「私、桜だなんて……季節感がまったくなくって」
「そんなこと言ってたら桜柄の食器とか使えないじゃん。茶道のお茶会じゃないし、好きなのを着たらいいんだよ」
「茶道だと違うの?」
「いろいろルールがあるけど、柄は一ヶ月くらい先取りするみたい。だから桜の季節には桜を着ちゃだめなんだって。それのせいで着るときは絶対に一ヶ月先取りって言う人もいるけど、普段は個人の自由だと思う」
「そんなルール、知らなかった」
紗都はしげしげと自分の着物を見る。店員はなにも言ってなかった。
だが、そんな説明を受けたら買わなかったかもしれないし、黎奈も先取りせずに十月にハロウィンコーデをしている。
「考えてもみてよ、桜柄の洋服着てる人を季節外れで変って思う? 桜が好きなんだな、って思うだけだよ。和柄の服だと桜はよくあるし」
「確かにそうかも」
紗都がうなずくと、黎奈はまたにっこりと笑った。
骨董市は駅の北側で開催されていた。
大きな通りの左右にあるこれまた大きな歩道に露天がずらりと並び、たくさんの人が行き交っている。中には和服の女性もいた。
テーブルに商品を並べているお店もあれば、地面に敷いたビニールシートに商品を並べているお店もある。
仏像や彫像もあれば、アクセサリーや昭和レトロな雑貨を売っているお店もある。古めかしいお皿やグラスもあるし、江戸時代のような古道具を置いてある店もある。
意外だったのは着物がたくさん売られていることだった。
「そんなこと言ってたら桜柄の食器とか使えないじゃん。茶道のお茶会じゃないし、好きなのを着たらいいんだよ」
「茶道だと違うの?」
「いろいろルールがあるけど、柄は一ヶ月くらい先取りするみたい。だから桜の季節には桜を着ちゃだめなんだって。それのせいで着るときは絶対に一ヶ月先取りって言う人もいるけど、普段は個人の自由だと思う」
「そんなルール、知らなかった」
紗都はしげしげと自分の着物を見る。店員はなにも言ってなかった。
だが、そんな説明を受けたら買わなかったかもしれないし、黎奈も先取りせずに十月にハロウィンコーデをしている。
「考えてもみてよ、桜柄の洋服着てる人を季節外れで変って思う? 桜が好きなんだな、って思うだけだよ。和柄の服だと桜はよくあるし」
「確かにそうかも」
紗都がうなずくと、黎奈はまたにっこりと笑った。
骨董市は駅の北側で開催されていた。
大きな通りの左右にあるこれまた大きな歩道に露天がずらりと並び、たくさんの人が行き交っている。中には和服の女性もいた。
テーブルに商品を並べているお店もあれば、地面に敷いたビニールシートに商品を並べているお店もある。
仏像や彫像もあれば、アクセサリーや昭和レトロな雑貨を売っているお店もある。古めかしいお皿やグラスもあるし、江戸時代のような古道具を置いてある店もある。
意外だったのは着物がたくさん売られていることだった。