期せず始まった第2戦目 ニクシア対ケイデン。
離れた距離から再開される。
「別に良いのだぞ? 長物の我に対して、距離を取って始めるのは不利だろう。武器を重ねた状態、距離から戦っても」
「それはありがたい申し出だ。もう勝てない。2度と立ち上がりたくない……そう覚悟した時に改めても申し出てほしいもんだ」
「嫌いではないぞ、その考え。我に勝ったら番になる事も認めてやろう」
「本当か!」と声を張り上げたケイデンをニクシアが襲う。
限界まで腰を捻らせ、背中を向けたままのニクシアは宙を飛び間合いを詰める。
着地と同時、彼女は片手で斧槍から刺突と繰り出した。
剣のそれとは別物の威力と間合いの長さ。 地面を転がり、回避したケイデンであったが、反撃には出れない。
再び両者の間合いは広がり、膠着状態になった。
それを見ながら、シルキアは――――
「しかし、有資格し――――いえ、ユウトさん。ユウトさんは、ニクシアに勝ったのですよね? どうやって勝ったのですか?」
「え? ユウトさん、あの方に勝ったのですか? 私も聞きたいです!」
オリビアも続く。 2人から聞かれたユウトは「そうだなぁ……」と彼女との戦いを思い出した。
「俺が戦った時、彼女は魔法への耐久が高い鎧を着ていた。だから、攻撃としての魔法ではなく、その効果――――炎の熱だったり、氷の冷たさだったり、そういう二次効果を利用して倒したのだが……この戦いの参考にはならないな」
「え!? それって本気の殺し合いじゃないですか!」
「……あっ、いろいろあったんだ。そう……昔は因縁みたいな感じで、今は仲良しだけどな」
「そうなんですか」とオリビアからは、少しだけ疑いが混じった視線。
しかし、もしもユウトが魔法使いではなかったらニクシアに勝てなかったのだろうか? 少し考えて見よう。
ユウトが勝てた理由……まずは高い身体能力。それから、硬い防御力。
魔法の効果が薄い相手。回避して、防御して、魔法攻撃。もしも、これが魔法ではなく剣だったとしたら?
もしも、ユウトが魔法を使わずに剣が武器なら――――意外とアッサリ勝てたかもしれない。
しかし――――いや、ニクシアとケイデンの戦いに動きが生じた。
ニクシアは武器の斧槍を片手で構える。
間合いの差を意識して――――ひらりと回転してからの横薙ぎの一撃。
これにケイデンは後ろに転がるように躱す。
受ければ弾き飛ばされるのが分かるからだ。
「では、もう一度だ!」とニクシアは再び回転斬りを放つ。 それを避けるしかないケイデン。
「剣の間合いで戦うという我からの申し出を断ったのだ。ならば、2度と剣の間合いに踏み入れさせないと我は誓う!」
斧槍での回転斬り。受ければ弾き飛ばされ、回避する事しか許されない。
そんな凶悪さ。 もし受ければと連想する。
それは竜巻の内部に剣一本で飛び込まなければならないと同じような事。
しかし、ケイデンは「……」と覚悟を決めた。
「見てください、ユウトさん。ケイデンさんの構えが、左手から右に!」とオリビアが気づく。
「あぁ、ニクシアの猛攻が巨大な魔物と同格であると認めた。――――いや、それ以上と認めたのだろう」
ユウトの指摘通り、ケイデンは右だけではなく両手持ちに変えた。
それでニクシアに接近を始めた。その姿にユウトは――――
「死兵となるつもりか、ケイデン……だが、それは正解だ!」
その叫びがケイデンの耳に届いたのかはわからない。しかし、それは正解だった。
彼は死兵になるつもりだ。
死兵――――要するに死ぬつもりで戦う。
しかし、それは戦士にとって、言葉より遥かに重い意味を持つ。
(自ら死線に踏み込む。それに、ニクシアの剛剣を両手で弾き飛ばし、一太刀浴びせる)
覚悟を決めたケイデンは、飛び込んだ。
ニクシアの回転斬り。 受けたケイデンは体は浮き上がりそうになる感覚に抗う。
(まともに受けては弾き飛ばされる。ならば、力を分散させて――――さらに前に、踏み込む!)
