パイライト
ある日、転生したと思ったら、実は現代ではなく戦国時代だった!何を言っているのかわからねーと思うが俺も何が起こったのかわからない。
【完結】我こそは武田高信である - 第一話 第二次天文七年 (織田家編) - ンと
「我が君よ......この忠臣を、どう思われまする......?」 - ンは困惑していた。
今川の陣に参じていた彼は、突如として目の前に現れた男に声をかけられたのである。
男は黒ずくめの鎧を着込み、その背には赤いマントが翻っていた。まるでそれは、武田軍を率いる総大将『上杉謙信』の姿であった。 男は言う――徳川方の武将であると。 しかし、武田軍とこの男が属する勢力の間に、何らかの因縁があるようには思えなかったのだ。 それに何より、敵方の男の方が明らかに自分を知っている様子であることも気にかかる。「......まさか御館様? いやでも......」 徳川家康の末裔である彼ではあるが、彼の知る謙信という人物とは性別が違う上に雰囲気が異なっていたためすぐには信じられなかったのである。 しかし、男の話は続く。 そして彼が驚愕の言葉を口にする。「......信長公にお仕えしておりました森長可と申す者でございますれば」「............!?」 男が口にした名前には聞き覚えがあったのだ。そう、それはかつて自分と共に袂を分かったライバルの名前だったのである。 この時に彼はようやく目の前にいるのが自分の知る上杉謙信ではない別の存在だと言うことに気付くのだが、もはや後の祭りであった。 何故なら、自分が仕えていたはずの天下人は織田家の当主である織田信長ではなく、かつての主君の弟君であらせられる尾張の大魔王――織田信長その人だったのだからである。 その後紆余曲折があり、結局、彼はそのまま上洛を果たした織田家に仕官することになったのであった。 そして、これが後に武田信玄となる男の物語の始まりでもあった――
織田家将軍記物語 - 1-1 第一次大合戦(1) ~第二次天文十四年~ - んン
甲斐の国。
日ノ本の中で最大の面積を誇る大国であるが、この国は今、滅びの時を迎えようとしていた。
時は西暦一五四二年五月一日。朝廷では、甲駿三ヶ国の相州にて起こった出来事に関して話し合っていたのであった。 その内容はもちろん、現在、織田家が絶賛敵対中にある越前・加賀一向一揆についてであり、その解決の糸口を模索するためである。 そんな彼らが今最も注目しているのは、この甲斐国において、武田氏が治める土地の一つである諏訪氏のことである。何しろ、かの城主はかつて、徳川家康に臣従していた時期のある一族だからだ。
だが彼らは決して油断出来る相手ではなかった。なぜなら、かつては徳川家光の配下として共に戦ったこともあるからだ。特に上泉伊勢守泰綱は武勇もさることながら智謀にも優れた将だったし、真田幸村はその親友でもあるのだから、彼らの実力は本物なのである。
さらに付け加えるならば......。
『いいかね!
佐助。君は必ずやこの戦を勝ち抜き、生きて帰る必要がある!』
真田左衛門佐もかくやとばかりに熱弁を振るうこの男は、なんと忍軍頭目・山本勘助その人なのだから、驚きものである。『何故でござるか?』『よくぞ聞いてくれた!
