今朝は、どんよりと曇り空で、低気圧が体に襲ってくる。
頭痛とだるさがズシンと体に張り付いて動かない。
そして、ベッドからも動かない。
2階の部屋に寝ていた菜穂は、壁掛け時計を眺めては何度も寝て起きてを繰り返した。
できることなら行きたくないのが本音だ。
ずっとこのまま布団の中ですやすやとっと考えていると、エプロン姿の母、菜穂がノックも無しに仁王立ちしていた。額に青筋が立つ。
「菜穂〜〜〜!! 車で送られるからって寝過ぎだよ!! 早く起きなさい!」
布団が剥がれていく。
(あーーー、あたしの布団〜)
目からキラキラとひかる涙。大きなあくびをしたときにこぼれていた。もう少し寝たい気持ちは大きかった。いやいやながらも、重い体を起こした。
「今、起きましたぁ」
「ほらほら、朝ごはんできてるから、食べなさいよ。足けがしてるんだから、制服着るのも
1人では大変でしょう。手伝うから!」
「えー、恥ずい〜。あっち向いててー」
「お母さんは女子だから、いいでしょう。文句言わずにパジャマ脱いで!!」
わーきゃーわーきゃー言いながら、朝の支度をした。食卓では、父の龍弥がめがねをかけて、コーヒーを飲みながら、タブレットで新聞を読んでいた。洗面所で必死に寝癖直しをしてる徹平は、何度もヘアスプレーをかけて、ドライヤーを念入りにあてていたが、まだちょんと立った寝癖がなおらない。
「あーーー、もう。最悪だ! なんで、この寝癖なおらないんだよ!」
騒いでいると龍弥が、やってきて、電気シェーバーで髭を剃り始めた。
「何、やってんだよ。寝る前にきちんと乾かさないからだろ?」
「だってさ、昨日、ゲームしててそのまま寝落ちしたんだもん。タオル、頭に巻いたまま寝てたの」
「いや、ゲームしててってする前にドライヤーで乾かせよ! そういうことしてるから寝癖つくんだつぅーの」
「いやだ。俺、今日、休む!!」
「……はぁ……。ったく、仕方ねぇなぁ。バブオか、徹平は」
龍弥は、シェーバーを棚に置いて、強烈に固めるヘアスプレーを取り出して、徹平の頑固な寝癖を整えた。
「ほら、こうすりゃ、いいだろ」
「おーーー! お?」
一瞬寝癖が消えて喜んだかに思ったが、見事な七三分けの髪型になった。
「お父さん!!! どこにサラリーマンのような髪型する中学生がいるんだよ!? やめてよ!」
徹平は、プンスカプンスカ怒っている。
「面白いなって思ったのにな。ったく、まぁ、こうじゃなくて無造作ヘアならぬ、ヘアワックスで散らばせばいいじゃねぇの?」
改めて、さらにヘアワックスで整えてもらったら、ごく自然な流れの髪型に変わった。
「できんじゃん!すっげー。見違えた。俺、イッケメーン! これなら学校行けるな」
ご機嫌になった徹平は鼻歌を歌いながら、朝ごはんを食べにいく。
「ふぅ」
龍弥はため息をついて、歯磨きをした。
「ありがとう。徹平いつもあんな感じですぐ学校休むって言うのよ。行きたくない理由は寝癖だったのね」
菜穂が台所からそろっとやってきて声をかけた。
「身だしなみを気にするってことはみんなからよく思われたいってことなんだろう。よく取れば、いいことじゃないの? 髪型を気にするんだから。それだけでって親は思うかもしれないけど大事なことだと俺は思うけどな」
「うん、そうだね。思春期だし、いろいろ気にする年だもんね。あ、そういや、脇の臭いのこともすごい気にしてて、すごい高い制汗剤買わされたのよ?! 安いのあるはずなのにさ」
「それで、学校行ってくれるならいいじゃないか」
「でも、1500円もするんだよ? 贅沢でしょう?」」
「確かに……。800円くらいで売ってなかった? てか、そんなに高いなら俺も使うかな。どれ?」
「それ」
菜穂は指さして、高級そうな制汗剤を、龍弥もつけてみた。確かにいいにおいで香水をつけているようだった。
「結構、においきついな」
「でしょう。たぶん、ブランド物なのかもしれない。いい香りなのはわかるんだけどね、つけすぎ注意だよね」
「なぁに話してるの?? お父さん、学校遅れちゃうんですけど」
洗面所に顔を出してきた雪菜。龍弥と菜穂が仲良く話してるのを見て、やきもちを妬いた。
「あー、はいはい。今行くから。忘れ物ないの?」
「うん。大丈夫。というか、徹平とも話しててずるい。私には興味ないの?」
「誰にやきもち妬いてるんだよ。話してるし、今から一緒に学校行くだろ?」
「そうだけど!! なんか、忘れられてる気がしたー」
「同じ屋根の下で暮らしてるだろうが。というか、洗面所とリビングの距離もそんな遠くないだろって」
わーわー騒ぎながら、車に荷物をつみはじめる。菜穂は車の助手席に乗って、ぎゅーと龍弥の腕を握る。
「俺は、雪菜の恋人か!?」
「違うけどぉー、お父さん。親子なんだから。大事にしてよ!」
「大事にしてるだろ。こんな学校の近くまで車に乗せてる優しいお父さんだろ?」
話しながら、運転しているといつの間にか熱が冷めたのか、スマホをポチポチといじり始めた。
さっきのは一体なんだったのかと疑問と怒りでしかない。