その決死の覚悟は、ニクシアの剛剣を受け切り、逆に斧槍を弾いて見せた。
「勝機!」と接近戦に持ち込んだケイデン。
言葉通り、勝利の文字が脳裏に過ぎる。 下から上へ……逆袈裟の斬撃。
――――しかし、それは彼女の罠だった。
「なに!」とケイデンの驚き。 彼女は――――ニクシアは、接近してきたケイデンの腕を掴んだ。
この戦いを通じて、彼女も成長していたのだ。それも、ケイデンから、彼の戦い方を学んでいた。
つまり、接近してきた相手を武器を持たない腕で制する技術。
組技を学んだ彼女。
ケイデンの体を拘束して、一気に投げ飛ばした。
高く投げ飛ばされ、地面に叩きつけらたケイデン……短時間で立ち上がれるダメージではないようだ。
「……ひとまず、これで決着かな?」とユウトは倒れたケイデンに向かって駆け出した。
離れた距離から再開される。
「別に良いのだぞ? 長物の我に対して、距離を取って始めるのは不利だろう。武器を重ねた状態、距離から戦っても」
「それはありがたい申し出だ。もう勝てない。2度と立ち上がりたくない……そう覚悟した時に改めても申し出てほしいもんだ」
「嫌いではないぞ、その考え。我に勝ったら番になる事も認めてやろう」
「本当か!」と声を張り上げたケイデンをニクシアが襲う。
限界まで腰を捻らせ、背中を向けたままのニクシアは宙を飛び間合いを詰める。
着地と同時、彼女は片手で斧槍から刺突と繰り出した。
剣のそれとは別物の威力と間合いの長さ。 地面を転がり、回避したケイデンであったが、反撃には出れない。
再び両者の間合いは広がり、膠着状態になった。
それを見ながら、シルキアは――――
「しかし、有資格し――――いえ、ユウトさん。ユウトさんは、ニクシアに勝ったのですよね? どうやって勝ったのですか?」
「え? ユウトさん、あの方に勝ったのですか? 私も聞きたいです!」
オリビアも続く。 2人から聞かれたユウトは「そうだなぁ……」と彼女との戦いを思い出した。
「俺が戦った時、彼女は魔法への耐久が高い鎧を着ていた。だから、攻撃としての魔法ではなく、その効果――――炎の熱だったり、氷の冷たさだったり、そういう二次効果を利用して倒したのだが……この戦いの参考にはならないな」
「え!? それって本気の殺し合いじゃないですか!」
「……あっ、いろいろあったんだ。そう……昔は因縁みたいな感じで、今は仲良しだけどな」
「そうなんですか」とオリビアからは、少しだけ疑いが混じった視線。
しかし、もしもユウトが魔法使いではなかったらニクシアに勝てなかったのだろうか? 少し考えて見よう。
ユウトが勝てた理由……まずは高い身体能力。それから、硬い防御力。
魔法の効果が薄い相手。回避して、防御して、魔法攻撃。もしも、これが魔法ではなく剣だったとしたら?
もしも、ユウトが魔法を使わずに剣が武器なら――――意外とアッサリ勝てたかもしれない。
しかし――――いや、ニクシアとケイデンの戦いに動きが生じた。
ニクシアは武器の斧槍を片手で構える。
間合いの差を意識して――――ひらりと回転してからの横薙ぎの一撃。
これにケイデンは後ろに転がるように躱す。
受ければ弾き飛ばされるのが分かるからだ。
「では、もう一度だ!」とニクシアは再び回転斬りを放つ。 それを避けるしかないケイデン。
「剣の間合いで戦うという我からの申し出を断ったのだ。ならば、2度と剣の間合いに踏み入れさせないと我は誓う!」
斧槍での回転斬り。受ければ弾き飛ばされ、回避する事しか許されない。
そんな凶悪さ。 もし受ければと連想する。
それは竜巻の内部に剣一本で飛び込まなければならないと同じような事。
しかし、ケイデンは「……」と覚悟を決めた。
「見てください、ユウトさん。ケイデンさんの構えが、左手から右に!」とオリビアが気づく。
「あぁ、ニクシアの猛攻が巨大な魔物と同格であると認めた。――――いや、それ以上と認めたのだろう」
ユウトの指摘通り、ケイデンは右だけではなく両手持ちに変えた。
それでニクシアに接近を始めた。その姿にユウトは――――
「死兵となるつもりか、ケイデン……だが、それは正解だ!」
その叫びがケイデンの耳に届いたのかはわからない。しかし、それは正解だった。
彼は死兵になるつもりだ。
死兵――――要するに死ぬつもりで戦う。
しかし、それは戦士にとって、言葉より遥かに重い意味を持つ。
(自ら死線に踏み込む。それに、ニクシアの剛剣を両手で弾き飛ばし、一太刀浴びせる)
覚悟を決めたケイデンは、飛び込んだ。
ニクシアの回転斬り。 受けたケイデンは体は浮き上がりそうになる感覚に抗う。
(まともに受けては弾き飛ばされる。ならば、力を分散させて――――さらに前に、踏み込む!)
その決死の覚悟は、ニクシアの剛剣を受け切り、逆に斧槍を弾いて見せた。
「勝機!」と接近戦に持ち込んだケイデン。
言葉通り、勝利の文字が脳裏に過ぎる。 下から上へ……逆袈裟の斬撃。
――――しかし、それは彼女の罠だった。
「なに!」とケイデンの驚き。 彼女は――――ニクシアは、接近してきたケイデンの腕を掴んだ。
この戦いを通じて、彼女も成長していたのだ。それも、ケイデンから、彼の戦い方を学んでいた。
つまり、接近してきた相手を武器を持たない腕で制する技術。
組技を学んだ彼女。
ケイデンの体を拘束して、一気に投げ飛ばした。
高く投げ飛ばされ、地面に叩きつけらたケイデン……短時間で立ち上がれるダメージではないようだ。
「……ひとまず、これで決着かな?」とユウトは倒れたケイデンに向かって駆け出した。