◆プロローグ
 一章中盤に繋がるシーンを切り取り。
「いるじゃん猫……猫いるじゃん! お猫様!」
 声を抑えながらも歓喜に打ち震えて叫ぶ主人公あきと。
 追放された領地で、魔物を退治するか追い払ってほしいとのほとんど強制的な依頼でやってきた、鉱山の一角にある薄暗い洞窟にいたのは、あきとの身の丈をゆうにこえる巨大なもふもふの黒猫(のちに主人公の相棒となるヨル)だった。
 あきとの隣でヨルを警戒し、心配するヒロインターニャが制止する声を上の空であしらって、あきとは綺麗なヘーゼル色の瞳を潤ませるヨルにふらふらと吸い寄せられていく。もちろん相手は初対面のねこなので、目線を合わせずゆっくりと。
 プロローグでは異世界であること、主人公とヒロイン、巨大なもふもふ黒猫ヨルの見た目を簡単に書いておく程度。追放の理由とあきとのスキルについては、一章の序盤で描写する。


◆一章 そのスキル、『ねこ』につき
・1−1
 王都にある大広間、召喚の間に異世界側の数人と、あきとをはじめとした召喚された側数人が集まって、追放シーンからスタート。
 追放を言い渡されたあきとが、とにかく落ち込んだ様子でうなだれている。
 あきとが絶望しているのはいきなり召喚されて帰れないことでも、追放されたことでもなく、異世界にねこがいないことだった。
 あきとの夢は猫に囲まれて暮らすこと。しかしあきとは重度の猫アレルギーのため、まだ猫との暮らしを体験したことはない。アレルギーの緩和と治療、ねことの共存方法を模索しながら、ねこと暮らすためのノウハウ、かわいさ、保護活動などねこに関するあらゆる情報を動画や本、SNSで集める日々だった。
 そんな中、勇者候補としていきなり異世界に召喚されたのだ。
 勇者候補は一人につきひとつずつユニークスキルを持っている。
 召喚の間で言葉の壁を魔法で取り払ってもらい、ユニークスキルをチェックされた結果、あきとには「意味不明」との評価がくだされる。
 いっしょに召喚された数人が「勇者」「剣聖」「属性無視魔法」「竜の神子」など字面が強く可能性を感じさせるレアスキルを手にする中、あきとが受け取ったスキルはたった二文字「ねこ」だったからだ。
 その時点のあきとは、「ねこになれる?」「ねこと仲良くなれる?」「ねこの気持ちや言葉がわかる?」などと期待を膨らませていたが、異世界側の反応は微妙。
 ねこのかわいさをとうとうと語り、この世界におけるねこの位置づけについて質問するも、無表情な異世界人から返ってきた返答は「ねこ、とはなんですか?」というものだった。
 この世界には、ねこがいない。
 絶望に打ちひしがれるあきとに抵抗する気力はなく、言われるがまま辺境の領地へと運ばれていく。

・1−2
 辺境の領地で、さっそく魔物退治を依頼されたあきとは、虚無の表情を浮かべたままわずかな領主の手勢とともに鉱山に向かう。魔物退治も寂れた領地の様子も、自分の生き死にさえもほとんど興味をなくした状態だ。
 途中で領主の娘であるヒロインターニャを加えた一行は、魔物の恐ろしさを話し合いながら問題の洞窟に到着。
 近づいてみると、中からシャーシャーと威嚇する声が聞こえてくる。
 その声に震えて警戒する領主勢を尻目に、あきとは聞き覚えのある声に目を輝かせる。
 がぜん気力を取り戻したあきとは、領主の手勢やターニャを鼓舞して洞窟にそっと踏み入り、プロローグのとおりヨルを発見。いるじゃん猫……猫いるじゃん!
 歓喜に打ち震えるあきとの感情の高まりと、異世界ねことの出会いによって「ねこスキル・液状おやつ(一日一回)」「ねこスキル・ねこ相思相愛」が発現する。

