僕はハルを捜した。学校中捜しまわった。
 きっとハルは怒っているだろう。
 僕のために聖亜を殺してくれようとしたのに、僕に止められて。

『ハルに僕の気持ちなんか、わかるわけない!』

 あんなことまで言われて……。

「ごめん、ハル。どこにいるんだよ」

 すべての教室はもちろん、美術室や音楽室などを見てまわったけど、ハルの姿は見えない。
 校舎の中にチャイムが響き、もう一度屋上に戻ってみても、やっぱりいない。

「ハル……」

 まさか、もう二度と僕の前に現れないとか……ないよな?

 仕方なく、校舎を出る。
 さっきまで降っていた雨は、もうやんでいた。
 僕は水たまりを踏みつけながら歩き、ふとグラウンドのほうを眺める。
 雨のせいで、誰もいないグラウンド。
 そんなグラウンドを見渡せる水飲み場の近くに、制服を着た男子生徒が、ひとりでぽつんと座っていた。