常勤顧問という立場で入社し、社長特命のプロジェクトに関わることになったのだという。
 それですぐに勤務先に辞任届を出したところ、あっさりと受理され、希望通り先月末に辞めることができたということだった。
「でも、ただ辞めるだけでなく次の布石を打ちました。取締役だった時に直属の部下だった2人の幹部社員を連れて行くことにしたのです。ノウハウ本や自己啓発本を担当している社員です。私と似ているところがあるので、変人2号、変人3号とも呼ばれている社員なのですが、声をかけると、一も二もなく同意してくれました。『年老いた変人を一人で行かすわけにはいきませんからね』と軽口を叩くように言っていましたけど、自分を信頼してくれている気持ちが伝わってきて嬉しかったですね」
 その時のことを思い出したのか、本当に嬉しそうに笑った。