「ブハアッ! くぁー......俺!! 完全復活!!」
俺は、ナマコ神様の神的なパワーでなんとか意識を取り戻す事に成功した。
「あっ!! ギルドマスター! マツルさんが目を覚ましました!!」
俺の横にいたウィールさんが慌ただしく向こうへ走っていった。どうやらウィールさんが俺の回復をしてくれていたようだ。
「マツル君!! やっと目が覚めたんだね!! 早速だけど今の状況は――――」
「大丈夫です! 大体の情報は今! 把握しました!」
俺の脳内に超高性能録画機能を備えた海洋生物がいる事は秘密にしておきたいので、こう言うしかない。
「――――所でホノラは?」
真っ先に飛び付いて来てもおかしくないホノラが俺の視界の範囲にはいない......て事は......
「ホノラ君なら......今もあの岩壁の中で暴れているよ」
「マツルさんが運ばれて来てから、かれこれ10時間は頑張ってますもんね......メツセイさんもあのレベルの魔法を維持し続けるとは......流石我が支部唯一のAランク冒険者なだけありますね」
ギルドマスターとウィールが俺そっちのけでペラペラと中々に重大な情報を話している。
俺って10時間も寝てたの!? てかメツセイってAランク冒険者だったの!? 酒ばっか飲んでるのに!? ホノラ頑張りすぎじゃね?
空を見上げれば確かに夕暮れのオレンジ色が広がっている......まじに10時間寝てたのか......みんな頑張りすぎだろ!!
「ギルドマスター、魔獣の群れの残りってあと何体なんですか?」
「みんなが一日頑張ってようやくあと半分って所かな......」
「皆さんの魔力も、ホノラさんの体力も既に限界を超えているでしょう......」
あと100万......俺は魔法が使えないちょっとフィジカルが強いだけのただの一般人だ。期待されている程の一発逆転の一手を持っている訳では無い。
「せめて魔力が少しでもあればなぁ......」
「あれ? マツルさんって魔力ありましたよね?」
ここでウィールが驚きの発言をした。
ギルドマスターもかなり驚いたようで、少し笑いながらウィールを窘める。
「ウィール。何を言っているんだい? マツル君は異世界人だ。魔力なんてある筈が――――」
「だって、個人の魔力識別が可能な魔道具でギルドカード作りましたよね? つまり多少なりとも魔力があるという事じゃないですか?」
「......確かに!! なんで!?」
ここまで言われてギルドマスターが「当たり前すぎて気が付かなかった......」と目ん玉飛び出んじゃないかってくらい目をひん剥いて俺を見る。
うわーそうじゃん!! 言われるまで気付かなかった!! 冒険者登録の為にナマコ神様に魔力分けてもらったから、俺には今ちょっとだけ魔力があるよ!!
「メツセイさーん!! 今ちょこっとだけこっち来て解析魔法使えるー?」
ギルドマスターが大急ぎでメツセイを呼ぶ。なんでも、魔法の精度においてはギルドマスターよりも上なのだとか。
「――――ムムッ!! 確かに兄ちゃんの身体に微量だが魔力の反応がある!」
「本当かよ!? じ、じゃあメツセイさん! この魔力が空になるまで使ってもいいから、今俺に使える魔法を教えてくれ!!」
「この魔力量で使える魔法となると...... 【初等石魔法“小石投げ”】だけだな......」
初等魔法? 初めて聞く魔法だ。
「なんですか? 初等魔法って」
ギルドマスターも知らないのか。ますますどんな魔法なんだ?
「これはドワーフの国の子供達が遊び用に使う魔法でな。下級魔法の更に下、安全対策バッチリのおもちゃ魔法だよ......生成出来るのも小石だから当たってもちょっと痛い程度が精々だな......」
つまり、威力ほぼゼロの魔法て訳か.......
だが、魔法でありさえすれば、俺のスキルは戦える!
「いや、魔法なら十分だ。教えてくれ」
「そ、そうか? 兄ちゃんがそういうならこの本に書いてあるここの部分を詠唱するんだ。それで魔法を発動出来る」
若干困惑気味のメツセイは俺に小さな冊子をくれた。
指をさされた部分を見てみると、大人が言うにはなんとも形容し難い詠唱文が書かれていた。
「これ読まなきゃなの......」
「安全対策の一環だな。ある程度字が読めなきゃ使えないようにする為だろう......」
「よし! これを読んだら俺達の勝ちだ......読む読む! 読むぞ!!」
自分に言い聞かせ心を奮い立たせる。
「ギルドマスター、ホノラを呼び戻してください。これから何が起こるか俺も分からないので」
「え? うん、分かったよ」
少しして、岩壁を一部吹き飛ばしてホノラが出てきた。着替えた服はまたボロボロになってはいるものの元気なようだ。
「マツル!! よかった! 起きたのね!!」
「おう!! あとは俺に任せておけ!」
ユニークスキル【全力全開】発動!!
