■ メイン司会者 : カワサキさん

■ リポーター : ヤマモトさん


「どういう事件だったのですか? グッドアフタヌーンショーの単独スクープだそうですね、ヤマモトさん」
「はい、カワサキさん。事件は、真夜中に起こりました。どこからどうやって忍び込んだかは定かではありませんが、侵入者は息を殺し音も立てず待ち伏せ、酷暑のなか帰宅し、ようやくくつろぎの時間をベッドの上に求めて安らかな眠りから目覚めた住人に、突如、襲いかかりました。草木も眠る丑三つ時の惨事でした。彼女に正真正銘の悪夢が舞い降りたのです。」
「被害者は、うら若き乙女とお聞きしておりますが……」
「そ~なんですよ、カワサキさん。大学四年生で既に内定をもらって一段落した矢先の災難ということでした。これから輝かしい将来が待っている若者ですよ」
「なんという悲劇なんでしょうねえ。痛ましいことです」
「ええ、これは恐らく彼女だけの問題ではありません。この大都会に生きる者にとって、いや、全人類にとって現実となり得る事件なのです」
「なんと怖ろしい。では、さっそく事件の詳細をリポートしてください」
「はい、わかりました。再現VTRは彼女の証言を元にして忠実に作成したものです。随所に彼女の実際の映像を差し挟んでありますが、プライバシー保護の観点から、顔にはモザイクを施し、音声は変えてありますので悪しからず。目を覆いたくなるシーンもあるかもしれません。ですが、これは、誰しもの身に起こり得る出来事だということを忘れないでください。ですから、敢えて強調して表現してあります。ぜひ、目を背けずにご覧いただきたい。それでは・・・」