いつもみたいに揶揄う調子で話すと、夕夏は恥ずかしそうに笑った。

「お前こそ覚悟しろよ。俺は好きな奴には意外と優しいんだから」
「あぁ。ていうか、実は優しいんだって初めて会った時から知ってる。意外に乙女で、可愛いものが好きで、涙脆いところなんかも」

そこはさすがにど突かれた。けど嬉しくってヘンになりそうだ。高校を卒業しても、夕夏がいない未来はちょっと想像できない。
例え違う大学へ行っても、それこそ引っ越して、遠い地へ行くことになっても…………必ず彼に逢いに行く。
ひとりで泣かせたりしないって約束するから、一緒に生きてほしい。
輝いた未来しか見えない。
「夕夏、また告白してもいい?」
「何回でもどーぞ。……せっかくだし、俺もしようかな。いつも周りが気になって、ちゃんとできなかったし」
互いに跳ねた髪を直して、深く息を吸う。何だかちょっとだけ緊張した。言う台詞は分かりきってるのに。
「智紀」
「うん。えっと、……夕夏」
多分、俺達は青春に取り憑かれてるんだ。未だに余計なことを考えてビクビクしてる。たまに空回りしてすれ違うこともあるし、すごい大変。……だけど、楽しい。

恋人同士になっても、告白は何回でもしたいな。

「好きになってくれてありがとう」

想いを伝えるタイミング。
それは、二人同時に重なった。