班、花の水やりとかする美化班、プリントとか取りに行く集配班、それから学習班AとBがあるよ」


いきなり現れた声に驚いて顔を向けると、柊の後ろから得意げに笑ったスミレちゃんが顔を出していた。


「スミレちゃん、それ一気に言って疲れやんの?」

「トーキョーにもこういうのってあったりするの?」


疑問に思ったことを口にすれば、完全スルーされた。

えええ、と思って由香を見れば、呆れたように苦笑している。


「……あったけど」

「でも昼食班は嫌よねー、牛乳パック洗わないといけないし」


小さく頷く柊と、顎に人差し指を乗せて溜め息を吐くスミレちゃん。

今日もスミレちゃん自慢の巻き髪は、綺麗にハーフアップしてある。

くりんくりんの毛先を、ぼんやりと眺めていると、教卓のほうがわっと湧いた。


「ぬ、何だ?」

「係決まったんかな?」


ざわめきの中、たっくんはあたしたちのところに帰ってくる。どうやらもう、係は決まったらしい。