・1−3
 爆発したねこへのラブによってスキル発動。
 腹を見せ、視線は合わせず、液状おやつを片手に警戒をときにかかるあきと。あきとのあまりの変わりように思いきり引く領主勢。ターニャをしゃべり担当にする。
「大丈夫、こわくないよほらほらおやつ食べるかいこわくないよーしよしよし」
「こ、これはまさか……未知の状態異常!? あきとさん、大丈夫ですか!?」
「大丈夫なんで大声出すのやめてもらえます? あの子が怖がっちゃうでしょ」
「え、ごめんなさい? え、なんでわたしが謝って……?」
 ねこスキル・相思相愛(ねこに愛を伝えることができる。受け取った気持ちをどうするかはおねこ様次第。強制力はない。ねことの相思相愛とはそういうもの)によって、とりあえず敵意がないことを認識してくれたヨルがそろりと近づいてくる。
 ここで猫アレルギーが発症しても本望と思っていたが、それを頭に浮かべた瞬間に発現したねこスキル・アレルギー耐性(ねこ)によって痒くない。ぐしゅぐしゅしない!ねこスキルばんざい!これならいっしょに暮らせる!
 愛と喜びを全身で伝え続けるあきとを前にして、いつしかヨルのシャーシャー音は止み、かわりにくんくんとにおいを嗅いでいただける。いけませんそんなところまで。などと悦に浸っているうちに、聞こえてくるはごろごろ音。
「威嚇の声色が変わった! どうか逃げてください!」とあきとからすればそれこそ意味不明のことをのたまうターニャを無視して、あきとは液状おやつをそっと差し出す。それをおっかなびっくり舐めてみて、美味しさに驚き夢中で食べてくれるヨル。絶対に間違いなくかわいさ満開で描くこと。ここでの妥協は許されない。
 警戒がある程度ほどけたことを確信したあきとは、そっと右手の人差し指をヨルの鼻に近づける。
 動画では散々見たし、なんなら夢にまで見たあれをいただく。
 鼻チューーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!(もちろん叫ばない、実際にやったら怖がらせる描写はしないこと)
 びくんびくんと痙攣するあきとに「麻痺に混乱!? やっぱり状態異常じゃない、どうしたらいいの……!」と慌てるターニャを尻目に、あきとはヨルと少しだけ仲良くなることに成功する。


◆二章 ねこ好きによるねこのための領地改革
・2−1
 洞窟に置いておくわけにはいかない、とヨルを連れて帰ることにしたあきとたち。
 道中、ごろごろ音で領主勢の怪我や病気を治癒してみせたヨルは、魔物ではなく伝説の神獣様であると認識される。領地の有識者のおじいちゃんに「古き言い伝えの神獣様に間違いない!」などと叫ばせるのもよい。
 ヨルを連れて帰ったあきと自身も領地で英雄扱いされるが、当のあきとはヨルの安全を確保し、健康状態をチェックすることで頭がいっぱい。急ぐので通してくださいと歯牙にも掛けない。それが逆に、無欲で真面目な英雄様だとなおさら評価を高める。
 ぜひ神獣様をこの地の守り神に、まずは領主様へ報告を、と促されて領主の館に到着した一行は結果を報告。
 まずはヨルに水と栄養のある食べ物を、と領主ネロに頼むあきとだが、ここで改めて領地の課題を目の当たりにする。
 広大ながら痩せきった土地では慢性的な水と食料不足に悩まされ、作物の量も質もよいとは言えず、どうにか食べていける量がとれる程度。収入源は、鉱山から細々ととれる鉱石くらいのもので、領民は皆、貧しく飢えているのだという。
 領主の館で使うために確保してあった水を分けてもらいながら、深刻な状況に険しい顔をするあきと。そんなに真剣に心を痛めていただけるとは、と感動するネロとターニャだが、あきとの頭にはヨルとの新生活のことしかない。
 大変だ。この貧相な領地では、せっかく一生添い遂げると誓ったヨルくんの健康が害されてしまう!
 いっそどこかに引っ越そうかなどと言い出して領主勢を慌てさせる。

・2−2
 あわや荷造り、引越し準備かというところで、あきとは考えなおす。ねこは環境の変化に強くない。潤沢な水と食べ物がありそうだった王都には、あきと自身が追放されて戻れない。勇者候補が複数人まとめて召喚されるからには危険な魔王や魔物もいるはずだ。
 ヨルが心配で、ネロに魔物について聞けば、このあたりは土地が痩せているせいで、幸か不幸か魔物などの危険な生き物は少ないという。
 それなら、住みつきかけていたあの洞窟やそのまわり、つまりはこの領地をどうにかした方がいいのではないか。
 ねこのことしか考えていないあきとと、異世界人の知識を頼りに領地を整備したい領主勢の利害がここでようやく部分的に一致する。この領地、ヨルくんのために安全、快適、安心な環境にするぜ!を決意。
 とりあえず、ヨルくんに一時的にでも快適にお過ごしいただくために、今現在、領主の館に住んでいる面々には全員出ていってもらえますか?と持ちかけてめちゃくちゃ引かれる。
「話がまとまったところで、さっそくなんですけど、このお屋敷もらってもいいですかね?」
「もらっ……はい? ええと、あきとさんが寝泊まりされる場所でしたら、ご用意を」
「いやいや、俺はどうでもいいんです。ヨルくんを屋根のあるところで寝かせてあげたくて。環境を変えないって意味ではあの洞窟に戻ってもいいんだけど、衛生面に不安があるし。ここなら、まあ狭いけど仮住まいとしては合格かなって。というわけなのでここ、ヨルくんにください!」
「ああ、そういう……なるほど」
「ですです、それじゃあ荷造りしちゃいますか! あ、これとか倒して割れたらヨルくんが怪我しそうなんで、捨てちゃっていいです?」
「いいわけないでしょうよ! 待てあんた、それは王からいただいた……ちょっと!?」
という感じでわちゃわちゃさせる。

