晴紀はずっと心配だった。

いつ見ても真面目に勉強している優菜は、日に日に顔色を悪くし、目も腫れている事が多かった。

何か手伝える事があればいいと考えていたけれど、仕事が多すぎて手一杯だった。

「一人一人大切にしたいんだよ…。」

そう呟き、晴紀は優菜に荷物を渡す。

「今日は一旦帰った方がいいよ。授業もあるしさ。」

「そう、ですね。」

優菜はお風呂にも入らないと行けない。

晴紀は家に帰る時間はないが、幸い、予備のスーツがある。

タオルを濡らし身体を拭けば何とかなるだろうと考える。

「じゃあ、一旦帰ります。ありがとうございました。」

優菜が荷物を持ち、扉を開けて言う。

「うん、また後でね〜。」

晴紀は手を振る。

それに応えて優菜も小さく手を振る。

「さて…タオルとスーツ出しますか。」