「…先生は、どうして優しいんですかね。」

優菜はそっと呟く。

聞こえていた晴紀は、首を傾げる。

「どうして…?誰だって優しいと思うけどなぁ。」

優菜はどう言葉に表したらいいのか分からず、黙り込む。

「…………。」

「まぁ…辛い思いして欲しくないって言うのが主な理由じゃないかな。」

晴紀はコップに水を注ぎ、優菜に渡す。

「辛い思い……。」

優菜はコップを受け取り、呟く。

「……神木さんは、溜め込みすぎる癖があるからね。」

確かに、友人からもよく言われるなと優菜は感心する。

自分自身の事を後回しにし、他の人の事を優先しがち。

しっかり見ている晴紀に、優菜は驚かされる。