・2−3
 とりあえず領主の館で一番広い部屋から、危ないものをすべて排除してヨルくんの仮住まいとした一行。
 あきとはさっそく、自身の領地改革計画を領主に披露する。
 まずは清潔な水を安定して確保する必要がある。領地における生活水は少し距離のある痩せた川と潤沢とは言えない井戸水に頼っていて、たびたび水不足におちいっている。これの解決が最優先であると認識をあわせる。
 次に食べ物と領地の環境整備。館の一室を仮住まいとはしたものの、その気になれば抜け出して自由に外を走り回れてしまう現状、毒になるようなものを口に入れては大変だ。
 領地に自生しているもしくは栽培している植物はすべて、その毒性を調べる必要があると宣言。あわせて虫の害がないか、人やねこを刺す虫がいないかどうかも調査したい。
 そして住まい。通気性を確保しつつ各所に水飲み場とトイレ、隠れ家スペースを配置した立体的なハウスが理想。領主の館では狭すぎる上に、今は廊下を駆け抜けることもできない。上下運動もできない。運動不足になってしまううえに、ストレスもたまってしまう。
 そこでこれです。そう言ってあきとは手描きの絵で天高くそびえる理想のハウスを披露するが、画伯すぎて伝わらない。
「これはなんですか? ほ、砲台……?」
「はっはっは、何を攻撃されるつもりか。日向ぼっこができる出窓です」
「このぐにゃぐにゃした床は、侵入者用のトラップ?」
「どう見てもふかふかくつろぎスペースでしょ」
「なんで炎が噴き出してるの……?」
「水飲み場やろがい!」
 住まいが整ったら、毎日遊ぶためのおもちゃ、長毛のヨルくんをブラッシングするブラシも必要……とあれやこれやと猫メインで進めるあきと。
 ネロからやんわりと、異世界の知識で領地の発展も考えてもらえないかと言われる。渋るあきとだが、快適に神獣様が過ごすためにも領地が豊かになることは必要不可欠では?と諭され了承。ほとんどお猫様のために振りきった領地改革がスタートする。


◆三章 お水とお家と遊び場と
・3−1
 ターニャに案内してもらい、領地の水事情を目の当たりにしてがく然とするあきと。生命線である川は想像以上に遠く、想像以上に痩せていた。
 地下から汲み上げる井戸水も、お猫様の生活をまかなうには心許ない。もともと、領民が暮らすのにぎりぎりの量だ。悩むあきとはどうにか川の水を引っ張ってくるか、地下の水脈を掘り当てられないかと試行錯誤するが、上手くいかない。
 思い立って、ヨルと最初に会った鉱山の洞窟へ向かう。そこには多くはないが湧き水があり、ヨルが住みついていた理由を把握する。
 やはりこの洞窟を拠点とするか、新天地かと頭を抱えるあきと。神獣を連れていかれては困るとターニャも頭を抱える。
「きれいな水がたくさん必要なのに……ヨルくんに美味しいお水を自由に飲んでもらいたい……」
「え、あの、一応その、領民の皆さんのことも、できればその」
 ターニャの悲痛な叫びをスルーして、あきとのねこへの渇望が眠れるスキルをよびさます。
 ねこスキル・きれいなお水が発現。今回の発現は制御がきかず、洞窟内で二人で溺れかける。ターニャは怒るが、あきとはけらけら笑って大喜び。
 さっそく戻って水飲み場をつくってあげなきゃ、と駆け出していく。

3−2
 領主の館に戻ったあきとは、とりあえずヨルがいる一室に噴水を配置する。
「すごいはすごいんだけど、この水、どこから出てるの?」
「え、愛でしょ?」
「即答!? こわいんですけど! 水魔法とか氷魔法みたいに魔力からとか、空気中の水分を使って、とかじゃないの?」
「魔力から水が生まれるとか、俺からしたらそっちの方がこわいしお互い様じゃない? っていうか、これが飲めることは確認できてるわけだし、どこから出てるとかどうでもよくない?」
「飲めることを確認って、さっき溺れかけたときの話してる? わたし、そろそろ怒っていい?」
「なんかやなことあったの? とりあえず駄目、ヨルくんのストレスになるから」
 ヨルが水を前足でちょいちょいしてからごくごく飲むのを眺めてご満悦のあきとだが、怒れるターニャから、なんとしても領民にも水の恵みをもたらしてほしいと頼まれる。もちろんあきとは気乗りしない。
 考え込んだターニャはやり方を変える。
 噴水ひとつではもしものときにヨルくんも困るはず。領主の館にある井戸にも水を満たしておいたら備えになるのでは?と持ちかけられ、なるほど確かに、とあきとはきれいなお水を発動。
 井戸の水源は領地内の地下でほぼ繋がっているため、本人の知らないうちに水問題の一部を解決。本人は無自覚だが領地中での評価がさらに上がる。
 ネロとターニャ、領主勢だけは苦笑いするが、このままにしておいた方がいいか……と密かに相談するのだった。

