数日が過ぎ、グラン国に帰る日になった。
アリーナ達は港で船に乗る。
もちろん、ブルーノとあの子も一緒だ。
ふたりは人型で船に乗る。
あの子はアリーナに可愛い洋服を買ってもらってとても嬉しそうだ。
ホワイトシルバーの長い髪、ブルーの瞳、スタイルも良く顔も可愛らしい。
ただ、笑うと尖った八重歯が少しだけ見える。

ブルーノはあの子は人型も綺麗なんだなーと
ぽーっとして見ていた。
オレが連れて来たんだからちゃんと守らないといけないな。

甲板であの子が海を見ていた。海風が長い髪を乱す。
ブルーノは
「ここは寒くないかにゃ?」
「少し寒いけど、海って広いんだにゃん。見ていて飽きないにゃん。」
「夕方はもっと綺麗だにゃ。」
「そうなのかにゃん?」
「夕日で赤くなるにゃ。後で見れるにゃ。さあ、中に入ろうにゃ。」
ブルーノはあの子の手を繋いで連れて行く。

それをアリーナとヘンリックは見ていた。
「あのふたり、いい感じじゃない?」
「そうだねー。仲がいいよね。」
「ヘンリック。私ね、せっかくうちの子になったんだから、あの子を名前を呼んであげたいなって思うんだ。どうすればいいのかな?」
「使い魔にするのが手っ取り早いけど…。それ以外は…わかんないね。」
「ブルーノは知っているのかな?」
「さぁどうかなー。」
「あの子はブルーノと同じ山の生まれなんでしょ?そこってホワイティスの領地にあるの。
ヘンリックは知ってた?」
「それは知ってたよ。帰ったら、お義父さんに聞いてみようか?」
「それいいかも?」

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船が港に着いた。
ここからは馬車に乗り換える。
ヘンリックとアリーナは外交官夫妻として振る舞うため聖獣たちは従者と侍女の姿で馬車に乗り込む。
あの子は今まで長旅をしたことがないので馬車は辛いものになった。
「大丈夫だかにゃ?気持ち悪くないかにゃ?少し横になった方がいいにゃ。」
ブルーノはあの子につきっきりで世話をしている。
「ヘンリック。あんまり当てにしたらいけないのは知ってるんだけど…なんとかしてあげてほしいな。」
「うん。いいよ。光を外に漏らさないように窓のカーテンを全部閉めてくれるかい。」
「わかったにゃ。」
ピッカー!
「どうだにゃ?よくなったかにゃ?」
「ありがとうにゃん。スッキリしたにゃん。すごい魔法だにゃん。」
「この魔法は誰にも言っては駄目だからね。絶対に内緒にしてね。」アリーナはあの子にそう言った。
「わかりましたにゃん。」とにっこり笑った。
「明日にはお家につくからね。そうしたらあなたに必要な物を揃えないといけないわね。」
「そうだね。寝るのはベッド派?籠派?」
「籠でいいですにゃん。」
「お部屋もほしいよね?そうしたらベッドは欲しいでしょ?」
「贅沢はいいませんにゃん。」
「ブルーノだって部屋を持ってるんだから。いいのよ。」
「そうにゃ。オレも部屋をもらったにゃ。」
「そうなんですかにゃん?夜はベッドでご主人と寝ていたんですにゃん。お昼寝は籠でしたにゃん。私に部屋はなかったですにゃん。」
「ブルーノの隣の部屋が空いてるからー部屋はそこにしてベッドを置いてーお洋服を入れるクローゼットも欲しいわね。」アリーナはひとりで考えている。
それをヘンリックはニコニコして見ていた。

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屋敷に着いた。
「疲れたにゃー。」ブルーノはすぐ猫になった。
「そうね、今日は早く休みましょう。」
「あの子の寝るところは?」
「あら、どうしましょ?」
「私はこのソファでいいですにゃん。」あの子も猫になった。
「そうはいかないにゃ。オレの部屋で寝たらいいにゃ。こっちにゃ。」そう言って部屋へ案内をする。
「いいんですかにゃん?」
「いいんにゃ。」
ふたりは部屋に行った。

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「立派なお部屋だにゃん。」
「アリーナが用意してくれたんだにゃ。」
「すごいにゃん。ブルーノさんはアリーナさんに大切にされてるんだにゃん。」
「そうだにゃー。オレはアリーナの使い魔だからにゃ。」
「そうなんだにゃん。」
「そこのベッドはふかふかだからそこに寝たらいいにゃ。」
「ブルーノさんはどこで寝るにゃん?」
「オレはソファがあるにゃ。これもふかふかだからいいにゃ。」
「いいのかにゃん?」
「いいんだにゃ。」
そして2匹?ふたりは休んだ。