「私、ランドもシーも行ったことないのよね。出来る前に私・・・」
 言いかけた言葉を真澄が飲み込んだ。僕は空気が澱まないようにくだらない対応をした。
「ランドやシーに行ったことない人なんていると思わなかったよ」
そう言った次の瞬間に僕は休日の過ごし方を思いついた。
「真澄、行こうよ。とりあえず、今日はランドに」
「え、これから?」
 真澄はひどく驚いた声を上げた。
「うん、行ってみようよ」
「ええ、でも、暑いし、込んでるよ」
 行ったことがないと嘆いていたくせに真澄は消極的だった。
「まあ、いいじゃないか。初めてだから、とりあえず雰囲気を味わうだけでも」
「行けるのはすごく嬉しいけど」
 嬉しいという割には真澄は乗り気でないように見えたが、僕は強引にランド行きを決めてしまうことにした。
「じゃあ、ランド行き、決定だ」
 僕はそう宣言すると着替えをして、通学用に使っているリュックの中にデジカメを入れた。ランドで真澄とデートができるなんて思いもしないことだったので、年甲斐も無く僕は少し興奮気味になった。

「じゃあ、出かけようか」
「うん」