爽やかな笑顔に服の上からでも分かる筋肉質な肉体。
初めて一目惚れを経験した私は、免許を取り通勤を車に切り替え彼のバイト先に通っている。
「いえ、すみません。今日はどうしてもとの事でして⋯⋯」
小刻みに震える園崎にとって組長の命令は絶対だ。
私を連れて行かないと彼がどんな目にあうか想像できてしまった。
(車は後でとりにくれば良いか⋯⋯)
私が駐車場の方を見たのを逃げるつもりだと解釈した園崎は私を米俵のように持ち上げると、近くに寄せてきた黒塗りの車にのせた。
「ちょっと、園崎! 防犯カメラにでも映ってたらどうするの? 完全に誘拐みたいじゃない」
「防犯カメラについては対策済みです」
用意周到な彼に溜息をつく。十五分程車を走らせ、とある赤坂の料亭に到着した。
幼い頃から何度か祝い事の時に使った料亭。父は娘が四半期生きた事を馴染みの女将にでも報告させたいのだろうか。
私は控え室のような部屋に連れてかれて着替えをさせられた。縦縞の模様、黒地に流水が入った着物だ。
「わざわざ、着物って⋯⋯」
一つ結びに括っていた髪が解かれ丁寧に纏め上げられると季節外れの花見鶴の簪をつけられる。
初めて一目惚れを経験した私は、免許を取り通勤を車に切り替え彼のバイト先に通っている。
「いえ、すみません。今日はどうしてもとの事でして⋯⋯」
小刻みに震える園崎にとって組長の命令は絶対だ。
私を連れて行かないと彼がどんな目にあうか想像できてしまった。
(車は後でとりにくれば良いか⋯⋯)
私が駐車場の方を見たのを逃げるつもりだと解釈した園崎は私を米俵のように持ち上げると、近くに寄せてきた黒塗りの車にのせた。
「ちょっと、園崎! 防犯カメラにでも映ってたらどうするの? 完全に誘拐みたいじゃない」
「防犯カメラについては対策済みです」
用意周到な彼に溜息をつく。十五分程車を走らせ、とある赤坂の料亭に到着した。
幼い頃から何度か祝い事の時に使った料亭。父は娘が四半期生きた事を馴染みの女将にでも報告させたいのだろうか。
私は控え室のような部屋に連れてかれて着替えをさせられた。縦縞の模様、黒地に流水が入った着物だ。
「わざわざ、着物って⋯⋯」
一つ結びに括っていた髪が解かれ丁寧に纏め上げられると季節外れの花見鶴の簪をつけられる。
