「はい。テツヤさんの能力で出してくれたこの図鑑というものを、口が堅くて絵の描ける信頼できる者へ依頼し、複製した図鑑を冒険者ギルドに置かせていただけないでしょうか?」
……なるほど、この図鑑をこちらの世界の紙とインクで写せば、他の人に見せても問題はないわけだ。
「冒険者ギルドでも魔物の情報については無償で公開しているのですが、こちらの方がより正確でわかりやすいようです。こちらを写させていただき、冒険者ギルドで公開と販売をさせていただければと思います。
植物図鑑のほうは特に情報を精査させていただき、必要な情報だけを公開させていただければと思います。そうですね、写本させていただく権利とあわせて、テツヤさんの情報によって得た利益もテツヤさんに還元するという誓約書も書きましょう」
「……うむ? 情報によって得た利益とはどういうことだ?」
リリアがパトリスさんに質問している。なるほど、そっちのほうも考えなければならないのか。
「魔物図鑑の情報のほうは冒険者しか使用しないと思われますが、こちらの植物図鑑のほうは冒険者だけでなく、ポーションを作る者や木材を扱う職人などにも需要がありそうです。
テツヤさんの情報によって新しい発見や発明もあるかもしれません。それによって得た利益はテツヤさんに還元されなければなりませんからね」
言われてみると、魔物図鑑よりも植物図鑑のほうが新しい発見や発明があるかもしれないな。
それにしてもさすがパトリスさんだ。写本のことや情報によって得られる利益のことをわかっている。そしてなによりそれをちゃんと俺に教えてくれた。パトリスさんはこちらのこともちゃんと考えてくれているようだ。
やはりライザックさんだけでなく、パトリスさんにも俺のことを話したのは正解だったらしい。
「なるほどな、さすがパトリスだぜ! 俺じゃそんなところまで気付けねえからな。ガハハッ!」
「「「………………」」」
……やっぱり正解だったらしい。
「あとはこちらの地図ですね。う〜ん、街どころか村の位置まで正確に記載されているようです。こちらの地図が現在冒険者ギルドでも使われている地図ですが、比べてみると断然こちらのほうがわかりやすいですね」
図鑑に続けて地図の検証へと移る。パトリスさんが持ってきてくれたこちらの世界の地図というものを見せてもらったが、わかりやすさが格段に違った。
測量士なんかもいないだろうし、当然といえば当然か。この時点ではどちらの地図が正確かなんて言うことはできないが、こっちの世界の地図はどう見てもアバウトな感じで街と街を繋げているようにしか見えないんだよなあ……
「もしかしてこっちの赤いマークが方位磁石の赤い方向だったりするのか?」
「ええ。さすがライザックさんですね、正解ですよ」
「だろ!」
うん、ライザックさんも決して頭が悪いというわけではない。パトリスさんが優秀すぎるというだけだ。
「……なるほど、本来はこちらの地図と方位磁石をあわせて使うものだったようですね。この地図と方位磁石があれば、移動で道に迷うことはなくなりそうです。これは素晴らしいですね!」
そしてそのさらに上をいくパトリスさん。この地図と方位磁石の有用性をすぐに理解したようだ。
「こちらの地図についても写させていただきたいのですが、村などの集落の情報は外しておいたほうが良いでしょう。盗賊や悪人達の手に渡ってしまうと、悪用されてしまうかもしれませんからね」
「それは俺も思っていました。必要があれば、また購入することもできますから、写し終わったら処分したほうがいいかもしれませんね」
精巧な地図というものは悪用されてしまえば、普通の武器以上に厄介な代物となる。街ならば防衛体制はある程度整っているから問題ないが、小さな村や集落などは大勢の悪党に攻められたらひとたまりもない。
「それにしてもこうしてみるとやっぱりあの森は大きいですね」
「ええ。さすがにこの地図でも森の細かいところまでは書かれていないですね」
例の大きな森についても地図に載ってはいたが、すべて緑色で塗り潰されている。この街の大きさと比較しても相当な大きさだ。そりゃこんな大きな森で方位磁石がなければ、遭難する人が出てきても不思議じゃない。
「……だが逆に言うと、今までよくあれだけしか遭難者が出なかったものだな」
「俺達の活動も無駄じゃなかったのかもしれねえな」
「ええ、きっとそのおかげですよ」
確かに森の中のあちこちにある目印の布や、遭難者が出た時の救助隊の働きも大きかったのだろう。
「今はランジェさんにお願いをして、一応この地図の精度を確認してもらっています」
今回ランジェさんがこの街を離れる際に、この地図の精度を確認してもらうようにお願いしてある。ここにある地図は正確だとは思うが念のためだ。
「なるほど。そちらが確認でき次第、主要な街と地形のみを記載した簡易版の地図を作成したいと思っております。もちろんその地図の販売で得た利益はテツヤさんにお渡しするということでいかがでしょうか?」