ユニークスキルを発動すると、俺の身体がちょっと光った。なんかかっこいいじゃん!? 覚醒って感じがして!
で、コレを詠唱しなきゃいけないのか......
「......み、ミラクルすーぱートゥインクル☆!(心を込めて) 大地から産まれし星屑よ、今目の前の敵を討ち払え!(あ、でも人に向けて撃っちゃダメだゾ?♡)【初等石魔法 小石投げ】!!!!」
()で囲まれた所は本文に書いてあった注釈だ。良い子への約束として書いてある。
そして手の中にピンポン玉サイズの小石が出てきた。これがユニークスキルで限界まで威力の上がった初等魔法の小石か。
「ガハハハハッ!! やっぱり兄ちゃんはすげぇや!!!!」
大爆笑のメツセイ。
「どんなに小さな子供でもアレは言わないでしょ......」
「ある意味“最狂”の魔法ですね......」
あまりの俺の可愛さにドン引きのホノラとウィール、以下冒険者の皆さん。
「ったァー恥ずかしい!!!! だが、これで俺達の勝ちだ。みんなよぉ~く見ておけよ? これが俺の最初で最後の大魔法だ!!」
俺は岩壁の中に小石を投げ入れた。
小石が魔獣に当たった瞬間、それは炸裂し、俺がこの異世界に来てから2番目の規模の大爆発を巻き起こした。
それは太陽が沈みかけた薄暗い周囲を昼と見間違う程に明るく照らし、はるか天空まで昇った極大の爆炎はメツセイの創った岩壁ごと全てを消滅させた。
100万匹の目無しの魔獣の大群は、その一瞬で全てが死に絶えたのだった。
俺達は完全勝利を成し遂げた!!
―本作戦の最終被害報告―
・死者、負傷者0名(魔力切れによる頭痛、吐き気等の体調不良28名)
・周囲の環境への影響【甚大】
〈備考〉
国際条約で禁止されている超魔導兵器使用の可能性大。本作戦の責任者であるサラバンド支部ギルドマスターと超魔導兵器関係者へ至急本部諮問委員会に出席するよう通達。
俺は、ナマコ神様の神的なパワーでなんとか意識を取り戻す事に成功した。
「あっ!! ギルドマスター! マツルさんが目を覚ましました!!」
俺の横にいたウィールさんが慌ただしく向こうへ走っていった。どうやらウィールさんが俺の回復をしてくれていたようだ。
「マツル君!! やっと目が覚めたんだね!! 早速だけど今の状況は――――」
「大丈夫です! 大体の情報は今! 把握しました!」
俺の脳内に超高性能録画機能を備えた海洋生物がいる事は秘密にしておきたいので、こう言うしかない。
「――――所でホノラは?」
真っ先に飛び付いて来てもおかしくないホノラが俺の視界の範囲にはいない......て事は......
「ホノラ君なら......今もあの岩壁の中で暴れているよ」
「マツルさんが運ばれて来てから、かれこれ10時間は頑張ってますもんね......メツセイさんもあのレベルの魔法を維持し続けるとは......流石我が支部唯一のAランク冒険者なだけありますね」
ギルドマスターとウィールが俺そっちのけでペラペラと中々に重大な情報を話している。
俺って10時間も寝てたの!? てかメツセイってAランク冒険者だったの!? 酒ばっか飲んでるのに!? ホノラ頑張りすぎじゃね?
空を見上げれば確かに夕暮れのオレンジ色が広がっている......まじに10時間寝てたのか......みんな頑張りすぎだろ!!
「ギルドマスター、魔獣の群れの残りってあと何体なんですか?」
「みんなが一日頑張ってようやくあと半分って所かな......」
「皆さんの魔力も、ホノラさんの体力も既に限界を超えているでしょう......」
あと100万......俺は魔法が使えないちょっとフィジカルが強いだけのただの一般人だ。期待されている程の一発逆転の一手を持っている訳では無い。
「せめて魔力が少しでもあればなぁ......」
「あれ? マツルさんって魔力ありましたよね?」
ここでウィールが驚きの発言をした。
ギルドマスターもかなり驚いたようで、少し笑いながらウィールを窘める。
「ウィール。何を言っているんだい? マツル君は異世界人だ。魔力なんてある筈が――――」
「だって、個人の魔力識別が可能な魔道具でギルドカード作りましたよね? つまり多少なりとも魔力があるという事じゃないですか?」
「......確かに!! なんで!?」
ここまで言われてギルドマスターが「当たり前すぎて気が付かなかった......」と目ん玉飛び出んじゃないかってくらい目をひん剥いて俺を見る。
うわーそうじゃん!! 言われるまで気付かなかった!! 冒険者登録の為にナマコ神様に魔力分けてもらったから、俺には今ちょっとだけ魔力があるよ!!
