「でもー」

部屋に勝ってに入ってきたと思えば、結婚についてずっとボヤボヤ言っている。

「でもじゃないです。婚約はしません」

私はもう一度、事実を告げると兄さんはわかりやすくシュンと、ないはずの大きい耳が垂れ下がる。

「隼瀬(はやせ)は優しくて、お前のことを大事にできるだぞ?これ以上ない相手だろ?」

どうしても自分の親友に嫁がせたほうが心配が減るのか、兄さんは春山隊長をほめまくる。

「そうですね。春山隊長は申し分ないと思います。ですが、婚約しません」

「なぜですか?俺ではいけない理由でもあるんですか?」

「そりゃあ・・・え?」

兄さんの声より低い声が後ろから聞こえる。

ゆっくりと後ろを振り返ると、少し悲しそうに眉を下げている春山隊長がいた。

「なんで・・・いるんですか?」

「真琴(まこと)が連れてきてくれたんだ」

私はなんで言ってくれなかったの?と兄さんに目で訴えかけるが、兄さんはニコッと笑う。

「なぜ、俺ではいけないのですか?」

「・・・タイプじゃないからです」

うわぁー、言っちゃったよ。