「不審者じゃないです!不審者に見えると思うけど…」
「当たり前です!不審者じゃないなんて、常套句に決まってます…。そこ動いちゃだめですからね!」
電話のアイコンを押して、次に警察の番号を押したいのに、何番かを忘れた。
早くしないと不審者が逃げてしまうし、そんな人の前に居ることも怖いしで、頭が回らない。
大人しく私の言う通り立ち尽くして待っていた不審者だったけど、なかなか進まない状況に痺れを切らして、私に近づいた。
「ひっ…!近づかないでください!…え?」
どうも、今の近づき方に違和感がある。
ベットを挟んで立っているのに、そのベットをひょいと軽く飛び越えて、こちらにやってきたのだ。
助走も無しでジャンプ力があった。
人間ではないような身体能力を見せられた気がする。