僕が少し間を置くと真澄は僕を急かしてきた。
「はいはい、前置きはいいから早く歌って」
 その言葉にようやく覚悟が決まった。
「じゃあ、そうさせてもらうよ」
 僕は三線を構えイントロを弾き始めた。「南十字の下で」はややテンポの速い明るい曲に仕上げてあった。自分の歌としては長めのイントロが過ぎ歌に入った。

 南の果ての波照間島の
 ニシ浜の東屋で君と二人で
 言葉にできぬ程に綺麗な
 青い海見つめてる幸せを噛み締めて
 小さいけど確かな決意はこの胸の中
 小さな箱は荷物の底にしまってきたけど
 No one loves you more than I love you, but…
 今は口には出さずに
 波照間の空、南十字が
 輝く夜を待つよ
 
 星空の下、肩を並べて
 十字星あるはずの場所を見つめる
 風に吹かれて雲が流れて
 二人して夢に見た星が今、見えたから
 ポケットに忍ばせた小さな星の光を
 そっと君の左手の薬指へと宿して
 Will you marry me, please say “Yes, I will.”
 永久(とわ)の愛を誓うから
 今、波照間の夜空に光る
 南十字の下で
 南十字の下で