この戦、我らは敗北する』と勘助は言う。『一体なぜそんなことが分かるのでござろうか? そもそも、御屋形様は何ゆえにこのようなことをおっしゃったのだ?』 そう疑問を投げかけたのは、同じく武田家中の若衆筆頭格の飯富虎昌こと飯富兵部大夫義輝である。『確かにそうだ。これは俺たちだけで片付けられる問題じゃないな』『いや、そうじゃないんだ』
信玄餅 - 第2話「武田家再興の旗揚げ」 - ンは武田家の当主・武田信玄から直々に呼び出されていた。 内容は実に単純明快で、しかも彼一人では決して対処できないほどの大きなモノであった。 その証拠に、彼が一人きりというわけではなく、同じ部屋にはすでに二人の人影があった。 一人は真田源五郎信繁が弟にして彼の養子でもある真田幸村彦継である。そしてもう一人は、武田家最年長の大老・山本勘助。二人とも古くからの家臣団の中でも重鎮とされる者たちなのだ。 しかしそれでもまだ足りないのか、三人目の男が姿を現すと部屋の
ある日、転生したと思ったら、実は現代ではなく戦国時代だった!何を言っているのかわからねーと思うが俺も何が起こったのかわからない。
【完結】我こそは武田高信である - 第一話 第二次天文七年 (織田家編) - ンと
「我が君よ......この忠臣を、どう思われまする......?」 - ンは困惑していた。
今川の陣に参じていた彼は、突如として目の前に現れた男に声をかけられたのである。
男は黒ずくめの鎧を着込み、その背には赤いマントが翻っていた。まるでそれは、武田軍を率いる総大将『上杉謙信』の姿であった。 男は言う――徳川方の武将であると。 しかし、武田軍とこの男が属する勢力の間に、何らかの因縁があるようには思えなかったのだ。 それに何より、敵方の男の方が明らかに自分を知っている様子であることも気にかかる。「......まさか御館様? いやでも......」 徳川家康の末裔である彼ではあるが、彼の知る謙信という人物とは性別が違う上に雰囲気が異なっていたためすぐには信じられなかったのである。 しかし、男の話は続く。 そして彼が驚愕の言葉を口にする。「......信長公にお仕えしておりました森長可と申す者でございますれば」「............!?」 男が口にした名前には聞き覚えがあったのだ。そう、それはかつて自分と共に袂を分かったライバルの名前だったのである。 この時に彼はようやく目の前にいるのが自分の知る上杉謙信ではない別の存在だと言うことに気付くのだが、もはや後の祭りであった。 何故なら、自分が仕えていたはずの天下人は織田家の当主である織田信長ではなく、かつての主君の弟君であらせられる尾張の大魔王――織田信長その人だったのだからである。 その後紆余曲折があり、結局、彼はそのまま上洛を果たした織田家に仕官することになったのであった。 そして、これが後に武田信玄となる男の物語の始まりでもあった――
織田家将軍記物語 - 1-1 第一次大合戦(1) ~第二次天文十四年~ - んン
甲斐の国。
日ノ本の中で最大の面積を誇る大国であるが、この国は今、滅びの時を迎えようとしていた。
時は西暦一五四二年五月一日。朝廷では、甲駿三ヶ国の相州にて起こった出来事に関して話し合っていたのであった。 その内容はもちろん、現在、織田家が絶賛敵対中にある越前・加賀一向一揆についてであり、その解決の糸口を模索するためである。 そんな彼らが今最も注目しているのは、この甲斐国において、武田氏が治める土地の一つである諏訪氏のことである。何しろ、かの城主はかつて、徳川家康に臣従していた時期のある一族だからだ。
だが彼らは決して油断出来る相手ではなかった。なぜなら、かつては徳川家光の配下として共に戦ったこともあるからだ。特に上泉伊勢守泰綱は武勇もさることながら智謀にも優れた将だったし、真田幸村はその親友でもあるのだから、彼らの実力は本物なのである。
さらに付け加えるならば......。
『いいかね!
佐助。君は必ずやこの戦を勝ち抜き、生きて帰る必要がある!』
真田左衛門佐もかくやとばかりに熱弁を振るうこの男は、なんと忍軍頭目・山本勘助その人なのだから、驚きものである。『何故でござるか?』『よくぞ聞いてくれた!
この戦、我らは敗北する』と勘助は言う。『一体なぜそんなことが分かるのでござろうか? そもそも、御屋形様は何ゆえにこのようなことをおっしゃったのだ?』 そう疑問を投げかけたのは、同じく武田家中の若衆筆頭格の飯富虎昌こと飯富兵部大夫義輝である。『確かにそうだ。これは俺たちだけで片付けられる問題じゃないな』『いや、そうじゃないんだ』
信玄餅 - 第2話「武田家再興の旗揚げ」 - ンは武田家の当主・武田信玄から直々に呼び出されていた。 内容は実に単純明快で、しかも彼一人では決して対処できないほどの大きなモノであった。 その証拠に、彼が一人きりというわけではなく、同じ部屋にはすでに二人の人影があった。 一人は真田源五郎信繁が弟にして彼の養子でもある真田幸村彦継である。そしてもう一人は、武田家最年長の大老・山本勘助。二人とも古くからの家臣団の中でも重鎮とされる者たちなのだ。 しかしそれでもまだ足りないのか、三人目の男が姿を現すと部屋の