熱しやすく冷めやすい雪菜だった。
頭痛とだるさがズシンと体に張り付いて動かない。
そして、ベッドからも動かない。
2階の部屋に寝ていた菜穂は、壁掛け時計を眺めては何度も寝て起きてを繰り返した。
できることなら行きたくないのが本音だ。
ずっとこのまま布団の中ですやすやとっと考えていると、エプロン姿の母、菜穂がノックも無しに仁王立ちしていた。額に青筋が立つ。
「菜穂〜〜〜!! 車で送られるからって寝過ぎだよ!! 早く起きなさい!」
布団が剥がれていく。
(あーーー、あたしの布団〜)
目からキラキラとひかる涙。大きなあくびをしたときにこぼれていた。もう少し寝たい気持ちは大きかった。いやいやながらも、重い体を起こした。
「今、起きましたぁ」
「ほらほら、朝ごはんできてるから、食べなさいよ。足けがしてるんだから、制服着るのも
1人では大変でしょう。手伝うから!」
「えー、恥ずい〜。あっち向いててー」
「お母さんは女子だから、いいでしょう。文句言わずにパジャマ脱いで!!」
わーきゃーわーきゃー言いながら、朝の支度をした。食卓では、父の龍弥がめがねをかけて、コーヒーを飲みながら、タブレットで新聞を読んでいた。洗面所で必死に寝癖直しをしてる徹平は、何度もヘアスプレーをかけて、ドライヤーを念入りにあてていたが、まだちょんと立った寝癖がなおらない。
「あーーー、もう。最悪だ! なんで、この寝癖なおらないんだよ!」
騒いでいると龍弥が、やってきて、電気シェーバーで髭を剃り始めた。
「何、やってんだよ。寝る前にきちんと乾かさないからだろ?」
「だってさ、昨日、ゲームしててそのまま寝落ちしたんだもん。タオル、頭に巻いたまま寝てたの」
「いや、ゲームしててってする前にドライヤーで乾かせよ! そういうことしてるから寝癖つくんだつぅーの」
「いやだ。俺、今日、休む!!」
「……はぁ……。ったく、仕方ねぇなぁ。バブオか、徹平は」
龍弥は、シェーバーを棚に置いて、強烈に固めるヘアスプレーを取り出して、徹平の頑固な寝癖を整えた。
「ほら、こうすりゃ、いいだろ」
「おーーー! お?」
一瞬寝癖が消えて喜んだかに思ったが、見事な七三分けの髪型になった。
「お父さん!!! どこにサラリーマンのような髪型する中学生がいるんだよ!? やめてよ!」
徹平は、プンスカプンスカ怒っている。
「面白いなって思ったのにな。ったく、まぁ、こうじゃなくて無造作ヘアならぬ、ヘアワックスで散らばせばいいじゃねぇの?」
改めて、さらにヘアワックスで整えてもらったら、ごく自然な流れの髪型に変わった。
「できんじゃん!すっげー。見違えた。俺、イッケメーン! これなら学校行けるな」
ご機嫌になった徹平は鼻歌を歌いながら、朝ごはんを食べにいく。
「ふぅ」
龍弥はため息をついて、歯磨きをした。
「ありがとう。徹平いつもあんな感じですぐ学校休むって言うのよ。行きたくない理由は寝癖だったのね」
菜穂が台所からそろっとやってきて声をかけた。
「身だしなみを気にするってことはみんなからよく思われたいってことなんだろう。よく取れば、いいことじゃないの? 髪型を気にするんだから。それだけでって親は思うかもしれないけど大事なことだと俺は思うけどな」
「うん、そうだね。思春期だし、いろいろ気にする年だもんね。あ、そういや、脇の臭いのこともすごい気にしてて、すごい高い制汗剤買わされたのよ?! 安いのあるはずなのにさ」
「それで、学校行ってくれるならいいじゃないか」
「でも、1500円もするんだよ? 贅沢でしょう?」」
「確かに……。800円くらいで売ってなかった? てか、そんなに高いなら俺も使うかな。どれ?」
「それ」
菜穂は指さして、高級そうな制汗剤を、龍弥もつけてみた。確かにいいにおいで香水をつけているようだった。
「結構、においきついな」
「でしょう。たぶん、ブランド物なのかもしれない。いい香りなのはわかるんだけどね、つけすぎ注意だよね」
「なぁに話してるの?? お父さん、学校遅れちゃうんですけど」
洗面所に顔を出してきた雪菜。龍弥と菜穂が仲良く話してるのを見て、やきもちを妬いた。
「あー、はいはい。今行くから。忘れ物ないの?」
「うん。大丈夫。というか、徹平とも話しててずるい。私には興味ないの?」
「誰にやきもち妬いてるんだよ。話してるし、今から一緒に学校行くだろ?」
「そうだけど!! なんか、忘れられてる気がしたー」
「同じ屋根の下で暮らしてるだろうが。というか、洗面所とリビングの距離もそんな遠くないだろって」
わーわー騒ぎながら、車に荷物をつみはじめる。菜穂は車の助手席に乗って、ぎゅーと龍弥の腕を握る。
「俺は、雪菜の恋人か!?」
「違うけどぉー、お父さん。親子なんだから。大事にしてよ!」
「大事にしてるだろ。こんな学校の近くまで車に乗せてる優しいお父さんだろ?」
話しながら、運転しているといつの間にか熱が冷めたのか、スマホをポチポチといじり始めた。
さっきのは一体なんだったのかと疑問と怒りでしかない。
熱しやすく冷めやすい雪菜だった。