・3−3
 水の次は食べ物だ。
 なにしろここは異世界。現代日本にあったような、お猫様の年齢体重、健康状態や避妊去勢の有無によってカスタマイズされたフードが存在するわけもない。
 洞窟では狩りをして食べていたようだけど、野生のもろもろは病気や中毒、寄生虫も心配だ。知識を頼りに食べられるものを探しつつ、有毒そうな植物の排除にも勤しむ。ねこスキル・食べちゃダメ!により毒性は見抜けるようになる。
 人間用の食料で、調理前のものをしっかり選定すればなんとかならないかと考えてみるが、バランスを重視して毎日の献立を組むとなると、さすがにあきとの知識量では懸念が残る。
「カリカリ! カリカリがほしい!」
「カリカリってなに?」
「ねこのための完全栄養食だよ! これくらいのつぶつぶで……こっちには犬はいるんでしょ? ないの? そういうやつ!」
「犬にはつぶつぶしたものは食べさせてないと思うけど……」
「ええい、文化の違いめ! 見せた方が早いのに……どうしてここにカリカリがないん……あったああああ! 出た! 出せるじゃん!」
 各種カリカリをイメージしたあきとの想像力によって、どうみても現代日本からやってきたとしか思えない大袋に入ったカリカリが腕の中に収まっていた。ねこスキル・美味しさ満点健康ごはんの発現だ。
 出てきたフードは去勢前の子猫用。ヨルくんはサイズはともかく見た目は子猫。納得して嬉々として袋を抱えてヨルに会いにいくあきと。
 ヨルも匂いをかぎつけて大喜びするが、サイズはあきとの身の丈以上だ。一袋をあっという間に食べ切ってしまい、あきとはがくぜんとする。
 そこから、ヨルの一日分にちょうどいい分量を出せるようになるまで、あきとは数日を要することになる。

・3−4
 水を確保し、食料もお取り寄せが可能になった。
 となれば次は、いよいよ理想のハウスだ。
 あきとはターニャから、領地で一番だという大工を紹介してもらう。出てきたのは引退した父にかわって家業をついだばかりの女性ワンダ。
 水のことがあるため、ターニャは恩を返すつもりでワンダを紹介したが、あきとの理想を叶えるには課題が多すぎた。
 まず、天高くそびえる塔などというリクエスト自体が一領地の大工がやれる仕事の範疇を超えている。
 しかも、設計図だと言ってあきとが持ってきたのは、画伯仕様のあの絵だ。ワンダと大喧嘩になる。
「あんたね、あたしを馬鹿にしてんのかい!? いったい何様のつもりでこんなもんおったてようってんだい! こんないびつでおかしな……ええい、そもそもなんだいこりゃ!」
「世界でいちばん尊いねこのためのおうちだよ」
「世界一とは大きく出たじゃないか! そのねこってのはなんだい、あたしは相手を見て仕事を変えるような二流じゃないんだよ!」
 打ち合わせは領主の館でやっていたため、おもむろにヨルのいる部屋のドアを開けるあきと。
「こちらが世界でもっとも尊い神獣のヨルくんです」
「な、なん……このやろぉ……かわいいじゃねえか……」
 ワンダを籠絡したあきとは、協力して設計図をきちんとしたものに変えていく。それでも、大工仕事でやるには大勢の職人、大量の資材、長い年月が必要だと説明される。
 そんなに待てない、ヨルくんを何年もあの狭い部屋に閉じ込めておくのか、と詰め寄り、ターニャのヘイトを稼ぐあきと。
 とりあえずは設計図を完成させ、その分の代金をネロが支払う。あきとはお金を持っていないが、あきとはいまや領地の英雄で、領民の暮らしも水のことでいくぶんよくなった。これくらいはとのはからいだった。
 もしこれをうちで建てるならこれくらいだね、と莫大な見積もりと膨大な資材、気の遠くなる年月を提示されるあきと。
 ワンダとヨルを遊ばせ、撫でさせても涙目で断られてしまい、見積もりが嘘ではないと悟り、あきとは落ち込む。
 設計図に涙がポタポタとこぼれ落ちる。
 そびえたつタワー。大喜びのヨルが階段やステップを縦横無尽に駆け回る。各所に配置された清潔な水飲み場やトイレを快適に使い、あきとに感謝の鼻ちゅーをしてくれる。そしてあきとは、その理想のおねこ様タワーでヨルと暮らし、遊び、笑い、ともに眠るのだ。
 想像が少なくともすぐには形にならないとわかり、すぐ隣で首をかしげて小さく鳴くヨルを見て、あきとはいよいよ号泣しはじめる。設計図に涙が染み込んでいくのを、ワンダもターニャも止められず、なんとか慰めようと声をかける。
「なあ、何人か顔なじみがいるし、王都の職人にかけあってみてやろうか? お高くはなるが腕はいい連中だ、期間がいくらか短くなるかもしれねえ」
「うちの鉱石と資材を交換してるお隣の領地があるから、わたしもそっちに掛け合ってみるよ!」
 二人の声はあきとには届いていなかった。見開かれた両目に映るのはワンダがおこした精緻な設計図だ。
 するすると頭の中に流れ込んできたそれを完全に把握したとき、ねこスキル・キャットタワーが発現する。
「産まれる!」
 そう叫んで駆け出したあきとは、最初にヨルと出会った鉱山で巨大な塔を産み落とす。


