ここでまた新しいバイトメンバーを紹介します。


「(また、だ……)」


私は目の前の手紙、いわゆるラブレターというものを見つめてしばらく思考を回転させていた。
因みに、私のものではない。というのは私が貰ったものや渡すものではないと言うことである。

勿論渡すとなるならば相手は店長しかあり得ないのだが、いつもあんな大声で愛を伝えているのに今更紙に文字を書いて伝える意味がないように思える。

次の私が貰った体だが……残念、本当に残念だがあり得ない。
ま、まぁ……ラブレターぐらい貰ったことあるよ? いやいや、意地を張っているんじゃなくて本当に。

じゃなくて!


「今月で何通目なんだろうか」


バイトの休憩室、私は椅子に腰を掛けながらラブレターを手に足を前後にぶらぶらと揺らしていた。
女の子らしいその封筒はその子の本気が窺えるというか、もう開ける前から好きが溢れ出てしまっている。そういえば渡してきた女の子も可愛かったな。


「(まぁいいや、とりあえずは仕事に戻らなきゃ……)」


そう思って私は腰を上げ、休憩室をあとにしようとする。
エプロンを巻き直し、フロアに繋がる廊下を曲がったところで思わず立ち止まり、「あ、」と声を漏らした。