獣人の女の子が目覚めた。
お腹に入れたのは白湯だけど、顔に赤みが戻っていた。
また白湯を一杯飲ませたら麦粥を少しだけ食べさせた。
「足りないでしょうけど、我慢してね。突然胃を動かしたら体に悪いから。ゆっくり馴染ませるほうがいいのよ」
お腹に入れたら腸が動き出したんでしょう。トイレに行きたくなったようなので付き添いしてトイレに向かった。
「随分綺麗なカホね」
「カホ?」
「出すところ」
あ、トイレのことね。カホって言うんだ。ちなみにここでは野屋って呼ばれているわ。
「こういうところは綺麗にしないと病気の素になるからね。しっかり掃除しないといけないのよ」
クルスさんの許可をもらってしっかり掃除して抗菌付与を施したわ。
「マリカル。そこでしっかり手を洗ってね」
なぜかは訊かないでね。
部屋に戻り、鍵を閉めてマリカルの体を拭いた。
新しい下着に着替えさせ、わたしの服を着させた。マリカルが着ていた服は洗濯に出しているのよ。
「今さらだけど、ありがとう」
「気にしなくていいわ。獣人の国、プランガル王国のことを聞きたいから助けたんだから。教えてくれたらここでの生活はわたしが引き受けるわ」
「そんなことでいいの?」
「プランガル王国のことを知っている人がいないからね。そこに住んでいたマリカルの話はとても貴重よ。もちろん、あなたに不利になることは言わなくていいわ。話していいことだけでいいわ」
まあ、話していいことばかりしゃべっていたらどんな立場か自ずとわかっちゃうけどね。
「まずは体力を戻すことを考えましょう。あ、マリカルって何歳?」
「十三歳よ」
「わたしは十一歳よ。あなたを助けたティナは十二歳ね」
「十一歳なの? 随分と大人びているのね。雰囲気は……」
「そう? 年相応……じゃないわね。まあ、性格がそうさせるんだと思うよ」
前世の年齢にプラスされるほど生きてないし、前世のわたしとキャロルの性格が合わさったのが原因じゃないかしらね?
「体はどう? 痛いところはある?」
「ないわ。魔法で治してくれたの?」
「ええ。痣はたくさんあったけど、骨が折れてはいなかったみたいよ。丈夫な体よね。獣人って皆そうなの?」
「どうだろう? 丈夫とか考えたことなかったし」
「ちょっと手を握ってみて」
握ってもらい、少しずつ強く握ってもらったらなかなかのものだった。ティナより握力があるじゃない。
付与魔法で握力を強化したのに痛みを感じるんだからリンゴくらい潰せそうな握力だわ。てか、リンゴを潰せる握力ってどのくらいなんだろ?
「マリカルは力強いほうなの?」
「普通じゃないかな? わたしはそんなに鍛えているほうじゃないから」
鍛えてなくてこれな。やはり獣よりな体の構造なのね。
「これだけ力が出せるなら体は大丈夫なようね。治癒力も高いのかもしれないね」
体重は……また今度でいっか。女性に体重を聞いたら失礼かもしれないしね。
ぐぅ~。と、マリカルのお腹が鳴った。
「胃も丈夫みたいね」
顔を赤くするマリカル。お腹を鳴らすと恥ずかしいって感じる羞恥心はあるんだ。やはりいい身分の子かもしれないわね。
「じゃあ、胃に優しいものを食べましょうか」
野菜スープなら胃に負担を掛けないでしょうよ。
従業員用の食堂に向かい、料理人のおじちゃんにお願いして野菜スープを出してもらった。
お皿一杯の野菜スープをあっと言う間に完食。まったく足りてないようだ。
「いつもはどのくらい食べるの?」
「これの倍、くらいかな? でも今はお腹が空いてたまらないわ」
治癒能力が高いんでしょうね。回復するためにエネルギーを求めているんでしょうよ。
「お腹、痛くない?」
「痛くわないけど、空腹で堪らないわ」
そう言うので、焼いたモリガルの肉を出したらこれもあっと言う間に完食してしまった。
……丈夫な胃みたいね……。
まだお腹が満ちないようなので、もう一品追加。これも完食したら一旦お腹を休ませた。
「今のでどのくらい満ちたかわかる?」
「全然満ちてない感じ、かな?」
「ここに来るまでちゃんと食事していた?」
「ううん。堅いパンと水で過ごしていたわ」
ってことは、この状態は痩せている状態か。ただ、細身ってわけじゃないのね。脂肪を燃やして生きてたのかな?