◆四章 世界樹、出現
4−1
 領主の館どころではない、まさしく天高くそびえるキャットタワーを見上げて、ワンダとターニャは、お金や人、資材の心配をして頭を悩ませた時間はなんだったのかと途方にくれる。
 かなり消耗した様子のあきとが戻ってくるが、ふらふらな体とは裏腹に表情は実に晴れやかで、さっそく引越ししなくちゃとヨルのところへ移動。
 キャットタワーへのお引越し。最初は警戒していたヨルも各所の爪研ぎ、日向ぼっこスペース、水飲み場、トイレなどに少しずつ馴染んでいく。
 あっというまに巨大な建築物が建ったことで、領民からあきとへの英雄レベルも天高く突き抜ける。本人はそんな賛辞は耳に入らず、せっかくのタワーができたのに猫用のおもちゃがない、これではヨルくんと遊べない! と不満を抱き、あれこれと駆け回る。
 やがて、ワンダが領民の家具や生活用品まで手がけているという話を聞きつけると、目をきらきらさせてワンダに頼み込み、ねこ用おもちゃの特大版、ねこじゃらしとボールの設計、製作を依頼する。
 大工としてのプライドが崩れかけていたワンダだったが、領主絡みの依頼がお得意様であることは間違いないので、どうにか了承する。

4−2
 引越しが落ち着いて数日後。
 あきとはキャットタワーの掃除とヨルの世話をローテする幸せな生活を送っていた。
 なにしろ天高くそびえるタワーで、ヨルは自由自在に気分次第でいろいろなところで遊び、いたずらし、水を飲んでトイレをする。
 新たに発現したねこスキル・おトイレ検知と状態チェックでトイレのチェックとヨルの健康状態チェックは万全とはいえ、タワー全階を一人で清潔に保ち切るのは至難の業だ。
 それを苦にするどころか目を輝かせて実践するあきとだったが、引っ越してからというもの一度もタワーの外に出ていない。
 様子を見に来たターニャとワンダに指摘され、あきとは自身が、表情こそ幸せそのものなのにげっそり痩せていることを自覚する。
 それでも、ヨルの暮らしのお供はすべて自分がやる、それが責任であり最大の幸せだと言い張るあきと。
 このままではあきとが幸せに押しつぶされて倒れると危惧したターニャ、ワンダは仕方なく、各階をチェックして行き届いていない箇所を指摘する。
 大事な部分はもちろん責任をおうとしても、誰かの手を借りることは悪いことじゃない。領地全体でヨルの安心安全快適な暮らしをサポートするから、と力説され、領民の助けを借りることになる。
 あきとは知らないが、そこに手当が出ることで雇用が確保され、隙間を見てヨルのごろごろ音による治癒で領民も恩恵を受けられるため、次々といろいろな方面から手伝いが始まる。
 最初はしぶしぶ了承していたあきとも、水飲み場やトイレの改良案、領民の掃除や片付けスキルなどに感心し、考えを改める。

4−3
 タワーでの生活が安定し、領民との交流も生まれて、あきととヨルの平穏な日々が訪れたかに見えたが、あきとは異世界の蚊や虫に悩んでいた。
 エアコンがない異世界において、通気性は外せない条件だったためどうしても虫は入ってきてしまう。異世界にはもちろん猫用の駆虫薬も存在しない。
 ネロやターニャ、ワンダ、領民たちに虫除けになるものがないか聞いてみるも、あるにはあるが猫にはよろしくないハーブだったりと、色よい回答は得られない。
 こんなときはねこスキル!
 例によってねこスキル・虫除けを発見したあきとはタワー内で即座に使おうとするが、思いとどまる。
 把握したスキル内容が、お猫様のリラックスと虫除けに効果のある安全な匂いを発する木を栽培するというものだったからだ。
 それなら一応は広い場所がいいか、とタワーお隣の広大な荒地でレッツねこスキル。
 しかしなにやら様子がおかしい。震える大気。きしむ大地。地中深くから轟音とともに木の幹が現れ、タワーと同じ高さまで成長して葉を広げる。
 何事かと駆けつけたネロ、ターニャ、ワンダ、領民たちに経緯を説明するあきと。
 それこそは太古の伝説に語られ、現在は枯れてなくなってしまったという世界樹だった。
 領地は驚きに包まれるが、それは序章に過ぎなかった。
 翌日から、大量のねこ科の皆さんが押し寄せてくる。


