ピピピピッ ピピピピッ
遠くからうるさい音が聞こえる気がする。
しかし、起きる気にはなれずしばらく無視を決め込む。
ピピピピッ ピピピピッ ピピピピッ
(うるさい………。)
まだ寝ていたかったが、自分でかけておいた目覚ましの音に耐えられず仕方がなく体を起こした。カーテンの隙間から差し込む朝日を浴び、少し目が覚めてきた。
目は覚めても体がダルくしばらく動けそうにないので、ベットに座ってぼーっとする。
あ、今日の数学当たるんだった。あと体操服も入れておかないと。
「翠ー、朝ご飯よ。起きてるー?」
下から母さんが叫ぶ。朝から元気だなと思いながらいつも通り起きてるよと言おうとする。
しかし、
「…………っ!?」
発したはずの言葉は喉から出てこなかった。
慌てて下に降りる。
「あらどうしたの翠、そんなに慌てて」
リビングに降りて適当な裏紙を見つけて文字をなぐり書き、母さんに見せる。
『やばい、声が出なくなったんだけど!!!』
普通だったら子供の声が出なくなったとなると親も慌てるだろう。母さんもきっとそうなると思っていたが思った反応とは違った。母さんは僕の書いた紙を見て少し寂しそうに悲しそうに笑っていた。
「やだ翠、寝ぼけているの?貴方は昔からそうでしょう?」
母さんの言葉に驚く。
昔から声が出ない?何を言っているんだ。
悪い夢でも見ているのだろうか。確かに自分は昨日まで喋れていたはずだ。突然の出来事に脳が追いつかなかった。
「ほら、早くご飯食べないと遅刻しちゃうわよ〜。」
母さんに言われて時計をバッと見る。気づけば時計の針は7時45分をさしており、そろそろ家を出なければまずい時間だった。
考え事をしていたせいですっかり冷めてしまったご飯をかけ込み食べ終わる。ご馳走様と声を出さないことを思い出しせめて手だけでもと合掌する。
急いで自分の部屋に戻り制服に着替える。昨日脱ぎっぱなしにしていたせいで少しシワが入っている。
リュックを背負い急いで部屋を出た。階段を半分降りたところで体操服を入れてないことに気づきまた部屋へと引き返す。
体操服を入れ他に忘れたものがないかササッと確認して今度こそと部屋を出る。
いつもだったら行ってきますと言うのと同時に家を飛び出すがそれも叶わない。仕方ないと思い洗い物をしている母さんの肩を叩きスマホに書き込んだ「行ってきます」の文字を見せる。
「行ってらっしゃい、気をつけてね」
母さんからの返事が聞こえたことを確認すると勢いよく家を飛び出た。
頑張って走ったが、学校までは30分以上かかるため教室へとついたのは遅刻ギリギリの時間だった。
息を整えながらあたりを見渡す。変わったところは特になさそうで安心した。きっと夢を見てるんだと結論づけホッとして席に座る。しかし、
「お、おはよう。加藤君。」
聞いたことがないその声に誰だと思いながら振り向く。
その声の主を見た瞬間目を見開いた。
僕の後ろに立っていたのは本来声を出すことが出来なかったはずの椎名だった。
いつまで経っても挨拶を返さない僕に椎名は不思議がっていた。おはようと書いたノートを見せると、椎名も驚きが隠せていなかった。
『あとで話したいことあるんだけど、いい?』
椎名は声を出せない僕に驚いていた。彼女にもこのおかしな世界になる前までの記憶があるに違いない。
彼女と話すことでこれが夢なのか現実なのか分かるかもしれない。
「うん、いいよ。」
彼女もこちらの意図を理解しているようだ。
チャイムがなり皆んなが次々と席に着いて行く。僕も急いで席に座ったが授業には集中できなかった。
これは、夢なのだろうか。
昨日神社で椎名と変わってあげたいと思ったからか…?
