👢 6 👢
休日の朝、ご主人はいつもと違うバス停に立っていた。
わたしにとってこの冬初めての外出だった。
そのせいでドキドキが止まらなかったが、バスがなかなか来ないので、どこに行くのかさっぱりわからなかった。
仕方がないので足持ち無沙汰に辺りを見回していると、エリザベスの姿が見えた。
飼い主を引っ張るように急いでわたしの方に向かってくる。
「どこへ行くの?」
飼い主は止めようとしたが、エリザベスは構わずわたしの方へ急いだ。
そして、ハアハアと荒い息をしながら近寄ってきて、至近距離で止まった。
それから、躊躇いがちに鼻を寄せてきたと思ったら、クゥ~ンと鳴いて、上目がちにわたしを見た。
何かを訴えるような眼差しだった。
どうしたのかと思っていると、恐る恐るという感じで声をかけてきた。
「友達になってくれる? もうオシッコしないから」
お願い、というように首を縦に振った。
それが余りにもいじらしかったので、思わず笑みを返した。
でも、「いいわよ。友達になってあげる」と言った途端、嫌悪が走った。
何様のつもりだ、
上から目線の自分が嫌になった。
すぐに言い直した。
「ありがとう。嬉しいわ。これから仲良くしましょう」
すると、エリザベスの顔がパッと明るくなった。
ワン、ワンと吠えて、尻尾を千切れるくらいに振って、ジャンプを繰り返した。
「どうしたの?」
飼い主がエリザベスを押さえるように抱え込んで頭を撫でると、「クゥ~ン」と鳴いて、飼い主の顔をなめた。
「まあ」と驚いた表情になった飼い主がエリザベスの顔にスリスリすると、エリザベスは目を細めて嬉しそうにしていた。
「さあ、行きましょう」
飼い主に促されて、エリザベスが歩き出した。
角を曲がる時、エリザベスが振り向いてウインクをしたので、わたしもウインクを返した。
すると、尻尾を大きく振った。
それを見て、なんか気持ちが温かくなった。
そのせいか、エリザベスの姿が消えてからもその残像を見続けた。
しかし、バスの到着と共にそれは消え、ご主人と共にバスに乗り込んだ。
休日の朝、ご主人はいつもと違うバス停に立っていた。
わたしにとってこの冬初めての外出だった。
そのせいでドキドキが止まらなかったが、バスがなかなか来ないので、どこに行くのかさっぱりわからなかった。
仕方がないので足持ち無沙汰に辺りを見回していると、エリザベスの姿が見えた。
飼い主を引っ張るように急いでわたしの方に向かってくる。
「どこへ行くの?」
飼い主は止めようとしたが、エリザベスは構わずわたしの方へ急いだ。
そして、ハアハアと荒い息をしながら近寄ってきて、至近距離で止まった。
それから、躊躇いがちに鼻を寄せてきたと思ったら、クゥ~ンと鳴いて、上目がちにわたしを見た。
何かを訴えるような眼差しだった。
どうしたのかと思っていると、恐る恐るという感じで声をかけてきた。
「友達になってくれる? もうオシッコしないから」
お願い、というように首を縦に振った。
それが余りにもいじらしかったので、思わず笑みを返した。
でも、「いいわよ。友達になってあげる」と言った途端、嫌悪が走った。
何様のつもりだ、
上から目線の自分が嫌になった。
すぐに言い直した。
「ありがとう。嬉しいわ。これから仲良くしましょう」
すると、エリザベスの顔がパッと明るくなった。
ワン、ワンと吠えて、尻尾を千切れるくらいに振って、ジャンプを繰り返した。
「どうしたの?」
飼い主がエリザベスを押さえるように抱え込んで頭を撫でると、「クゥ~ン」と鳴いて、飼い主の顔をなめた。
「まあ」と驚いた表情になった飼い主がエリザベスの顔にスリスリすると、エリザベスは目を細めて嬉しそうにしていた。
「さあ、行きましょう」
飼い主に促されて、エリザベスが歩き出した。
角を曲がる時、エリザベスが振り向いてウインクをしたので、わたしもウインクを返した。
すると、尻尾を大きく振った。
それを見て、なんか気持ちが温かくなった。
そのせいか、エリザベスの姿が消えてからもその残像を見続けた。
しかし、バスの到着と共にそれは消え、ご主人と共にバスに乗り込んだ。