春休みが過ぎ、中学校の入学式。
 同じ人が同じところに来るので、みんな緊張している様子はない。


 新しいクラス、もあまり変わらずそのままだ。
 変わったと言えば席順くらいだ。
 小学校の頃よりも教室が狭いように感じるのは気のせいだろうか?
 「はーい、みなさん静かにしてくださーい」
 先生がやってきた。
 思っていたより若い。
 三十代前半、いや二十代後半くらいだろうか?
 「今日から三年間このクラスを担当します。井浦英治でーす」
 三、?三年間?一年間ではなく、?
 不思議に思った僕の気持ちを代弁するかのように、手を挙げ質問した人がいた。
 「先生、質問いいですかー?」
 「いいぞー、なんだ?」
 「担任の先生って三年間同じなんですか?…一年間ごとにかわるものじゃないんですか、?」
 その人をはじめとして、みんなが文句を言い始めた。
 「そーだそーだ!!」
 「おかしいですって!!!」
 それを先生が制した。
 「静かに」
 声はあまり大きくないが圧がすごい。みんな一瞬で静かになった。
 「これは教師全員で決めたことだ。毎年クラスは変わらないだろ?ってことは、先生も変えなくていいんじゃないか?ってことになったんだ。いいか?」
 何がいいのかよくわからないけど、頷くしかないような空気だった。


 その日のうちのホームルーム。
 「朝言い忘れていたが、もうすぐ学力診断テストがあるからな。小学校の間に習ったところだけが出るからな。簡単だとは思うが不安なやつは勉強しておけよー」
 「え!?」
 一人が大声を出して驚いている。
 この様子じゃ、春休み中何も勉強していないんだろう。
 君はどんな反応だろう、と思い首を回して見てみると、そこには当然と言ったような顔をした君がいた。
 流石だなと思う。
 というか、小学校でそんな難しい問題あったか?
 みんなの反応を見ていたら、ホームルームが終わりそうになっていた。

 挨拶をして帰ろうと思ったその矢先。
 「誰か今日時間ある人ー?」
 君が呼びかけた。
 君に抱きついているヤツがいた。
 どうせ教えてとでも懇願しているのだろう。
 正直どっちでもいいなと思いつつ、みんなの反応を待つ。
 「時間ある人で勉強会という名の遊ぶだけになりそうなことをしようと思うんだけど、誰かどう、?」
 君が付け足した。
 誰かが手を挙げる。
 もう一人、またもう一人、さらにもう一人というようにどんどん手が挙がっていく。
 僕も手を挙げた。
 そこからはあれよあれよと話が進んだ。
 ファミレスかカラオケかで論争していたが、結果的に人が多いから、カラオケということになった。
 一瞬勉強、会……?と思ったが気にしないことにした。
 そのままみんなでカラオケへ出発した。