「戻りました〜。」

優菜がそう言いながら教室へ入ると、晴紀は電話をしていた。

「はい、はい…分かりました。では、その様に変更しておきます。」

晴紀は疲れきった様子で話している。

誰が見てもきっと休んだ方がいいと思うだろう。けれど、晴紀の上司が休ませてくれないと優菜は気付いている。

入塾者を増やす為に朝から晩まで働き、増やせなければ怒られる…。

やっぱり、とんでもないブラックだなと優菜は思う。

「あ、神木さん、おかえり。」

電話が終わり、優菜に気付いた晴紀。

「これ、どうぞ。それと、私に出来る事があれば言ってください。…いつも助けて貰っているので、恩返し…と言いますか。」

優菜はお菓子を渡しながら言う。

「え、ありがとう…これ、ずっと気になってたやつじゃん!」

優菜はやっぱり笑顔がいいと感じる。

「本当にありがとう…!!ちょっと、トラブルがあってさ。でも、これでやる気出るわ!」

そう言い、晴紀はまたパソコンに向き合う。

優菜も、席へと戻り、勉強を続ける。