◆五章 夢にまで見たねこの街、爆誕
5−1
 獣人、獅子、豹に虎、ミニサイズの猫型の魔物まで……大挙して押し寄せたねこたちを前にして絶頂を噛みしめる主人公と、反対に警戒心マックスのネロ、ターニャ、領主勢。そして怯える領民たち。
 代表を買って出たあきとはねこたちと会話。聞けば、強面獣人たちも猫型魔物も猛獣も、世界樹の放つ聖なる気と匂いに引き寄せられてきたのだという。
 人の手には余るものだからこの場所を譲って立ち去れ、さもなくば……と脅してくる獣人たちだったが、隣のタワーから出てきた神獣ヨルの存在を認めると、一転してその場にひざまずく。
 ヨルとあきとにひざまずいているように見えた構図から、領民たちはあきともついでに神格化して熱視線を送るが、あきととしては冗談ではない。
 姿は違えど、おねこ様に頭を下げさせるなんてとんでもない。
 ヨルは確かにかわいいし、ねこの間での序列があってもそこには関与しないが、あきと自身はただのねこ好き。頭を下げられては困る。
 急いで頭を上げてもらい、世界樹のもとで暮らしたいと嘆願する彼らに大きくうなずく。
 勝手に承諾してしまったあきとに、ネロとターニャは拳を握りこむが、領民が増えて領地に活気が溢れるのはいいことだよね? と直談判するあきとと、きらきらした目でそれを見守る領民たちの空気から、首を縦に振るしかない。
 人口が増えることによる新たな食料や水の問題、そもそもの住まいの問題など、後ろに控える課題にがくがくと震えるネロたちだったが、ひとまずは屈強な獣人さんたちの働き手をゲットしつつ、さまざまなもふもふを受け入れることになる。

5−2
 ねこ科のみなさんの受け入れを開始してから一ヶ月。
 領地はヨルタワーと世界樹を中心に魔改造され、とんでもない発展を遂げつつあった。
 ねこたちの住まいは、ワンダから買ったお一人様から家族用の各種戸建ての設計図をベースに、ねこスキル・キャットハウスをあきとが発現させ、ねこたちの希望どおりにヨルのタワーと世界樹を中心に広がっていた。
 各家の中もしくはすぐ外には、もちろんきれいなお水を完備させ、ヨルタワー、世界樹、各ハウスがねこスキル・キャットウォークとキャットステップで超立体的に繋がる巨大なねこの街が実現されつつあったのだ。
 日に日に広がっていくねこの街に、この領地はいったいどうなってしまうのか、そもそも領主の立場は……と自問自答しつつも、ネロは強く出られずにいる。恩恵がおいしすぎるのだ。
 治癒効果のある世界樹のしずくが、流通には気をつける必要がありそうなものの、領地の名産として形になりそうだからだ。
 世界樹復活によって心配された、世界樹を狙う魔物や危険生物の増加にしても、ねこ科以外の魔物は世界樹の気を嫌がってむしろ減っており、周辺の治安もよくなった。
 ねこ科の魔物は近づいてくるが、ヨルの傘下に入っていくので脅威にならない。
 増えたねこたちの食べ物についても、あきとが出すカリカリでまかなえるし、獣人たちはそれぞれに遠征し、領地に迷惑をかけない狩りをしているようだった。
 あきともまた、ヨルタワーの中を飛び回り、立体的なステップを縦横無尽に駆け回っていた。
 この一ヶ月で明らかに動きがおかしくなっているあきとを不思議がるターニャだが、あきとは平然と「ねこが増えるほど、俺自身の体力というか、ねこのための力みたいなものがついていくみたいなんだよね。やっぱりねこには元気と癒しをもらえるよね」などと言ってのける。ねこスキル・基礎ねこ力の効果によって、いっしょに暮らすねこ科が増えれば増えるほど、あきとは超人的な身体能力とねこスキルの効果を得ていくことが明らかになる。