「おい、加藤聞いてるかー?この問題解いて前に書いてみろー。」
考えすぎて全然先生の話を聞いていなかった。
やばいと思ったいると前の席の浅田が解いたノートを見せてくれた。
「加藤集中してないなんて珍しいな。寝不足か?」
見せてくれたノートを見ながら必死に理解しようとする。
『ごめん。そう言うわけじゃないけど考え事していて。』
「加藤ー?行けそうか?」
行けますという意思表示で勢いよく立ち上がる。後ろから「集中しろよなー!」と小村が叫んだ。
この二人は特に変わったところがなさそうだ。それどころか僕と椎名以外なにも変わったところがない。
それどころか僕らの現状がおかしいことにも何も思っていないことが分かった。
黒板に答えを書き終わり席へと戻る。先生は「ちゃんと話は聞いとけよー?」と笑った。
話を聞いていないと次もきっと当てられるだろう。
これ以上考えることは取り敢えずやめて、授業に集中しよう。
遠くからうるさい音が聞こえる気がする。
しかし、起きる気にはなれずしばらく無視を決め込む。
ピピピピッ ピピピピッ ピピピピッ
(うるさい………。)
まだ寝ていたかったが、自分でかけておいた目覚ましの音に耐えられず仕方がなく体を起こした。カーテンの隙間から差し込む朝日を浴び、少し目が覚めてきた。
目は覚めても体がダルくしばらく動けそうにないので、ベットに座ってぼーっとする。
あ、今日の数学当たるんだった。あと体操服も入れておかないと。
「翠ー、朝ご飯よ。起きてるー?」
下から母さんが叫ぶ。朝から元気だなと思いながらいつも通り起きてるよと言おうとする。
しかし、
「…………っ!?」
発したはずの言葉は喉から出てこなかった。
慌てて下に降りる。
「あらどうしたの翠、そんなに慌てて」
リビングに降りて適当な裏紙を見つけて文字をなぐり書き、母さんに見せる。
『やばい、声が出なくなったんだけど!!!』
普通だったら子供の声が出なくなったとなると親も慌てるだろう。母さんもきっとそうなると思っていたが思った反応とは違った。母さんは僕の書いた紙を見て少し寂しそうに悲しそうに笑っていた。
「やだ翠、寝ぼけているの?貴方は昔からそうでしょう?」
母さんの言葉に驚く。
昔から声が出ない?何を言っているんだ。
悪い夢でも見ているのだろうか。確かに自分は昨日まで喋れていたはずだ。突然の出来事に脳が追いつかなかった。
「ほら、早くご飯食べないと遅刻しちゃうわよ〜。」
母さんに言われて時計をバッと見る。気づけば時計の針は7時45分をさしており、そろそろ家を出なければまずい時間だった。
考え事をしていたせいですっかり冷めてしまったご飯をかけ込み食べ終わる。ご馳走様と声を出さないことを思い出しせめて手だけでもと合掌する。
急いで自分の部屋に戻り制服に着替える。昨日脱ぎっぱなしにしていたせいで少しシワが入っている。
リュックを背負い急いで部屋を出た。階段を半分降りたところで体操服を入れてないことに気づきまた部屋へと引き返す。
体操服を入れ他に忘れたものがないかササッと確認して今度こそと部屋を出る。
いつもだったら行ってきますと言うのと同時に家を飛び出すがそれも叶わない。仕方ないと思い洗い物をしている母さんの肩を叩きスマホに書き込んだ「行ってきます」の文字を見せる。
「行ってらっしゃい、気をつけてね」
母さんからの返事が聞こえたことを確認すると勢いよく家を飛び出た。
頑張って走ったが、学校までは30分以上かかるため教室へとついたのは遅刻ギリギリの時間だった。
息を整えながらあたりを見渡す。変わったところは特になさそうで安心した。きっと夢を見てるんだと結論づけホッとして席に座る。しかし、
「お、おはよう。加藤君。」
聞いたことがないその声に誰だと思いながら振り向く。
その声の主を見た瞬間目を見開いた。
僕の後ろに立っていたのは本来声を出すことが出来なかったはずの椎名だった。
いつまで経っても挨拶を返さない僕に椎名は不思議がっていた。おはようと書いたノートを見せると、椎名も驚きが隠せていなかった。
『あとで話したいことあるんだけど、いい?』
椎名は声を出せない僕に驚いていた。彼女にもこのおかしな世界になる前までの記憶があるに違いない。
彼女と話すことでこれが夢なのか現実なのか分かるかもしれない。
「うん、いいよ。」
彼女もこちらの意図を理解しているようだ。
チャイムがなり皆んなが次々と席に着いて行く。僕も急いで席に座ったが授業には集中できなかった。
これは、夢なのだろうか。
昨日神社で椎名と変わってあげたいと思ったからか…?
「おい、加藤聞いてるかー?この問題解いて前に書いてみろー。」
考えすぎて全然先生の話を聞いていなかった。
やばいと思ったいると前の席の浅田が解いたノートを見せてくれた。
「加藤集中してないなんて珍しいな。寝不足か?」
見せてくれたノートを見ながら必死に理解しようとする。
『ごめん。そう言うわけじゃないけど考え事していて。』
「加藤ー?行けそうか?」
行けますという意思表示で勢いよく立ち上がる。後ろから「集中しろよなー!」と小村が叫んだ。
この二人は特に変わったところがなさそうだ。それどころか僕と椎名以外なにも変わったところがない。
それどころか僕らの現状がおかしいことにも何も思っていないことが分かった。
黒板に答えを書き終わり席へと戻る。先生は「ちゃんと話は聞いとけよー?」と笑った。
話を聞いていないと次もきっと当てられるだろう。
これ以上考えることは取り敢えずやめて、授業に集中しよう。