「ドローイング」は、2008年に広島県芦口市(ひろしまけんあしぐちし)伊呂金町(いろかねちょう)というところで考えられたニュースポーツなんだ。
正式(せいしき)な名前は「ウォーター・ドローイング」といって、これは英語(えいご)で「川などから水のとおりみちをつなげて必要(ひつよう)場所(ばしょ)にはこぶ」という意味(いみ)なんだ。
伊呂金町に古くから伝わる「引水舞(ひきみずまい)」という伝統行事(でんとうぎょうじ)をもとにしてルールが考えられていて、その「引水舞」から名前もつけられたんだよ。

名前はそういう意味だけど、実際(じっさい)のルールでは水をつかうわけじゃないよ。
つかうのはボールとバスケット、それから専用(せんよう)のベルト。
バスケットボールのコートくらいの(おお)きさがあればできるから、学校のグラウンドや校庭(こうてい)体育館(たいいくかん)でもあそべるよ。

5人が1つのチームになって、2つのチームでおこなうスポーツだよ。
ルールの基本的(きほんてき)なところは、(おに)ごっことにているんだ。
ドローイングでは鬼のような(やく)は「ボーラー」といって、バスケットにいれたボールをせおっているよ。ボーラーは相手(あいて)チームのプレイヤーからベルトをとるんだ。
相手チームのプレイヤーはボーラーからにげるだけじゃなくて、ボーラーのせなかのバスケットからボールを()とそうとするよ。ボールが落ちたら、相手チームに点が入るんだ。
ボーラーの味方(みかた)チームのプレイヤーは、相手チームのプレイヤーのじゃまをしてボーラーをサポートするしごとがあるよ。いちどボーラーをやったら次(つぎ)のプレイヤーに交代(こうたい)していくから、ゲームがすすむとみんながボーラーになるよ。

どんなルールのスポーツなのか気になってきたかな?やってみたくなったかな?
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ちょっと一言
伊呂金町内に伝わる「引水舞」は日本に残る伝統行事としては珍しく、競技性のあるスポーツのような性質を持った行事です。
地区内の村同士で生活用水を巡る争いとなったものの、お互いの戦いぶりに争うことを忘れてお互いをたたえ合うようにして和解することに。
すると直後、伊呂金山から両村それぞれに向かって新しい小川が流れるようになり、その川の清水によってどちらの村も水に困ることはなくなった……とする伝承が元になったとされており、その争いと後の和解を再現するような形式を持つ儀式が伝わっています。
「ドローイング」はそんな伝統ある「引水舞」を未来へ受け継いでいくため、まずは興味を持ってもらうための入口とすべく伊呂金文化振興会によって考案されました。
引水舞の根幹部分を踏襲しつつ、多人数でプレイするチームスポーツとして設計しなおし、子供たちに夢中になってもらえるようなルール作りに努めました。
体力はある程度必要になりますが、子供の中に大人が入ってプレイしてもすばしっこい子供たちの動きが手ごわかったりと、親子でも世代をまたいで本気になれるスポーツになっています。