「逆にお前のせいで彩叶が伸び悩んでいるとか考えたことはないのか」

せっかく答えてやったのに性格悪いやつだななんて思ったけれど、この質問には反論できなかった。

「……たしかに、僕のせいで彩叶を追い込んでしまっている部分もあるかもしれない。でも、彼女は人一倍責任感が強いし、周囲のことを気にしてしまう。誰かが支えてあげなくちゃいけないんだ」

「あいつがここで躓くのは、所詮この程度の器だったってことじゃないのか」

「彩叶はこんなことで潰れる人間じゃない。それに、成績云々じゃなくて、あいつはもっと周囲の人を魅了する演技ができていた。それを取り戻させてあげたいんだ」

「どうするつもりなんだよ」

「それは……今はまだ頭の中を整理できていないかもしれない、だから少し時間を置いてから、もう一度彩叶と話をしたい」

「放っておいて大丈夫か?あいつ相当ヘコんでるぞ」

「僕も……正直どうすればいいのか、わからないんだ……」

「京介、お前やっぱあいつと似てるな。頑固で熱血。おまけにバカ」

「バカって……」

「でもお前らは面白い!よし、決めた!京介、俺がお前を死なねーようにしてやる!」

「はあ?何言ってんだ?」

「彩叶と会ってこいっつってんだ!お前らもう一度一緒にもがいてみろ!」

「い、言われなくてもそうするよ!」