早くも先が思いやられる。けど翌日の放課後は約束通り、七瀬にサッカー部まで連れて行ってもらった。
「うわーお……!!」
校庭は広いし人数も多い。ここは思った以上に大規模で、練習も熱が入っていた。
「流れは大体こんな感じ。どう? 須賀君もやってみない?」
そう笑いかけてきたのは同じ三年でサッカー部の部長、不田澤。見学に付き合ってくれた、すごく明るくて爽やかな奴だ。 正直入部は迷っていたけど、練習の様子を見てたらウズウズしてまたやりたくなってきてしまった。
「えっと……せっかくだし、やってみようかな」
「やったー!!」
他の部員も喜んでる。
少なくとも拒否られてる雰囲気じゃなくて安心した。
「じゃ須賀君、さっそく練習に参加してよ! こっちこっち!」
「うん。……そうだ、七瀬!」
先に行った不田澤の後を追おうとしたけど、すぐに後ろを振り返る。
「連れて来てくれてありがと!」
笑って声を掛けると、彼はすぐに顔をそむけてしまった。
「別に。義務だから。さっさと行けよ」
「義務って……まぁいいや、またな!」
彼もとことん素直じゃない。
でも今は一旦忘れて、部活に集中することにした。
あっという間に一日が終わる。サッカー部は放課後はもちろん朝練もあるから、また早寝早起きの生活に戻った。授業は居眠りが多くなって、疲れはするけど充実した毎日になったと思う。
あと変わったことは……。
あれだけ意気込んでいた七瀬の監視もしなくなったこと、か。
それ以前に、彼と話す機会も少なくなっていた。