「はい、それでお願いします」
……なるほど、この図鑑をこちらの世界の紙とインクで写せば、他の人に見せても問題はないわけだ。
「冒険者ギルドでも魔物の情報については無償で公開しているのですが、こちらの方がより正確でわかりやすいようです。こちらを写させていただき、冒険者ギルドで公開と販売をさせていただければと思います。
植物図鑑のほうは特に情報を精査させていただき、必要な情報だけを公開させていただければと思います。そうですね、写本させていただく権利とあわせて、テツヤさんの情報によって得た利益もテツヤさんに還元するという誓約書も書きましょう」
「……うむ? 情報によって得た利益とはどういうことだ?」
リリアがパトリスさんに質問している。なるほど、そっちのほうも考えなければならないのか。
「魔物図鑑の情報のほうは冒険者しか使用しないと思われますが、こちらの植物図鑑のほうは冒険者だけでなく、ポーションを作る者や木材を扱う職人などにも需要がありそうです。
テツヤさんの情報によって新しい発見や発明もあるかもしれません。それによって得た利益はテツヤさんに還元されなければなりませんからね」
言われてみると、魔物図鑑よりも植物図鑑のほうが新しい発見や発明があるかもしれないな。
それにしてもさすがパトリスさんだ。写本のことや情報によって得られる利益のことをわかっている。そしてなによりそれをちゃんと俺に教えてくれた。パトリスさんはこちらのこともちゃんと考えてくれているようだ。
やはりライザックさんだけでなく、パトリスさんにも俺のことを話したのは正解だったらしい。
「なるほどな、さすがパトリスだぜ! 俺じゃそんなところまで気付けねえからな。ガハハッ!」
「「「………………」」」
……やっぱり正解だったらしい。
「あとはこちらの地図ですね。う〜ん、街どころか村の位置まで正確に記載されているようです。こちらの地図が現在冒険者ギルドでも使われている地図ですが、比べてみると断然こちらのほうがわかりやすいですね」
図鑑に続けて地図の検証へと移る。パトリスさんが持ってきてくれたこちらの世界の地図というものを見せてもらったが、わかりやすさが格段に違った。
測量士なんかもいないだろうし、当然といえば当然か。この時点ではどちらの地図が正確かなんて言うことはできないが、こっちの世界の地図はどう見てもアバウトな感じで街と街を繋げているようにしか見えないんだよなあ……
「もしかしてこっちの赤いマークが方位磁石の赤い方向だったりするのか?」
「ええ。さすがライザックさんですね、正解ですよ」
「だろ!」
うん、ライザックさんも決して頭が悪いというわけではない。パトリスさんが優秀すぎるというだけだ。
「……なるほど、本来はこちらの地図と方位磁石をあわせて使うものだったようですね。この地図と方位磁石があれば、移動で道に迷うことはなくなりそうです。これは素晴らしいですね!」
そしてそのさらに上をいくパトリスさん。この地図と方位磁石の有用性をすぐに理解したようだ。
「こちらの地図についても写させていただきたいのですが、村などの集落の情報は外しておいたほうが良いでしょう。盗賊や悪人達の手に渡ってしまうと、悪用されてしまうかもしれませんからね」
「それは俺も思っていました。必要があれば、また購入することもできますから、写し終わったら処分したほうがいいかもしれませんね」
精巧な地図というものは悪用されてしまえば、普通の武器以上に厄介な代物となる。街ならば防衛体制はある程度整っているから問題ないが、小さな村や集落などは大勢の悪党に攻められたらひとたまりもない。
「それにしてもこうしてみるとやっぱりあの森は大きいですね」
「ええ。さすがにこの地図でも森の細かいところまでは書かれていないですね」
例の大きな森についても地図に載ってはいたが、すべて緑色で塗り潰されている。この街の大きさと比較しても相当な大きさだ。そりゃこんな大きな森で方位磁石がなければ、遭難する人が出てきても不思議じゃない。
「……だが逆に言うと、今までよくあれだけしか遭難者が出なかったものだな」
「俺達の活動も無駄じゃなかったのかもしれねえな」
「ええ、きっとそのおかげですよ」
確かに森の中のあちこちにある目印の布や、遭難者が出た時の救助隊の働きも大きかったのだろう。
「今はランジェさんにお願いをして、一応この地図の精度を確認してもらっています」
今回ランジェさんがこの街を離れる際に、この地図の精度を確認してもらうようにお願いしてある。ここにある地図は正確だとは思うが念のためだ。
「なるほど。そちらが確認でき次第、主要な街と地形のみを記載した簡易版の地図を作成したいと思っております。もちろんその地図の販売で得た利益はテツヤさんにお渡しするということでいかがでしょうか?」
「はい、それでお願いします」