5−3
 ヨルタワーの頂上からねこの街を眺めてにんまりするあきとのところへ、ネロがお悩み相談にやってくる。
 タワーと世界樹、ねこの街は急成長を遂げ、世界樹による恩恵も受けてはいるが、ネロや領民たちが暮らす家々は古く、領地は荒れたままで各種課題が山積みのままだ。
 ヨルタワーと世界樹周辺、ねこの街までは世界樹が存在する効果で土地が肥沃になり、獣人達がそれぞれに作物を育て始めているが、領民達はそれもできない。
 世界樹のしずくが莫大な利益を生みそうではあるものの、効果が高すぎて厳しい管理が必要だ。領民たちにとっての日常的な糧とするのは難しい。
 相談を受けたあきととしては、カリカリと水なら無限に出せるし、猫のためであればステップでもタワーでもハウスでもおもちゃでもなんでも錬成できるため、正直困っておらずぴんとこない。
 しかし、続くネロの話に思うところがあり、考え直さざるを得なくなる。
「細々と鉱石を売って暮らしていることは最初に話しただろう? その鉱山、どこにあると思う? ヒントは君がヨル様と出会ったあたりだよ」
「あ……ここ?」
「そう、ここなんだよ! ヨル様のタワーと世界樹、ねこの街さ。さて問題です、ここで鉱石は掘れるでしょうか?」
「あははははは……掘れませんね」
「そうだろう? いやいや、もちろん神獣様のお住まいに伝説の世界樹だ。感謝しているとも。しかしね、少しだけ領民たちのことも考えてはもらえないだろうか? 皆もヨル様のタワーを掃除したりしているし、ヨル様も皆になついているだろう? ヨル様が仲良くしている皆が辛いままで、君は本当にヨル様が幸せだと言い切れるのかい?」
 あきとは領民たちの暮らしもねこスキルで手助けすることを約束する。


◆六章 ヨルの家族
6−1
 あきとは、キャットステップときれいなお水を駆使して領民たちが住む地域や畑の環境を改善しようとするが、上手くいかない。
 畑に必要な設備や水の流れは領民たちやワンダに協力してもらい、例によって図におこして把握している。それなのに、どうにもパワーが出ないし、ねこの街で使う時に比べて、スキルの負荷がものすごく高い。
 あっという間に息切れするが、これもヨルのためになるはずだからと無理をしたあきとはついに倒れてしまう。
 タワーで目を覚ましたあきとは、ターニャから「間接的にはヨルくんのためだけど、直接的にねこと紐付いてないからなのかもね」と言われ、それを自覚する。
 心配そうに現れたヨルにめちゃくちゃ癒してもらってもふもふする。
 すりすりしてもらって、ごろごろしてもらって、隣でいっしょに寝てもらう。
 不甲斐なさを感じつつ、ゆっくり休んで復活したあきとが起き上がると、ヨルが背中に乗れと促してくる。
 そっと乗ったあきとを連れて、ヨルはタワーから飛び出していく。

6−2
 あきとを乗せたヨルはねこの街を風になって駆け抜け、そのまま領民たちの住むエリアへ降り立つ。
 安心安全衛生的なのはねこの街までだから出ちゃダメだよと諭すあきとだが、ヨルはそのまま領民たちの家が立ち並ぶエリアまで一直線。いつもお世話をしてくれる領民たちを探すと、ごろごろ音を鳴らしながら駆け寄っていく。
 ヨルが領民たちの集落にかけていくのを見てターニャやネロ、ワンダもかけつける。
 こんなところにヨル様が!? と驚く領民たち一人一人に首をすりつけ、ターニャにはすりすりするだけではなくグルーミングの大サービスを見せるヨル。
 恐縮しつつも嬉しそうな領民たち、大喜びのターニャ。あきとに見せるのとほぼ同じ表情で甘えるヨルを見て、あきとはぼろ泣きする。
 そうか、この子にとってはもう、この領地のみんなも家族なんだ!
 湧き上がる力を感じたあきとは、涙を拭ってターニャや領民たちに向き直る。
「皆にとって住みやすい場所に変えてみせるよ! ちょっと立体的になるけど、いいよね?」
 そう宣言すると、あきとは再びヨルの背に乗って駆け出す。

6−3
 あきとは領主の館をミニサイズのキャットタワー仕様に変え、領民の家々も、すでに把握している設計図を駆使して人にも快適なキャットハウスに建て替えていく。
 家自体に思い入れがある領民には補強するだけにとどめたり、獣人と協力して引越しまで迅速に完了させるようにするなど、これまでの動きや考え方からは考えられない領民たちへの各種配慮でターニャたちを驚かせる。
 きれいなお水も駆使して住環境を整え終えると、続いてあきとたちは荒地のそこかしこにミニ世界樹を生やしていく。
 あっという間に肥沃な土地に早変わりし、痩せていた畑が元気を取り戻す。
「すごい……あきと、本当にうちの英雄になっちゃった!」
「ターニャさん、本当にとは? あきと様はすでに英雄様ですよ?」
「あはは、そうだったね。こっちの話」
 事情を知るターニャたちと、すでに英雄視している領民達のちょっとしたギャップなどを描きつつ、視野を広げて成長したあきとの活躍を見せる。