「胃はどう? ピリピリした痛みや引っ張られるような痛みもない?」
「ないわ。ただ、お腹が空いた状態だわ」
その言いようからしてお腹が空いた暮らしをしたことない感じね。今回初めて空腹を経験した感じか。
「……ごめんなさい。こんなに食べてしまって……」
しゅんとしてしまった。
「気にしなくていいわ。獣人のことがわかってきたしね。胃が大丈夫なら満腹するまで食べてみましょうか。ただ、ゆっくり噛んで食べてね。消化が悪いと治りも悪くなるからね」
わたしも手伝って料理をしてマリカルに出してあげた。
それでもティナがお腹を空かしているときくらいかしら? 食べる量は人とそう違いはないのかもしれないわね。
お腹を満たしたマリカルは、回復するために眠くなったようだ。
「ゆっくり眠って回復させなさい」
ベッドに入らせると、おやすみ三秒で眠りについてしまった。これなら明日には完治してそうだわ。
お腹に入れたのは白湯だけど、顔に赤みが戻っていた。
また白湯を一杯飲ませたら麦粥を少しだけ食べさせた。
「足りないでしょうけど、我慢してね。突然胃を動かしたら体に悪いから。ゆっくり馴染ませるほうがいいのよ」
お腹に入れたら腸が動き出したんでしょう。トイレに行きたくなったようなので付き添いしてトイレに向かった。
「随分綺麗なカホね」
「カホ?」
「出すところ」
あ、トイレのことね。カホって言うんだ。ちなみにここでは野屋って呼ばれているわ。
「こういうところは綺麗にしないと病気の素になるからね。しっかり掃除しないといけないのよ」
クルスさんの許可をもらってしっかり掃除して抗菌付与を施したわ。
「マリカル。そこでしっかり手を洗ってね」
なぜかは訊かないでね。
部屋に戻り、鍵を閉めてマリカルの体を拭いた。
新しい下着に着替えさせ、わたしの服を着させた。マリカルが着ていた服は洗濯に出しているのよ。
「今さらだけど、ありがとう」
「気にしなくていいわ。獣人の国、プランガル王国のことを聞きたいから助けたんだから。教えてくれたらここでの生活はわたしが引き受けるわ」
「そんなことでいいの?」
「プランガル王国のことを知っている人がいないからね。そこに住んでいたマリカルの話はとても貴重よ。もちろん、あなたに不利になることは言わなくていいわ。話していいことだけでいいわ」
まあ、話していいことばかりしゃべっていたらどんな立場か自ずとわかっちゃうけどね。
「まずは体力を戻すことを考えましょう。あ、マリカルって何歳?」
「十三歳よ」
「わたしは十一歳よ。あなたを助けたティナは十二歳ね」
「十一歳なの? 随分と大人びているのね。雰囲気は……」
「そう? 年相応……じゃないわね。まあ、性格がそうさせるんだと思うよ」
前世の年齢にプラスされるほど生きてないし、前世のわたしとキャロルの性格が合わさったのが原因じゃないかしらね?
「体はどう? 痛いところはある?」
「ないわ。魔法で治してくれたの?」
「ええ。痣はたくさんあったけど、骨が折れてはいなかったみたいよ。丈夫な体よね。獣人って皆そうなの?」
「どうだろう? 丈夫とか考えたことなかったし」
「ちょっと手を握ってみて」
握ってもらい、少しずつ強く握ってもらったらなかなかのものだった。ティナより握力があるじゃない。
付与魔法で握力を強化したのに痛みを感じるんだからリンゴくらい潰せそうな握力だわ。てか、リンゴを潰せる握力ってどのくらいなんだろ?
「マリカルは力強いほうなの?」
「普通じゃないかな? わたしはそんなに鍛えているほうじゃないから」
鍛えてなくてこれな。やはり獣よりな体の構造なのね。
「これだけ力が出せるなら体は大丈夫なようね。治癒力も高いのかもしれないね」
体重は……また今度でいっか。女性に体重を聞いたら失礼かもしれないしね。
ぐぅ~。と、マリカルのお腹が鳴った。
「胃も丈夫みたいね」
顔を赤くするマリカル。お腹を鳴らすと恥ずかしいって感じる羞恥心はあるんだ。やはりいい身分の子かもしれないわね。
「じゃあ、胃に優しいものを食べましょうか」
野菜スープなら胃に負担を掛けないでしょうよ。
従業員用の食堂に向かい、料理人のおじちゃんにお願いして野菜スープを出してもらった。
お皿一杯の野菜スープをあっと言う間に完食。まったく足りてないようだ。
「いつもはどのくらい食べるの?」
「これの倍、くらいかな? でも今はお腹が空いてたまらないわ」
治癒能力が高いんでしょうね。回復するためにエネルギーを求めているんでしょうよ。
「お腹、痛くない?」
「痛くわないけど、空腹で堪らないわ」
そう言うので、焼いたモリガルの肉を出したらこれもあっと言う間に完食してしまった。
……丈夫な胃みたいね……。
まだお腹が満ちないようなので、もう一品追加。これも完食したら一旦お腹を休ませた。
「今のでどのくらい満ちたかわかる?」
「全然満ちてない感じ、かな?」
「ここに来るまでちゃんと食事していた?」
「ううん。堅いパンと水で過ごしていたわ」
ってことは、この状態は痩せている状態か。ただ、細身ってわけじゃないのね。脂肪を燃やして生きてたのかな?
「胃はどう? ピリピリした痛みや引っ張られるような痛みもない?」
「ないわ。ただ、お腹が空いた状態だわ」
その言いようからしてお腹が空いた暮らしをしたことない感じね。今回初めて空腹を経験した感じか。
「……ごめんなさい。こんなに食べてしまって……」
しゅんとしてしまった。
「気にしなくていいわ。獣人のことがわかってきたしね。胃が大丈夫なら満腹するまで食べてみましょうか。ただ、ゆっくり噛んで食べてね。消化が悪いと治りも悪くなるからね」
わたしも手伝って料理をしてマリカルに出してあげた。
それでもティナがお腹を空かしているときくらいかしら? 食べる量は人とそう違いはないのかもしれないわね。
お腹を満たしたマリカルは、回復するために眠くなったようだ。
「ゆっくり眠って回復させなさい」
ベッドに入らせると、おやすみ三秒で眠りについてしまった。これなら明日には完治してそうだわ。