元気な少女でした。そういえば言ってなかった。この図書館を使えるのは、借りる時と返す時。この2回だけということ。
 目を開けると、自分の部屋だった。物が散乱した部屋。手には《想い》がある。ちゃんと借りれたんだ。早速読もう。
 気づいたら2時間が経過していた。《想い》は読了し、余韻に浸っている。主人公がペンダントにより立ち直り、前に進む力は圧巻だった。涙が止まらない。図書館に行って、違う本も読みたいしこの本も買いたい。しかし、本屋で探してもない。そもそも、この世に実在しない本だった。記念に写真を取っておく。よし、この本を返して新しい本借りよ。またもや意識が遠のいた。
 加藤知佳さん。清々しい顔をしていらっしゃいました。そろそろこの図書館も閉館ですね。
 目が覚める。鏡の図書館に来ていた。神楽さんがいる。本は宙を舞って、元いた本棚へ帰る。
梵「《想い》はどうでした?」
知佳「とっても面白買ったです。あの本は、どこで買えますか?」
梵「残念ながら、貴方の世界のものではないので買う事はできかねます。」
知佳「そうですか。また借りてっていいでしょうか?」
梵「残念ながら。」
知佳「ダメなんですか?」
梵「はい。この鏡の図書館は、借りる時と返す時。この2回しか利用出来ないのです。誠に申し訳ありません。」
知佳「残念だけど諦めます。」
梵「ありがとうございます。貴方はあの本で前を向けましたか?」
知佳「それはもう。」
梵「そうですか。一つ注意点が。ここでの記憶は、現実世界にいけば消えます。しかし、貴方の前向きな気持ちはそのままです。」
知佳「そんな……。嫌です。覚えていたい。本の内容も、梵さんの事も。全部。」
梵「ありがとうございます。嬉しいです。では、さようなら。」
悲しい事に意識は遠のく。
 加藤知佳さん。また、笑顔になれたようですね。この鏡の図書館を作ったかいがありました。この仕事を一生続けたいと願うばかりです。

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