「でも、夏月のそういうとこ、変わってなくて良かったです」
「ん、俺も昔からアイツがそういうやつだったって知れて良かったわ」
クスクス笑いあって「あ、春陽ちゃん、ちょっと待ってて」とコンビニに入って行ったマルがアイスを二本手にして戻って来る。
「どっちがいい?」
一本は私が大好きなチョコレートアイス、もう一本はマルの好きなパインアイス。
春陽はチラリと私の視線を辿って。
「チョコにします」
と受け取ると「やっぱ双子だな」なんて嬉しそうにマルは笑ってるけど。
残念ながら、春陽はチョコはチョコでもイチゴチョコが好きなんだよ!
そういうとこ残念な男だな、なんて悪態つけないのが少しだけ寂しくなる。
「春陽ちゃん、帰るんでしょ? 駅まで送ってくわ」
「大丈夫ですよ、すぐそこですし」
「いやいや、女の子の一人歩きは危険だから」
……、おーい、あんたは私の事一回も送ってくれたことなかったじゃん!
マルの行動に抗議することなど、もうできないのか、と握った拳を静かに下ろす。
「そういえば、マルさんはどうしてコンビニに?」
「ああ、うん……。この時間帯にアイツと同じ行動してみたら、スマホの在り処もわかるかもなって」
その瞬間、春陽はアイスを飲み込みそこねて、ゴホゴホッとむせた。
「大丈夫?」
「だ、大丈夫です」
マルに背中を撫でられて、春陽はなんとか呼吸を整える。
「夏月のスマホ……」
『春陽!? マルには言わないで!』
マルを見あげた春陽の呟きに慌てて制止しようと声を荒げると。
「一体、どこに行っちゃったんでしょうね」
続く春陽の言葉に脱力する。
どうやら、この時点ではまだ春陽の中でスマホが見つかったことを話す気はないのだろう。
「夏月が落ちた辺りから、コンビニまでの間のどこかなんだろうけどさ、帰り道また探しながら戻るわ」
春陽を駅まで送り届けたマルが笑顔で手を振っている。
「春陽ちゃん!」
「はい?」
「また、夏月のこと話そうよ。俺、大体家にいると思うし、なんかあったら連絡して。その、なんか無くても」
マルの笑顔が、いつもより少しだけ大人びて見えた。
「春陽ちゃんと話してると、すぐ側に夏月がいるような気がしてさ……、だからってわけじゃないけど、春陽ちゃんと会うと俺も元気貰えてて」
「わかりました!」
春陽は笑顔で、チラリと私を見て。
「また、夏月のこと聞かせて下さい! 私も、夏月の小さいころの話、いっぱいしたいんで聞いて下さいね!」
『やめてー!!』
夜の町に響くことない私の怒鳴り声に、春陽だけは楽しそうに笑っている。
手を振り合って、家への電車を待つホームで春陽は私にだけ聞こえるようにつぶやいた。
「マルさん、夏月の存在に気づいてるみたいなとこあるよね」
私はそれを肯定することも否定することもなく、苦笑した。
なんでだろうか、春陽とマルの距離が近づくと胸がザワザワしてしまうのは――。
「ん、俺も昔からアイツがそういうやつだったって知れて良かったわ」
クスクス笑いあって「あ、春陽ちゃん、ちょっと待ってて」とコンビニに入って行ったマルがアイスを二本手にして戻って来る。
「どっちがいい?」
一本は私が大好きなチョコレートアイス、もう一本はマルの好きなパインアイス。
春陽はチラリと私の視線を辿って。
「チョコにします」
と受け取ると「やっぱ双子だな」なんて嬉しそうにマルは笑ってるけど。
残念ながら、春陽はチョコはチョコでもイチゴチョコが好きなんだよ!
そういうとこ残念な男だな、なんて悪態つけないのが少しだけ寂しくなる。
「春陽ちゃん、帰るんでしょ? 駅まで送ってくわ」
「大丈夫ですよ、すぐそこですし」
「いやいや、女の子の一人歩きは危険だから」
……、おーい、あんたは私の事一回も送ってくれたことなかったじゃん!
マルの行動に抗議することなど、もうできないのか、と握った拳を静かに下ろす。
「そういえば、マルさんはどうしてコンビニに?」
「ああ、うん……。この時間帯にアイツと同じ行動してみたら、スマホの在り処もわかるかもなって」
その瞬間、春陽はアイスを飲み込みそこねて、ゴホゴホッとむせた。
「大丈夫?」
「だ、大丈夫です」
マルに背中を撫でられて、春陽はなんとか呼吸を整える。
「夏月のスマホ……」
『春陽!? マルには言わないで!』
マルを見あげた春陽の呟きに慌てて制止しようと声を荒げると。
「一体、どこに行っちゃったんでしょうね」
続く春陽の言葉に脱力する。
どうやら、この時点ではまだ春陽の中でスマホが見つかったことを話す気はないのだろう。
「夏月が落ちた辺りから、コンビニまでの間のどこかなんだろうけどさ、帰り道また探しながら戻るわ」
春陽を駅まで送り届けたマルが笑顔で手を振っている。
「春陽ちゃん!」
「はい?」
「また、夏月のこと話そうよ。俺、大体家にいると思うし、なんかあったら連絡して。その、なんか無くても」
マルの笑顔が、いつもより少しだけ大人びて見えた。
「春陽ちゃんと話してると、すぐ側に夏月がいるような気がしてさ……、だからってわけじゃないけど、春陽ちゃんと会うと俺も元気貰えてて」
「わかりました!」
春陽は笑顔で、チラリと私を見て。
「また、夏月のこと聞かせて下さい! 私も、夏月の小さいころの話、いっぱいしたいんで聞いて下さいね!」
『やめてー!!』
夜の町に響くことない私の怒鳴り声に、春陽だけは楽しそうに笑っている。
手を振り合って、家への電車を待つホームで春陽は私にだけ聞こえるようにつぶやいた。
「マルさん、夏月の存在に気づいてるみたいなとこあるよね」
私はそれを肯定することも否定することもなく、苦笑した。
なんでだろうか、春陽とマルの距離が近づくと胸がザワザワしてしまうのは――。