◆七章 すべてはねこのために
7−1
 数ヶ月後の領地は、様々な作物が豊かに実り、清らかな水が流れ、領民たちとねこたちが笑いあう場所へと変わっていた。
 実った作物はもちろん、世界樹のしずくの流通も始まり、世界の注目がこの領地に集まりつつある。
 あきとも、縄張りを領地全体へと広げたヨルとともに、自由に駆け回っては様々な仕事を手伝ったり遊んだりして過ごしていた。領主の娘であるターニャもいっしょに動いた方がいろいろとスムーズだからと、いっしょにいる時間が増えている。
 すべてが順調に回り始めたそんな中、召喚の間であきとに追放を言い渡した神官が王都の使者として現れる。
 いわく、ヨルは一領地で管理するには強力すぎる。よって王都で管理するとのこと。
 使者を待たせる間、答え方を相談するあきとたち。
 有無を言わさず絶対ノーに決まってるでしょう、と反発するあきとをネロがなだめる。
 世界樹のおかげでもりもり育つ作物。世界樹からとれるしずくの脅威的な治癒効果。ねこ科の皆さんの戦闘力。それらを司るように見えているはずの伝説の神獣と異世界からきた勇者候補。あっというまに想定外の力を手にした辺境が怖くなったのだろう、と王都の事情を説明するネロだが、あきとは止まらない。
 領主勢が止めるのも聞かず、使者が待機する部屋へずんずん進んでいく。

7−2
 これはこれは勇者候補どの。受け渡しの方法と期日は決めてくれたかね、速やかに頼みますよ。
 そう言って完全に上から目線で決めつけてくる王都の使者。
 仕方ないから出たとこ勝負だと丁寧に説明しようとするネロとターニャ。
 そこへあきとが啖呵を切る。
「ふざけんな、最初っからここまで、ヨルをまるでモノみたいに言って! そもそも家族になったら一生養って添い遂げるのが基本やろがい!」
 荒ぶるあきとと、たじろぎつつも王都に反抗するのかと脅してくる使者。
 ここでネロとターニャが前に出る。
 ご覧のとおり、勇者様はお怒りです。そもそもこの領地は勇者あきと様に任せられたはず。そう都合よく振り回されては困ります。
 それに私たちでも勇者様と神獣様を止めるのは至難の技……とある意味で事実も織り交ぜながら説得にかかる。
 この領地にヨルとあきとが揃っていることで初めて、各種の恩恵を受けられることを説明。
 世界樹のしずくも豊富な作物も流通できなくなりますよ。それに集まった獣人や元魔物も、神獣様を無理に移動させたりしたらどうなるか……どうでしょう、世界樹の恩恵を我が国が受け続けるためにも、今のままにしておいた方がいいんじゃないですかね? と逆の脅しをかける。
 丁寧に、王都の立場もわかりますよというスタンスのネロたちと、それこそシャーシャー威嚇を始めそうなあきとの飴と鞭。
 そこに、いつもの時間に遊びにこないあきとを心配したヨルが現れる。
 数ヶ月でほとんど成猫の大きさに成長したヨルが本気のごろごろ音でやってきたことで、その音にめちゃくちゃびびる使者。
 なんだこの音は……雷魔法? いや、爆裂魔法か!?
 ヨル、あきとにすりよりグルーミング。
 まさかこれが神獣!? こんな大きさ、こんな魔力とは聞いていない! しかもそれを完全に手なずけているだと!?
 知らない顔ぶれの使者をみつけたヨルが、使者をじっと見つめると、いろいろと想像してしまった使者は腰をぬかして引き上げる。


◆エピローグ
 立体的になった街並みでねこたちがいきいきと駆け抜け、安全安心清潔になった領地のそこかしこで毛づくろいや日向ぼっこに興じている。
 水も食べ物も豊富で領地の蓄えも増えてきた。ねこに害のある植物も排除した。もう完璧だねと笑うネロとターニャに、あきとは首を振る。
 ようやく基礎はできたけど、まだまだ改良の余地はある。
 出会った時点で子猫だったヨルはもりもり育ってきている。そのサイズを考えると、タワーの増築、キャットステップの補強、遊び場の拡充などやるべきことはいくらでもある。
 それに、世界樹のおかげである程度集まってきてくれているとはいえ、世界にはまだまだ困っているおねこ様がいるはずだ。
 彼らのすべてが笑顔で暮らせる楽園を作り上げてこそ、この領地は完成すると言い切るあきと。
 これからもねこたちのために頑張ろうとにこにこ顔のあきとと、それに同調するターニャ。これはなんとも、だいぶあきとくんに染まってきたな……と苦笑いのネロ。
 あきとの壮大な計画はまだ始まったばかりだ。
 いつもどおり遊びにきたヨルをもふもふして了。