「メツセイさーん!! 今ちょこっとだけこっち来て解析魔法使えるー?」
ギルドマスターが大急ぎでメツセイを呼ぶ。なんでも、魔法の精度においてはギルドマスターよりも上なのだとか。
「――――ムムッ!! 確かに兄ちゃんの身体に微量だが魔力の反応がある!」
「本当かよ!? じ、じゃあメツセイさん! この魔力が空になるまで使ってもいいから、今俺に使える魔法を教えてくれ!!」
「この魔力量で使える魔法となると...... 【初等石魔法“小石投げ”】だけだな......」
初等魔法? 初めて聞く魔法だ。
「なんですか? 初等魔法って」
ギルドマスターも知らないのか。ますますどんな魔法なんだ?
「これはドワーフの国の子供達が遊び用に使う魔法でな。下級魔法の更に下、安全対策バッチリのおもちゃ魔法だよ......生成出来るのも小石だから当たってもちょっと痛い程度が精々だな......」
つまり、威力ほぼゼロの魔法て訳か.......
だが、魔法でありさえすれば、俺のスキルは戦える!
「いや、魔法なら十分だ。教えてくれ」
「そ、そうか? 兄ちゃんがそういうならこの本に書いてあるここの部分を詠唱するんだ。それで魔法を発動出来る」
若干困惑気味のメツセイは俺に小さな冊子をくれた。
指をさされた部分を見てみると、大人が言うにはなんとも形容し難い詠唱文が書かれていた。
「これ読まなきゃなの......」
「安全対策の一環だな。ある程度字が読めなきゃ使えないようにする為だろう......」
「よし! これを読んだら俺達の勝ちだ......読む読む! 読むぞ!!」
自分に言い聞かせ心を奮い立たせる。
「ギルドマスター、ホノラを呼び戻してください。これから何が起こるか俺も分からないので」
「え? うん、分かったよ」
少しして、岩壁を一部吹き飛ばしてホノラが出てきた。着替えた服はまたボロボロになってはいるものの元気なようだ。
「マツル!! よかった! 起きたのね!!」
「おう!! あとは俺に任せておけ!」
ユニークスキル【全力全開】発動!!
ユニークスキルを発動すると、俺の身体がちょっと光った。なんかかっこいいじゃん!? 覚醒って感じがして!
で、コレを詠唱しなきゃいけないのか......
「......み、ミラクルすーぱートゥインクル☆!(心を込めて) 大地から産まれし星屑よ、今目の前の敵を討ち払え!(あ、でも人に向けて撃っちゃダメだゾ?♡)【初等石魔法 小石投げ】!!!!」
()で囲まれた所は本文に書いてあった注釈だ。良い子への約束として書いてある。
そして手の中にピンポン玉サイズの小石が出てきた。これがユニークスキルで限界まで威力の上がった初等魔法の小石か。
「ガハハハハッ!! やっぱり兄ちゃんはすげぇや!!!!」
大爆笑のメツセイ。
「どんなに小さな子供でもアレは言わないでしょ......」
「ある意味“最狂”の魔法ですね......」
あまりの俺の可愛さにドン引きのホノラとウィール、以下冒険者の皆さん。
「ったァー恥ずかしい!!!! だが、これで俺達の勝ちだ。みんなよぉ~く見ておけよ? これが俺の最初で最後の大魔法だ!!」
俺は岩壁の中に小石を投げ入れた。
小石が魔獣に当たった瞬間、それは炸裂し、俺がこの異世界に来てから2番目の規模の大爆発を巻き起こした。
それは太陽が沈みかけた薄暗い周囲を昼と見間違う程に明るく照らし、はるか天空まで昇った極大の爆炎はメツセイの創った岩壁ごと全てを消滅させた。
100万匹の目無しの魔獣の大群は、その一瞬で全てが死に絶えたのだった。
俺達は完全勝利を成し遂げた!!
―本作戦の最終被害報告―
・死者、負傷者0名(魔力切れによる頭痛、吐き気等の体調不良28名)
・周囲の環境への影響【甚大】
〈備考〉
国際条約で禁止されている超魔導兵器使用の可能性大。本作戦の責任者であるサラバンド支部ギルドマスターと超魔導兵器関係者へ至急本部諮問委員会に出席するよう通達。