「俺は昨日の猫です。あなたが拾ってくれた」
「…あなたは人間よ?」
「今は人間ですけど。昨日までは猫でした」
そんな見え透いた嘘。猫が次の日に人間になるなんて、苦しい言い訳だ。
「…昨日まで猫だった証拠は?」
「ツナ缶と水。マグロって言ってたけど、なくてツナ缶になりました。猫としては美味しかったですけどね」
「流しにツナ缶があったから、そう言えるんでしょ。他に証明できるものは?」
犯人の取り調べみたいな雰囲気と口調で話が進むと、段々本当に昨日の話だと思えてきた。
でもあり得ないことを信じるのは、難しい。